Compulsion of name called solicitation~勧誘と言う名の強制~
次でやっと能力が出ます。
此所まででちらほらと主人公の最強説が浮上していますが、過去の話はもう少し話が進んだ時にでも。
ある教室。その一室に4人。
その内1人は天下の『生徒会』会長様。
その内1人は噂の天才転入生。
その内1人は『噂部』部長。
そして、最後の1人は墓穴を掘った天士だった。
所謂混沌だ。
月柏鈴葉と五十嵐久太郎は硬直。
空河天士も硬直。
そして原因を作った、星野宮ミナは涙を流し空河に抱きついていた。
「えぇと………えぇと………えぇと………えぇ~?」
空河は汗をダラダラと流してる。
何故こうなった?
その原因は星野宮が言った一言、“蓮見”に“空河”が反応してしまった事だ。
「天士ぃ~………天士ぃ~………ひっぐ………」
星野宮は涙を流しながら空河の名を呼ぶ。
感動の再会の場面なのだろうか。でも月柏と五十嵐は硬直したままだった。
「………えっとぉ~………貴女は俺の事を知っているのですか?」
空河が引き攣った顔で尋ねる。
その問いに星野宮が固まる。
「っ? ………私の事覚えて無いの?」
頬を掻きながら気まずそうに尋ねる。
「覚えて無いのって………何処で会ったっけ? 確かにさっき会ったけど………」
先程会っただけでこれ程にはならないだろう。
「本当に私を覚えて無いの? あんなに遊んだのに? あんなに仲良かったのに? あっ、でも5歳の頃に別れ離れになっちゃったし………覚えて無いのは自然なのかな? でも、でもそれって悲しすぎるよ………」
空河に馬乗りになりながら、涙目になり俯く。
「いや、そうは言われても………」
空河は首を傾げながら星野宮を見る。ガン見。そう、ガン見。
そして、頭の隅にある記憶を辿る。
いや、実際にはそんな考えなくとも直ぐに浮かんだ。
「5歳頃って………まさかミナちゃん………か? いや待て、あの頃のミナちゃんはもっと太ってぐぎゃッッ!!!!!!」
星野宮の拳が空河の顔面に食い込む。
「太ってたんじゃないッ!!! 膨よかだったのよッ!!!」
ノビる空河に指さしながら叫ぶ。
それを見て聞いて今まで硬直していた月柏が尋ねる。
「………星野宮さんは空河の昔を知っているの?」
「ハァ、ハァ………昔?」
息を荒げながら、振り向き月柏に尋ねる。
それに答えたのは五十嵐。
「昔って言うのは10年前過激能力組織『雷の投擲』による飛行機墜落のテロ以前って事だ」
「っっ………はい。私は天士の事をそれ以前から知ってます。でも逆に言えばそれ以前の、5歳以前の事しか知らないんですけど………」
そう言いながら俯く。
それを聞き、腕を組みながら、
「………成る程ね。それ以前ね」
月柏は五十嵐にアイコンタクトを取る。
“『隻眼の番犬』に所属しているって事は知らないらしいわね”
“そうだな。てか、天士が『隻眼の番犬』に所属している事自体が知られてないからな。
コイツ、殆ど顔隠してたって言うし。まぁ、知っている奴は知っているだろうが………。”
“そうね。例え昔からの知り合いでも私達から漏らす事は出来ないわね。他の人にも………いや、空河の周りにはベラベラ秘密を喋る人間はいないわね”
“そうだな。まぁ、本人が話すまで俺等はノータッチで行くぞ?”
