危機一髪~別にアンタの為ではない~
何かサブタイがツンデレみたいになりそうだった。
~アンタの為なんかじゃないんだから~的な感じ。
け○おん………なんであんなにOPとEDが良いのでしょうか?
澪が好きなんですが、律も好きです。
てか、何でしょうかね。黒髪ロングと褐色に胸打たれるのは?
………関係無い話でした。
戦況は完全な消耗戦だった。
3人は異常な程のスピードで骸骨達を再起不能にしていく。
だが、それを上回る数。どれだけ再起不能にしようが湧いて出てくる。
それだけ、殺して来たと言う事だ。
この空河の能力『死の行列行進』の骸骨達は空河が無意味に殺した者達。
つまりは、骸骨の数=無意味に殺して来た者達。
骸骨達の足を影で砕きながら、影八目は焦っていた。
それはこの能力が骸骨を出すだけではないからだ。
この骸骨達は時間稼ぎ。
数で押し、消耗させると言う目的がある。
そして、影八目が焦る要因は『死の行列行進』の真骨頂だろう。
今はまだ下準備段階。だが、下準備が終われば………狩られる。
「『夜想曲』」
星野宮が言葉を発する。
すると、骸骨達が動きを止める。否、止められる。
「………何をした?」
「止めただけ………それよりも、早くなんとかしてよ」
睨む。
「命令するな」
左右は舌打ちをし、腕を横に振る。
「此所からは私の物語が始まる」
その瞬間、骸骨達は一瞬で地面に引きずり込まれる。
「………今、貴女の能力が何なのか解った気がしますよ」
影八目が微笑む。
「……私はアンタの能力が全然解らないね。影だけってつまらない事は言わないだろ?」
腰に手を当てながら微笑む。
「えぇ。勿論。ですが、此所で使う気はありません」
飄飄とし、微笑む。
『タスケテ…………コロシテ……………ミノガシテ………イノチダケハ………タス…ケテ……………』
響き渡る。誰の声とも言えない声。
だが確実に、空河の口元が動いている。
その様子と声を聞いて、影八目と左右が顔を歪める。
「なっ!? 早過ぎる!!」
影八目が叫ぶ。
「クッ………」
唇を噛む左右。
「なんなの? ……この声は………何?」
耳を押さえ、困惑する星野宮。
『コノコダケハ…………ナンデモスル………サツリクシャガ………タスケテ………オレガワルカッタ…………ダカラ……イノチダケハ…………』
心が篭もっていない、声が途切れ途切れに発せられる。
だが、この声を聞いていると耳を塞ぎたくなる。
それは不快感だからか、星野宮は混乱する。
「ねぇ………何が起こるの? アンタ達は知ってるんでしょ!? 天士はどうなるの!?」
影八目は焦った表情で虚ろな目をし呟く空河を見つめながら、ゆっくりと口を開く。
「………これは殺して来た者達の最後の言葉。そして、これが始まったと言う事は下準備が終了したと言う事です」
「準備?」
影八目の言葉を引き継ぎ左右が説明する。
「この能力は骸骨を出すだけの能力じゃない。魂を奪う能力だよ」
魂。この単語に首を傾げる。
「た、魂って……どう言う意味!?」
左右は頬を吊り上げる。が、矢張り表情は焦っていた。
「骸骨に捕まるなよ? 捕まりさえしなければ、大丈夫だ。だが、捕まれば………生きる屍だ。まぁ、余裕ぶっこいてたら私は半殺しにされたけどな」
「おぉ、流石ですね。先代のφは余裕ぶっこいて瞬殺でしたよ?」
影八目も笑う。
「何でアンタ達はそんなに余裕なのよッ!?」
「私達は捕まりさえしなければ良い。だけど、問題は天士だ」
「て、天士?」
「最初の段階で彼は意識を失っています。ですが、私達の事は認識している。これは能力使用中に暴走しない為の処置だと思います。そして、今の段階で彼は精神崩壊を起こしていきます。意識も途絶えている為逃げる事は出来ない。そして、最後の段階……彼はこの世から消えます。能力者が消えて能力が消えれば良いのですが、残念な事に彼がこの世から消えても能力は消えず暴走し始めす。ですが、暴走云々はどうでも良いんですよ」
「ど、どうでも良いって――――」
星野宮は文句を言おうとして、言葉を止める。
「………その段階になったら瞬間に、私達はこの世とお別れですから………」
影八目の表情から笑みが消えている。
今窮地に立たされている。
だが、影八目は冷静に考えていた。
空河がこうも簡単に能力を使うか?
言っては悪いが、『隻眼』の一員と言う事を言っただけでこうなるか?
