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One-eyed  作者: 龍門 
プロローグ =Long prologue=
4/60

Board game society~ボードゲーム研究会~

能力は相変わらず出ません。

次の次・・・・いや、その次?


まだバトルまでの流れじゃないんですよね。

今は説明って感じで。

この説明って言うか大体のメンバーが揃えば能力はガンガン出るんですけどね。


 朝10時。


 現在木須学きすまなぶ星野宮ほしのみやミナは並んで歩いていた。

 木須は目に入る建物を片っ端から説明している。その説明の途中に学園の豆知識なども入っており、中々に説明上手。


 そんな説明を受けている最中、星野宮は尋ねる。

「あの、今って授業中なんじゃ?」


 現在10時。勿論授業中だ。


 木須は眼鏡をクイッと上げながら星野宮を見る。

「あぁ。RANKⅣ生徒は授業内容を自由に決められるんだ。必要分の出席と、試験内容が悪くない限り問題ないから心配しなくても大丈夫だ。あ、あれが開発校舎だ。無能力者のエンジニアが住み込みで能力関係の研究、開発をしている」


「あっ、そうなんですか」

 『バーディア』でも似ている感じではあったのだが、矢張り少しの違和感があり、若干星野宮は戸惑っていた。


「エンジニアの中には俺等能力者を恐れる者が多い。その為、無能力者と仲良くなりたい場合は相手を選んだ方が良い。俺達を偏見目無しで見てくれる相手が一番だな」


 力を持つ者は、最初は尊敬され、そして畏怖され、最後に迫害される。

 それは何処の世界でも変わりはない。嫉妬はどんな力にも勝る時もあるのだ。


「後少し歩けば医療校舎だ。そして第二特別校舎。更に少し行けばRANKⅣ女子寮だな」

 建物の名前を言っていく。


 星野宮はその説明を聞きながら、この学園の敷地の広さに感服していた。

 表では唯のお金持ちの高校だ。だが、中身を開ければこうだ。誰が予測出来よう。


 だが、こんな広大な敷地にこうも能力関連が立ち並んでいても、誰も可笑しいと思わない。

 そう言う能力が働いているのだ。爆発が起きようとも竜巻が起ころうとも、火柱が上がろうとも『外』から学園内を視る事は出来ない。

 そう言う仕組みだ。


「さて次は―――」


プルルルル―――プルルルル―――。

 木須の言葉を遮り、携帯が鳴る。


「ん? ………何だ? ………どうした?」

 液晶に出る名を見て首を傾げる。

 そして電話に出て最初に「どうした?」と聞くと言う事は、相手は見知った相手。


 星野宮は木須が電話をしている間、辺りを見渡した。

 森。ハッキリ言ってしまうが、周りは森だ。


 森の中に建物を建て、森の中に道を造った。その様な感じだ。いや、実際そうなのだが。


 星野宮は『バーディア』との違いに驚いている。

 『バーディア』は見た目からして「最新テクノロジーを駆使しています」がかなり伝わったのだが、此所は「自然と一体化しています」と言った感じだ。


 それが少し懐かしく、進歩とは恐ろしいとひしひしと感じていた。


「あぁ。そうか………解った。今から向かう。その間に纏めろよ? ………いや、それお前の仕事だから。俺じゃない。それじゃ」

ピッ―――。


 一方的に切った様に感じたが、どうやら電話は終わったらしい。

 木須は携帯を胸ポケットにしまいながら申し訳なさそうに星野宮に言う。

「すまない。仕事が出来てしまった。女子寮はこの道を真っ直ぐ行けばある。大きな花壇のある所かどうだから。じゃ、すまないな!」


「えっ? あっ! えっ?」

 一方的過ぎて星野宮はオロオロするが、そんなものはお構いなしに木須は今来た道を駆けていった。


 そして残された星野宮。

「………まぁ、良いか」

 そう呟き歩き出す。


「花壇って言っても、どれかな?」

 歩きながら首を傾げる。


 何故なら、周りには既に花壇があるのだから。

























 どうやら三度寝をしてしまったらしい。

 起きたら12時だ。


「………昼だ」

 などと呟きながら、制服に着替える。


 テレビも点けっぱなし。昼ドラが流れている。

