ストレリチア
和名では極楽鳥花ですかね。
花言葉は
「全てを手に入れる」「気取った恋」「万能」です。
今回は「全てを手に入れる」ですかね。
これは別に今回のイメージではありません。
飽く迄も、そのような思惑がありそうって事です。
てか、今回は動きはありませんよ。
皆が戦っている間他は?的な回です。
それと、短いです
洞窟。
そう言っても間違いではない。
薄暗い洞窟。
何故学園の敷地内に洞窟が在るかは謎だが、そこに住まう人間が原因だろう。
『………無茶な特攻して来たな。敵さん』
洞窟内に声が木霊する。
声の主は若い10代半ばの少年。
この者が『眠れる老人』と呼ばれる人物。
「目的があるらしいが、現時点では不明。解っているのが、現在暴れているのが2名だと言う事だけだ」
腕を組み。片眼鏡越しの鋭い眼。後ろで結われた髪がゆっくりと揺れる。
RANK上げでの一件で、無期限の『眠れる老人』の元で奉仕活動と言う罰を与えられている左右詩祁芽だ。
「その事ですが、既に1名死亡した、と」
左右の報告に訂正を加えるのは白い修道服。その背中に赤い文字で刻まれた『Cross of inversion』・『逆さ十字』。
腰から下げるのは赤と銀のツートンカラーでカスタムされたベレッタM92。
学園に住まうシスター。イール=メニファー。
「へぇ………随分とお早い退場で」
岩壁に凭れ、腕を組みながら左右が薄く笑みを浮かべた。
『まぁ、所詮は策無しで突入して来る馬鹿さ』
「そうですね。で、後1人も片付くのを待ちますか?」
「待つのは私の性に合わないんだけど?」
イールの言葉に左右は言う。
『お前が動く程でもないだろ?』
「ん? 私が出張った方が早く片付くだろ?」
『出張ったとしても、しなくとも、結果は変わらないからな。だからお前には今回動く出番は無い』
その言葉に、左右は眉を細めた。
だが、それは一見しても解らない程度の、小さなもの。
「………シスターイール。能力者での死亡は出ているのか?」
「いえ。出ていません。被害は無能力者の警備員17名だけです」
「………だけ、ね」
イールは全くの素の表情で被害状況を述べる。
その言葉に、思わず左右は浅い笑みを浮かべる。
「まぁ、生徒に被害が出ていないのは幸い、か」
『あぁ。だから、お前は出なくとも良い。今動いている者で『外』の能力者に負ける程度の能力者は居ないだろう』
左右は『眠れる老人』の言葉を聞きながら、少しの違和感を感じ取っていた。
何故、私を行かせたくないのだ? と。
「………そうだな………まぁ、今回は高みの見物と洒落込むとする」
カマを掛ける事も考えたが、左右は引き下がる。
そして洞窟を後に歩き出す。
『酒は飲むなよ?』
背中から声が掛かる。
それに手を振りながら、左右は洞窟の暗闇に溶け込む。
「………私は、行かせたくない………か」
暗闇の洞窟を歩きながら、左右は呟いた。
私が出張り、早期に解決するのを阻止したいのか?
それとも言っている事は本当なのか?
………いや、あの男は本当など一言も言ってはいないだろう。
侵入者と繋がっている?
いや、メリットが無い………筈だ。
では、何故私が出張るのを止める?
左右は考えた。
が、答えは出ない。溢れるのは今まで浮かばなかった疑惑。
「………何故、私は『眠れる老人』の事を調べない?」
それはふと、偶然様に浮き出た疑問。
何故、素性の知らないあの男に、何も考えず何も疑わずに従っている?
