紫紺野牡丹
お久しぶりです。
殴って下さい。取り敢えず、殴って下さい。
遅れて、しかも長くないし中身無いし。
取り敢えず投稿です。
大きく編集はしないけど、ちょっとした編集はしたい。
だから今回はこれでスイマセン。
因みに、
紫紺野牡丹の花言葉は『平静』です。
適当です。
スイマセン。再開初っ端ショボくてスイマセン。
森の中。深い深い、森の中。
微かに聞こえる警報。爆音。
葉が揺れる。木が軋む。地が弾む。月光が照らす。
心地よいのか、それとも唯の雑音なのか。自然が生む音が静かに森の中を駆ける。
「………」
その中を歩く1人の青年。黒髪のミディアムに銀縁の眼鏡を掛けた優等生な男子生徒。
生徒会副会長木須学。
一見するだけや、彼を良く知らない者は「影の薄い会長の付属品」と笑うだろう。
だが、彼の事を良く知る者は口を揃えてこう言う、
「木須が居るから生徒会が成り立っている」、と。
これは誇張などではなく、事実だ。
彼の仕事は日を見ない。
どんな素晴らしい事でも、どんな秀逸な事でも、彼の努力は日を見ない。
行った仕事は全て無かった事、言い方を変えれば元々そうであったかの様に、誰の目にも映らない。
彼は誰にも気付かれず悟られず、尚かつ自分の実績を会長のモノとする。
「………久しぶりだな」
月明かりを浴びながら彼は暗闇に向かって軽く微笑む。
「お前が生徒会室に顔を見せなくなって半年。お前が授業をボイコットして2ヶ月。そしてお前が寮から姿を消して2週間。………何故森だ?」
眼鏡を上げながらまるで愚痴を零すかの様に闇へ語りかける。
「まぁ、お前が居たのは先代副会長が居たからだしな。あの人が居なくなればお前も居なくなるのは必然………なのだが、鈴葉に何か一言ぐらい言ってやっても良かったんじゃないか? アイツかなり怒っていたぞ?」
彼には珍しく饒舌。まるで久しく会って居なかった親友に会った時の様に。
のだが、全く返答がないと言うか、そこに木須以外の者が居るかどうかすら分からない為、独り言を永遠と言っている者にしか感じられない。
その事に木須本人も気付いているのか、後頭部を軽く掻く。
「………無視、か」
胸ポケットに手を伸ばし黒い手帳を取り出す。開き、数ページ捲り眼鏡を上げる。
「現在数名のRANKⅣ相当能力者が侵入。予想人数は4名以上その内2人は姿を確認されているが、この2人は陽動の可能性アリ。2人の撃退にはRANKⅣ数名が向かっている。此方の被害状況は警備員6名以上死亡、10数名の重軽傷者を確認。能力者の死亡は確認されてはいない。侵入者の目的は明確ではないが、可能性は3つ。1つ目は卒業生の所在情報。2つ目はこの学園に居る組織に属している能力者。そして3つ目は『最強』の捜索。最後の目的云々は俺の憶測の域は出ていないが、可能性は高いと思っている。………さて、お前の考えを聞いても良いか?」
手帳を閉じながら木須は前を見る。
未だにそこには何も現れない。だが、木須は目を逸らさず一点を見つめている。
「………訂正」
一言、何処からともなくそれだけが響く。
「侵入者の1名が自害した。此方の被害は『破壊狂』のみ。もう一方の侵入者は『完全吸収』と『無情なる独裁者』を撃退し、『殺戮音楽』を拉致し逃走。『完全吸収』と『無情なる独裁者』の状況は不明………動揺はしないんだな」
声は一拍置き木須に尋ねる。
木須は何も言わず闇を見つめている。
動揺、とは『完全吸収』つまり月柏鈴葉の事を言っているのだろう。
彼女の補佐をする木須に取ってそれは充分に動揺するに値するのだが、木須は顔色一つ変えない。
「………普通なら信頼しているから、とか思うのかね。………ボクに取ってはキミが冷酷に見えるよ」
「………それは捉える者それぞれだ」
冷酷と言われ否定しないのはそれが真実だからか。それとも論ずるに値しないからなのか。
「………そう、か。………ならもう1つの訂正」
クシャ、クシャ、クシャ、………地面に落ちた葉を潰す音が響く。
「キミの推理は凄いよ。流石『裏方』と呼ばれるだけある。裏で動くキミに取ってこんな二つ名も邪魔かもしれないけどね。だけど、ボクはこの二つ名が好きだよ? ………キミの汚さが滲み出ているから」
声質は変わらない。先程響いた声の持ち主。
「さて、訂正の話だけどね、侵入者の目的の件」
暗闇からゆっくりと声の主が現れる。
腰よりも長い黒髪。産まれてから一度も髪を切っていないかの様な無造作に伸ばされた髪。光が宿っていない死んだ魚の様な目。
彼はゆっくりと笑みを作る。
「キミの3つの考えは遠くないが正解ではない。………侵入者が欲しいのは人。欲しいのは情報。欲しいのは入手出来る手立て。………さて、ここで問題です」
「ん?」
「………知らない筈なのに知っていている人物。誰から聞いたか聞き出す前に、精神を壊した愚か者」
「………まさか!?」
顎に手を当てながら考えていた木須は気付く。
「………『状況把握』、病的なまでに空回りした阿呆。利用されたとも知らずある意味自爆した馬鹿」
「小国章吾。彼の能力は反則的なまでに優れている。それを狙っているのか?」
「本人には身に余った能力だった。範囲内の状況。範囲内の者の状況すら解るそれが、どれ程危険か、彼は気付かなかった」
青年は薄気味悪い笑みを浮かべる。
「………だから鈴葉は彼を手元に置いた。自分へ向けられた好意を利用して」
木須は平然と言ってのけた。
その様子を見つめ、青年は軽く舌打ちをして木須に背を向ける。
「だからキミも、あの女も嫌いなんだ………」
「………………」
木須は何も言わず、携帯を取り出し電話を掛ける。
「………俺だ。相手の目的が見えてきた。取り敢えずお前等2人は『幽閉塔』へ向かってくれ。………説明は後回しだ。………そうだ。あぁ。………任せたぞ」
「………気を付けろよ?」
「ん? 何をだ?」
青年は歩き出す。
「………それだけが、敵だと思うなって事だよ」
スイマセン。
取り敢えず、今回はこれで。
ホントスイマセン。
取り敢えず、ちょっとした用語編集をしたいと思っています。
編集したモノはお知らせします。
ホントスイマセン。