 興味無し。テレビを消して部屋を出た。


 寮の廊下を歩き、玄関に行く。

 すると後ろから話しかけられる。顔が見えないにも関わらず、その声だけで解る………般若だ。

「あらあら、重役出勤ですか?」


「………寝坊です。スイマセン」

 振り返りながら頭を軽く下げる。

 俺の後ろにはエプロン姿の女性が立っていた。


 此所の寮母さんで澳町紡おきまちつむぎさんだ。その美貌は先程テレビに出ていた昼ドラ主演の女優にすら勝ってしまう程。が、通称般若。キレたら怖い。


「そうなの? そう言えば昨日も一昨日も寝坊したわよね。空河君の部屋の時計は正常に動いているのかしら?」

 ゴォォォォォォォ―――、と言う効果音が聴こえてくる。

 幻聴ではない。もう一度言おう。幻聴ではない。


 ………あれ? 後ろにマジの般若が見える。


 俺の額からは冷や汗が。そして危険信号が赤に変わりもの凄い速さで回っている。

「ス、スイマセン。明日は頑張ります」


「明日は土曜日ですから頑張ってもねぇ~」

 そう言いながら般若は微笑んだ。怖い。眼が笑ってない。


 ある意味窮地に立っている俺は、

「………それでは!!」

 逃げる事にした。


「あっ! 帰って来たら拷………説教ですよ!!!」

 何を言おうとした!?

「今明らかに拷問って言おうとしただろ!?」

 走りながら叫ぶ。


 般若は後ろで何か言っていたが、残念な事に既に聞こえない。

 ………今日寮に帰れない。


 トボトボと歩きながら校舎を目指す………と、見せかけて『ボードゲーム研究会』の部室へ行く。

 この『ボードゲーム研究会』と言うのは『五人衆』と呼ばれる俺達と後二人が作った部活的なモノである。


 活動内容は主にボードゲームで遊ぶ事だ。

 部費なんて出ないけど。まぁ、溜まり場だ。


 部室は校舎の中に無く、第一校舎から離れた森の中に在る。

 この高校の敷地は広大で、森をまるまる1つ買い取って建てられている。


 第一校舎はRANKⅠからⅢの生徒の校舎だ。

 第二校舎がRANKⅣの専用校舎。


 他には体育館と闘技場、訓練場・部活寮・特別校舎・第二特別校舎・開発校舎・医療校舎などなど。グランドはもの凄く広い。

 因みに部活寮と言うのは様々な部活・同窓会の部室が集まった校舎の様なモノだ。


 『ボードゲーム研究会』は同窓会にすら認められていない為、部活寮に入れない。


 第二広場と呼ばれる第二校舎の前を通る。

 RANKⅣ以外は立ち入り禁止なのだが、近道なのだ。


 欠伸をしながら通り抜けようとする。

 すると、目の前に誰かが立っていた。

 昼時だから外に出ていても問題は無い。何か言われるかもしれないから言われる前に通り抜けようとする。


 チラリとその誰かを見る。

 茶色がかった黒髪ロングに三つ編み。随分綺麗な子だな………。

 美人と言うヤツか。


 ふと、その美人さんと目が合う。

「ねぇ、貴方?」

 その美人さんに話しかけられる。


「………俺ですか?」

 自分を指さし、尋ねる。


「他に誰も居ないのなら、貴方ね」

 俺を指さしながら言う。


「………何ですか?」

 此所に居るって事はRANKⅣだろう。あまり関わりたくないのだが………。


「『生徒会』にはどうやって行けば良いの?」


「『生徒会』? 『生徒会』は特別校舎だよ。………ですよ。理事長室が在る所」

 無理矢理敬語に直す。一応だが。それと、何故理事長室を出したかと言うとそこぐらいなら解るだろうって事で。


「いえ、それは解るんだけど、そこまで行く道が解らなくて」

 美人さんは申し訳なさそうに言う。


 ハッキリと言ってしまいたい。面倒だと。

 現時点で俺の脳内では選択肢が三つ程出ている。


 一、「あぁ、じゃぁ『生徒会』まで案内しますよ」

 二、「えっ? じゃぁ知り合い呼ぶんで案内して貰って下さい」

 三、「いや、俺急いでいるんで」


 どれも選択可能だ。

 だが、一は確実に俺の時間を割く事になる。つまりはバッドエンドだ。

 二も誰かに電話するのが面倒だ。


 三が一番良いのだが、明らかに俺は急いで居る様には見えない。誠に残念な事に。

 さて、どれにする? って、既に選択肢全て潰れてないか?