気付けば、あの男は居た。
理事長に言われ、私があの男と会話したのが1年の後期。
その時から、「この男は安全」だと、思い込んでいた。
あの男は―――
「何者だ?」
第二校舎屋上。
無風の月光照らさぬ暗闇。
その場に、制服を着た黒髪。黒い瞳。黒いグローブを付けた男。
余りにも不自然な男。
格好ではない。この男が此所に居る事事態が不自然に感じる。
そんな男の名は、黒天鴉。
能力者は何だかの組織に与する中、独りだけで生き延びて来た殺し屋。
客を選ばず、依頼内容を選ぶ男。
通称『ゴミに溜まるカラス』。
黒天は不自然さを隠しもせず、唯々風景を眺めていた。
顔すらも偽物。
そのマスクから見える風景は、どんな風に映るのだろうか。
黒天は笑みも浮かべずに眺めている。
すると、
ブゥ―――ブゥ―――ブゥ―――、
バイブ音が耳に入る。
静寂の中だと、バイブ音でもやけに耳に届く。
制服の胸ポケットから携帯を取り出した。
開き、液晶に出る名前を見て笑みを零す。
ピッ―――。
「到着したのか?」
姿格好からは想像出来ない低い声。姿は学生だが、声は現在変えていないらしい。
「………んあぁ? 奇襲? おいおい、随分穏やかじゃないな………そうか、遅れるか………いや、今は姿を現してねぇな」
電話をして、やっと黒天の表情に様々な感情が表れる。
耳と肩で携帯を挟み、ポケットから取り出した煙草を咥え、火を点ける。
「ふぅ………んじゃぁ、どうするんだ? ………ζと………θ………んで、οか………そしてお前等はまんまと足止めを喰ったと………ハハッ! 今声聞こえたわ………おう………ζの能力ならもう少しで着くだろうな」
再度、煙を吸い込み、吐き出す。
それは、それは幸せそうな顔で。
「んあぁ? おいおい、改まってよぉ。まぁ、状況説明だけだからな。流石に他の依頼を受けてる時に他の依頼は受けないって決めてるからよ、手は出せないからな………んあぁ? 馬鹿かお前? これは依頼じゃねぇよ………お願いだろ?」
根本まで吸い、地面に落とし直ぐさま新しい煙草を取り出す。
「………解った………ハハッ!! まぁ、天士の事はお友達に任せれば良いんじゃねぇか? 見た感じでも、随分バラエティ豊かだぜ?」
笑みを浮かべた。それは余りにも凶悪な笑み。
「………それは解らねぇな。話してねぇし………どうだろうなぁ………まぁ、成るように成るだろ? ………おう。了解だ。………クハハハッ!! λに「ショタは駄目だ」って伝えといてくれよッ!! クク………ギャハハハハハハハ!! 聞こえた聞こえた!! マジ最高!! プププ………」
腹を押さえ、必死に笑いを堪えているその姿は余りにも雰囲気に似つかないものだ。
ピッ―――、
笑いを堪えながら、携帯のボタンを押してしまう。
「ま、マジ………腹捻れる………あっ、そうだ! もう一言………あれ? 切れてる………おいおい、いきなり切る事はねぇよな」
携帯の液晶画面を見ながら口を尖らせる。
………消したのは黒天なのだが。
「はぁ………まぁ、笑ったから良いとするか………ククッ………いやぁ、相変わらず『隻眼』のメンツは面白い奴ばっかりだな」
携帯を胸ポケットにしまい、根本まで吸いきった煙草を地面に落とす。
「はぁ………この学園は嫌いだが、面白い奴が多いなぁ………マジで」
また煙草を咥える。
が、今度は直ぐに火を点けず、咥えた煙草を上下させる。
「………そんでも、やっぱり嫌いな奴が多いわな」
ジュボッ―――………、
Zippoの火を灯す音がやけに響く。
「ふぅ………」
吐き出した紫煙は、まるで白い吐息の様に空を漂い、姿を消す。
「………種類変えようか、な」
RANKⅣ男子寮。
その一室。
暗闇の中、1人の男子生徒が窓の外を見ていた。
「………どうやら、向こうも本気を出さないつもりらしいな」
口角を吊り上げる。
男子生徒の名は、伏見右京。
『執行部部長』にして、『無慈悲の騎士』とも呼ばれ、本気の時に関わってはいけない人物の1人、『騎士』。
「学園側も大した動きを見せない………このままでは、学生達が片を付けてしまうかもしれないな」
伏見はふと、机に置かれた銀のブレスレットに目をやる。
「………まぁ、共倒れが狙えなくとも、学園側の闇は炙り出せる、か」
銀のブレスレット。そのブレスレットに文字が刻まれた石が嵌められている。
文字は『0』。
「左右詩祁芽、月柏鈴葉、鴨梨元、この3人なら、気付くだろうな」
ブレスレットに刻まれた文字、いや、数字の意味は解らない。
だが、伏見の雰囲気は、この学園の生徒でも、醜悪な者のそれでもない。
「………『亡霊』達の真の目的………アナタ達は、僕を掌で転がしているつもりだろうが………アナクロニズムな考えのアナタ達では到底無理なんですよ」
銀のブレスレットを握る。
「転がるのも、踊るのも、アナタ達の役目ですよ………」
再度、外を見つめる。
「矢張り、空河天士は………我々に必要不可欠ですか、ね」
さてさて、最近「何か名前ばっかり出し過ぎて良く解らない」って状況になっている私です。
登場人物が多いのは好きなのですが、出して捌けなくなるのはどうかと自ら思いますね。
読み直してお復習いしないと………あれ?私作者だよね?
一度これまでのあらすじとかやった方が良いかな?
はぁ~………キャラ増えても殆どが素性不明のまま進めてるし。
早く過去編書かないと始まらないなぁ~。
キャラ説明が不十分過ぎるよね。
まぁ、………頑張ろう。
それでは、それでは………。
追伸。
マジのラブコメが書きたい………。