“そうね”
アイコンタクトだけで会話が出来る異常。
「………何か含みの有る言い方ですね」
それに勘づく。結構鋭い。
「そう? そう感じたならそれは気のせいよ」
月柏はクールフェイスで言い切る。こう平然と嘘を吐けるのはある意味才能だろう。
「………そう、ですか」
納得していない様な表情を浮かべるが、何も聞かずに問いを飲み込む。
「まぁ、話したい事があるだろうが、その話したい相手が完全にダウンしてるぞ?」
五十嵐が鼻血を出して倒れている空河を指さす。
「あっ! 天士大丈夫ッ!?」
加害者が叫ぶ。
気絶する空河を見ながら、月柏はニヤリと笑みを作る。
「気絶してるのよね………そうね。だから何処かで休ませないと駄目ね。そうよね。このまま放置は駄目よね。此所から一番近くで休める所は『生徒会』室よね。そうよね?」
五十嵐に尋ねる。
「えっ? ………う、うん。ソダネ」
目を逸らしながら頷く。そして心の中で“天士御免”と土下座した。
「そうですよね。何処かで休ませましょう」
月柏の企みを理解していない星野宮は乗っかる。
いや、理解は出来ないだろう。
未完成を知らない人には、「あぁ、何て優しいんだろう」的に聞こえ見える。
だが、月柏の横に立つ五十嵐は「尊い犠牲だ」と、既に若干開き直り、天士を生け贄にし、逃げた五十嵐。
本人は………未だ気絶中。
「うぅ………」
「あっ、起きた」
「………んあぁ?」
目を開けて直ぐに視界に入ったのは皆大好き生徒会会長様だった。
「………此所何処ですか?」
空河は痛む鼻を押さえながら尋ねる。
「此所? 何処だと思う?」
そう尋ね返し、不敵に微笑む月柏。
空河は確認の為に辺りを見渡す。
見た事あるようで、ない。
まぁ、ぶっちゃけ気付いているのだが、気付かないフリをしていた。
気付いたら後戻り出来ない様な気がした為だ。
「えぇ~………解りませ―――」
「生徒会室です」
遮る様に答えを言う。
「………では、一応尋ねますが何故俺は『生徒会』室に?」
「気絶していたから何処かで休ませてあげようと思ったのよ? そしたら『生徒会』室しか無かった。解った?」
「………解りたくありませんけど、有難うございました」
納得はしていない。絶対他にも教室はあった。
気を失った俺が負けか………と、肩を落としながら一応礼を言う。
「いいえ。どうしたしまして」
そう言いながら月柏は微笑んだ。
此所で違和感。
未完成じゃない。と、言う事は誰か居るの………か?
「………何故、彼女は俺の足下で寝ているのですか?」
辺りをもう一度確認しようとして、足下で丸くなって寝ている星野宮を見つける。
彼女が居た為月柏は完璧だったのだ。
「何時の間にか寝てしまったわ。疲れてたみたい。それに、貴方との再会が突然で吃驚したのよ」
「………本当、突然の再会でしたね」
星野宮を見ながら呟く。
だが、その表情は嬉しがっている表情ではなかった。
罪悪感。そんな表情。
その思いが何処から来るのかは解らない。けれども、会わなければ。と思ってしまっていた。
「この再会から新たな恋へ?」
ニンマリと笑みを作りながら尋ねる。
それに苦笑し答える。
「恋って、残念な事に俺は知っている人間としか関係を持ちたくないんですよ。彼女の事を俺は全然知らない。だから彼女とは今は赤の他人。無関係。今はそれだけで十分です」
「相変わらずハッキリしてるわね。まぁ、そう言う所嫌いじゃないけど。それに、恋になんて発展されたら、堪ったもんじゃないし」
微笑み、そして少し睨む。
色々とスルーし、本題を尋ねる。
「………で、俺は何をするですか?」
「あら? 随分素直ね。と言うか、もう敬語止めれば? 無理しているの丸わかりよ?」
体面的なモノがある為、一応の敬語だったのだが、月柏には今更と言った感じだったらしい。
頭を掻き、面倒臭そうな顔をする。
「これは素直じゃなくてヤケクソなんだよ。どうせ抵抗してもってヤツだ」
そう言いながら星野宮を起こさない様に、ゆっくりとソファーから起き上がり、立ち上がる。
「だけど、俺は言われた通り出来る様な人間じゃねぇーよ? まぁ、要するに命令違反をする。断言出来るぞ? 元々集団行動に向かない性格だしな」
「そんなハッキリ言わなくとも良いじゃない」
「これぐらい言わないと、駄目だめだろ? 俺の周りでは」
自分で言って自分で苦笑する。
「フフッ、そうね」
「で、まぁ大体は予想出来るけど、ぶっちゃけ俺要らないだろ? 今でも十分な戦力だろ? 過剰戦力は足引っ張るぞ?」
少数精鋭の組織に属しているからこそ言える。
「相手が無能力者の傭兵崩れだったら今のままでも大丈夫だと思う。だけど、相手が能力者だった場合はそうは行かない。天士も知っているでしょ? 一年前の事」
目つきが変わる。
過去の記憶を思い出し、顔を少し歪めた。
「………そうだな。だが、実際俺が入っても何も出来ないぞ?」
頷きながらも、空河は自分には利用価値は無いと言う。
「私を負かした男が何を言ってるの?」
「俺の能力は『生徒会』の様な捕縛に向かないんだよ。相手の動き止めるのにも重傷負わせるんだからな」