「………どうしたの?」

 美人さんが首を傾げながら尋ねてくる。


「んあぁ? いや、まぁ、大丈夫です。それじゃ、今地図書くんで」

 鞄からシャーペンとメモ帳を取り出す。俺でもメモ帳ぐらいは一応入っている。


 鞄を下敷きにし、解りやすい目印だけ書き、後は大雑把に道を書く。

 書き終わり、書いた地図を破き美人さんに渡す。

「一応。此所は目印だけは多いから、迷いはしないと思うんで。んじゃ」


 さっさと部室で休みたい俺はさっさと歩き出す。 


「あ、有難う!」

 後ろで美人さんが叫ぶ。


 首だけ振り返りながら、軽く手を振る。


 ………有難うって言えるんだ。

 変な所で感心してしまう。


 ああ言うのは高飛車で、自身よりRANKが低い生徒には冷たいもんだ。

 あぁ、俺此所に居るからRANKⅣと思われたのか? まぁ、それはそれで好都合か。色々言われないで済む。


 すると、

「ねぇ!!」

 呼び止められる。


 本心では振り返りたくなかったのだが、何されるか解ったもんじゃないので、振り返る。

「はい?」


 唐突に美人さんが俺の指を指しながら尋ねる。

「貴方の名前。教えてもらって良い?」


「貴方で良いですよ。また会うかもどうか解らない奴の名前、覚える必要ないじゃないですか」

 面倒。もう、名前とか良いよ。


「名前は大事でしょ? ………別に私が知りたい訳ではないよ。うん。何か親切にして貰ったのに貴方って上から言うのは失礼だと思って。だから別に貴方の名前を知りたい訳ではないよ?」

 硬直し、若干頬を赤らめながら何故か弁解しようとしている。


明らかに面倒だ。俺は頭を掻きながら、

「空河です。んじゃ」


 さっさと離れたかったので直ぐさま駆け足でその場を離れる。

 後ろで美人さんが何か言ってはいたが、気にしない。気にしない。




















 何で名前なんて尋ねているの、私!? まるで何かあるみたいじゃん! ………これは飽く迄、飽く迄彼の事が気になるからじゃなく、礼儀として。そう礼儀として。


 自分の心に言い聞かせる。


 彼は頭を掻きながら、

「空河です。んじゃ」

 手短に名乗り、そして駆けて行った。


 空河。………下の名前は?


 ふと、前を見ると彼は既に小さくなっていた。

「ちょっ、ちょっと!! ちょっと待って!!」


 叫ぶが、彼は止まらずに森の中に入って行き、姿を完全に見失う。

「………な、なんなのよ………」

 まるで逃げる様に去って行った彼。………じゃなくて空河君。


「………それにしても、誰かに似ていたなぁ」

 思わず呟いた。


 誰だっけ?















 『ボードゲーム研究会』部室(非公認)。


「ふぁ~す」

 空河がやる気のない声で部室に入る。


「おぉ~やっと来た。天士の分、冷蔵庫の中だから」

 そう言ったのは黒髪ミディアムに白いメッシュを入れている女生徒。

 名を陣内雪袖じんないゆきそで


「サンキュー」

 空河は冷蔵庫を開け、コンビニの袋に入ったカツ丼を取り出す。

「………何で冷蔵庫に入れるの? 常温で良いだろうに」

 文句を言いながらカツ丼を電子レンジの中に入れる。


「腐ったら大変じゃん? 親切よ、親切」

 そう言いながら陣内はプリンを食べている。


「………他の奴等は?」


「亞美は先生に呼ばれて。プーさんは相変わらず森の中で狩りしていて、宗次はどっかできっと昼寝していると思う。鴨と雑草は遅刻&私服登校で吊されてるとか何だとか」

 陣内は説明しながらリバーシを独りでやっていた。


 空河は陣内の向かいに座る。


 この『ボードゲーム研究会』の部室(非公認)は冷蔵庫・電子レンジ・液晶テレビなど、部室に不必要なモノが多い。

 棚の中には多数のボードゲーム。


 ソファー完備。

 マッサージチェアも完備。

 キッチンも完備。

 普通の家である。因みに風呂トイレも完備。

 二階もあり、ベッド完備で仮眠が出来る。てか住める。


 何故に非公認の部室がこんなにも豪華なのか?