『生徒会』は侵入者相手に攻撃許可は下りている。だが、殺さずだ。
捕縛。それが不可能ならば撃っても良いと言う感じだ。
「それでも、守れるじゃない」
月柏の言っている事は正しい。守れる力は空河にはあるのだ。
「………まぁ、そうだけど。俺あんまりRANKⅣの人の前で能力使いたくないんだよ」
飽く迄も、自身の能力を隠す事を優先する。
「何で? ………あぁ、バレるからか」
「その通り。俺は一応瞬間移動系って事になってるんだ。下手に使ってバレるの避けたい。だから戦力にはならないぞ?」
そう空河が言うのだが、月柏はニヤリと笑う。
「大丈夫。無理矢理にでも実力の半分程度は出してもらうから。それに貴方をこのままフリーにさせていると、『執行部』の騎士が動き出しちゃうから」
「『執行部』の騎士って、伏見先輩か?」
空河が尋ねる。
「そう。アイツ貴方の事狙っているみたいだから気を付けなさい。『無慈悲の騎士』と呼ばれる男よ。人の感情なんて持ってないのよ」
一瞬月柏の表情が曇る。
その表情の意味が解らず尋ねようとしたが、それを寸前で飲み込んだ。
踏み込んで良い領域と駄目な領域が在る。これは後者だ。
互いに知らない仲ではないが、それでも知らない事もある。
人間どんな良い関係でも知らない事の一つや二つあるもの。
自身を一番知っている奴が、最終的に敵になったりもする。
「………一応気をつける。と言うか、俺の事を知っている奴が多いと思うんだけど、何処から情報が流れてるんだ?」
秘匿にしている訳ではないが、些か漏れすぎている。
「流れてるって言うか、やっぱり去年のあの騒動が原因だと思うわよ? 大抵の人は事故か偶然だと思っているかもしれないけど、私や騎士みたいな奴になら見抜ける。貴方の能力をね。でも貴方が所属しているって事を知っているのはQと私と『ボードゲーム研究会』の会員、それと理事長に………あれ? 結構居るわね」
自分で名を挙げながらその多さに首を傾げる。
「………はぁ~もっと上手くやれば良かった。あの時は少し感情的になってたからな。………まぁ、過ぎた事はあまり考えない主義だし、今後の行動でどうにでもなると思うしな。だから―――」
「『生徒会』には入ってもらうわよ?」
食い気味に言う。
顔を歪める空河。
「………でも、俺一応はRANKⅡだぞ? もしそんな奴が入ったらストライキとか起きるぞ?」
『生徒会』はトップ中のトップを集めたトップ。
そんな集団の中にRANKⅡと言う落ち零れが居たら周りが騒ぐ。
例え入れたのが生徒会会長だったとしても、だ。
空河はこの問題の打開策さえ見つからなければ逃げるつもりだった。
だが、その考えとは裏腹に月柏はニヤリと笑った。
「大丈夫。貴方には秘密裏に『生徒会』に入会してもらうから」
「………は?」
「だってそうでしょ? 元々『生徒会』の主な活動は外部からの侵入者の捕縛又は撃破よ? 表に出る仕事じゃないの。それならば別に秘密裏に1人増えたって誰も気付かない。あっ、心配しなくとも理事長にはちゃんと言ってあるわ。心置きなく入会して頂戴」
そう言い切り、ニコリと微笑む。
もう逃げ場は皆無だった。
そしてある意味死刑宣告。心置きなくって………。嫌だって言わなかったか?
数秒互いに見つめ合う。いや、空河は睨んでいる。だが、月柏はニコニコしている。
そして、空河が折れる。
「………先に言っておく。もし、『生徒会』の人間で俺に何かしてきた奴がいれば、即再起不能にする。俺の情報を流したりしたら、その情報を耳に入れた奴全てを再起不能にする。それでも良いんだろ?」
脅しでは無い。
バレても良い事だが、その事により面倒な事になるのが嫌なのだ。
その為、これは脅しではない。脅しは「やらない」と言う選択肢があるが、これには無い。
だが、月柏は平然と頷く。
「えぇ。構わないわ。なんなら手伝うわよ? そんな奴『生徒会』にもこの学園にも必要無いからね」
彼女も彼女で人を真顔で切り捨てられる人物である。上に立つ人間とも言おうか。
「安心した。まぁ、大体予想してたけどな」
溜息混じりに言い、空河は『生徒会』室を出ようとする。
「今日は何もないから、ある時は連絡するわ」
「お手柔らかに」
振り向かず、手を軽く振る。
「それじゃ、オヤスミ。天使ちゃん」
「………お休みなさい」
苦笑しながら、空河は『生徒会』室を後にした。
微エロが書けません。
ツンデレとか無理です。
てか、ラブ要素自体が苦手です。
コメディーとシリアスしか書いてこなかったので、悔やまれる。時間よ巻き戻れ。
えぇ、登場人物とかの設定は次の次の次?次?まぁ、能力が出れば書きます。
結構厨二病なネーミングがいっぱいですよ。
私自身が厨二なのが好きなんですよ。
その為結構「いやいやいや!!」的なのが出てくると思いますよ。
それでは、誤字脱字(多いと思います)などがあれば言って下さい。
その他この様な能力、この様なキャラ、この様な台詞。などなどの要望があれば出来る限り答えます。ぶっちゃけネタにつまる可能性があるので。
それでは・・・・皆々様に超能力が具現する事を願って(?)