 空河は今更ながら考えるが、意味の無い事なので直ぐに思考を切りかえる。


「お前リバース好きだよな」

 空河はリバーシ盤を見ながら呟く。


「リバーシじゃない。オセロ」


「同じだろ?」


「いや、リバーシって何か気取ってる。オセロの方が何となく庶民じみてて良いじゃない。それに、箱にもオセロって」

 オセロが入っていた箱を指指しながら白が右上角を取った。


「別にどうでも良いだろうに。名前なんて」


「名前は重要よ。だって名前が無かったら呼び合えないじゃない。「アンタ・お前・君」しか言えない関係なんてクソよ」

 白が左下角を取る。


「指さし合えば済む話しじゃねぇの?」


「一々指差し合って話すの? それって面倒でしょ」

 白が左上角を取る。


「そうかぁまぁ、名前も有った方が便利ださな」


「そうよ。まぁ、所詮は記号なんだけどね。それでもその個人を表す記号。だから名前一つ決めるのに人は考えるって訳」

 白が右下角を取る。


「成る程です。 ………てか、お前白贔屓してるだろ? 黒ボロ負けじゃん」

 空河はオセロ盤を指さしながら文句を言う。


「私、黒より白の方が好きなのよね………」


「…………あっそう」


チンッ―――………。


 電子レンジの温めが終わった。

「おっ、カツ丼君の温め終了」

 空河は電子レンジからカツ丼を取り出す。


「なんで君なの?」


「は? ………いや、イメージで」


「イメージ? でもさ、もしかしたら女の子かもしれないじゃん。例えばポ○モンで容姿は100%オスなのに性別メスみたいな」


「どっちでも良いだろう?」

 面倒臭そうに再度座る。


「………そうね。どうでも良いわ」

 そう言いながらリバーシを片付け始める。


 空河はカツ丼を食べようとした時、


~~~~~♪~~~~♪♪

 エキセン何とかと懐かしい音楽が響く。


「電話だ」

 空河の携帯らしく、胸ポケットから携帯を取り出す。

 そして画面に出ている名前を見て顔を歪めた。


 その様子を見て陣内が身を乗り出して携帯の液晶画面を覗く。

「誰誰? ………チッ!」

 陣内が今までからは考えられない程、顔を歪め舌打ちをする。


「最悪だ」

 電話に出ずに机に置く。その間ずっと曲は流れている。


「一般生徒だったら卒倒しているわね。………あんな女の何処が良いのか」

 毒を吐き、黒いオーラを充満させている。


「それだと俺が一般じゃねぇみたいだけど?」


「えっ? 明らかに一般ではないでしょ?」

 心底驚いた様に陣内が言う。若干口元が笑っている。


「………俺は平穏の為に」

 と、小さく呟いた。


 そんな中でも、中々電話の主は切らない。

 空河は顔を歪める。

「………チッ! 陣内。俺ちょっと行ってくるわ。光輝や元に説明しといて」

 そう言い残し空河は部室を出る。


「えぇ? ………何かされたら即電話。私があの女吊すから」

 電話の主と陣内との間に何があったかは解らないが、此所まで嫌悪を現すのも珍しいものだ。


 空河が部室から出て行き、独りになった部屋。不機嫌を露わにしながらボードゲームが置かれた棚からクラウンと言うドイツのボードゲームを取り出す。


 そのボードゲームを机に置いた時、空河が残して行ったカツ丼が目に入る。

「………食べちゃおう」

 そう呟き、陣内はカツ丼を食べながらボードゲームを始めた。








ボードゲームって結構いっぱい在りますよね。

因みに私は軍人将棋に一時期嵌りました。何でしょうねあれ。魔が宿ってますよ。

それとたほいやも好きですね。


このボードゲーム研究会では様々なボードゲームが登場します。

もう発売してないのとか。

この話は結構関係無い所で盛り上げようと思いましたから。


裏と表の差が激しい的な。


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