確かに左右も影八目も身勝手に動いた。
それにしても、だ。
「…………考えられるのは………『対策装置』」
顔を少し歪める。
そして更に考える。
『対策装置』は試作品。何かしらの支障を来したのかもしれない。
だが、その考えは直ぐに捨てていた。
普通の開発者ならばこの考えが最も妥当だろう。
だが、この『対策装置』を作った者は普通ではない。
『天才』から外れた天才。奇才。異才。悪才。
マッドサイエンティストである博士。
あの男は実験の為に人を拉致しかねない。いや、実際に拉致しているのかもしれない。
ラボすらも戦場のど真ん中に建て、死にかけた兵士などを実験に使う程の狂い様だ。
あの男が態と『対策装置』を未完にしていたら?
『対策装置』に何かを仕掛けていたら?
「………あの糞爺……」
今までの口調ではない口調で毒を吐く。
「そのマッドサイエンティストには後々で話をしたいもんだ」
左右が眉を細め、憎しみを篭めた笑みで言う。
「あの糞爺は危機察知能力が優れていますからね。かなり手間ですよ」
「絶対殺す。それだけは譲れないね」
「ハッハ………是非殺して下さい」
そんな言葉を交わし、空河を見つめる。
空河はブツブツと言葉を発している。
目は光を失い、腕をブランとさせ、空を仰いでいる。
「………その爺殺す前に天士に殺されるかもな……」
苦笑し頭を掻く左右。
「私は天士の攻撃から逃れられてもαやλに殺されます」
此方も苦笑しながら頬を掻く。
「アンタ達何話してるのよ!?」
骸骨を細切りにしながら叫ぶ星野宮。
「自慢の能力で骸骨共減らせよ! 私達は天士を相手にしないとダメなんだ!」
「な、私に押しつけるつもり!?」
「役割分担だ!!」
叫び、星野宮から天士に視線を変える。
「………優しい方を譲ってやったんだよ」
小さく呟く。
『…………………コロシテ……タスケテ………』
言葉を発する空河。
そして、視線を上から左右と影八目に変える。
生気を宿さぬ目で。
『………………………シネ』
短く言葉を発する。その言葉が、始まり。
『グガッ………ガァァアアアァァァァアアアアァァァァァアアアッッッ!!!』
空河が叫び、白い人魂の様なモノが周りに現れる。
人魂は空河の周りをグルグルと回りながら、形を形勢していく。
「………縛り付けられた魂」
左右が呟く。
空河の能力『死の行列行進』は空河が無意味に殺した者達を糧にする。
骸骨達は肉体、痛み。
人魂は精神、恨み。
全てを縛り付ける能力。
自身すらも壊す能力。
『………グギギッ………ガァアアァァァァァアアアアアアァァァ!!!!!!!』
叫びは苦痛を訴えている様に響き渡る。
「来ますよ」
「解ってる!!」
左右は空河が動き出す前に先手を打つ。
駆けだし、現実を幻想に変える。
「下手に加減はしないぞ!! お前の腕や臓器の1つや2つは奪わせてもらうッ!!」
左右は腕を振る。
それと同時に空河を囲む様に地面、宙から黒い手が現れる。
黒い手は空河をがっしりと掴む。
「出て来い………私の幻想」
左右が唱える。
その瞬間、左右の頭上に黒い巨大な穴が空き、そこから巨躯な獣が現れる。
それはまさしく、
「アンタ達の組織名と同じ。ケルベロス」
現れたのは3つの頭を1つの胴体で共存させる、冥府の番犬。
『『『グルゥゥゥゥウ―――』
ケルベロスは唸る。
普通に考えれば、ケルベロスなどは存在しない。
だが、今確かに左右の目の前で唸っている。
コレこそが左右の能力。『唯我独尊』
自身の『領域』内ならば、自身が思った非現実的な事を起こすことが出来る。
現実とかけ離れた事と言えば幻想だと左右は思った為、左右の非現実な事とはこう言う事だ。
その為、黒い手もケルベロスも説明は出来ない。
これは『幻想』なのだから。
「噛み千切れ」
左右は片目を瞑り、冷酷に言い放つ。
『『『ガアァァァアアアァァァァァァアアアアアッッ!!!!!!』』』
ケルベロスは叫び、駆け出す。
その様子を見ながら影八目は呟く。
「………何でもアリですね」
『タスケテ!!!』
空河の声であり声じゃない声が叫ぶ。
叫んだ瞬間、空河に向かって駆けていたケルベロスがいきなり動かなくなる。
「? ………どうした?」
左右は首を傾げる。
『…………タスケテ!!!』
叫ぶ。
その瞬間、ケルベロスは足下から少しずつ半透明になっていく。
「なっ!?」
左右は驚く。
「どう言う事ですか? 何で消えているのですか?」
影八目はイマイチ状況を理解出来ていない様で、尋ねる。
左右は悔しそうに唇を噛む。
「……今回は少しかけ離れ過ぎた。私の能力は現実と非現実の区別がつかない状況がベストなんだよ。だから、その境目が解らない様なモノを生み出して来た。ケルベロスはやり過ぎたな……」
左右の能力は幻想を如何に現実に見させるかが重要だ。
相手が現実か非現実かが区別つかなければ、幻想は現実同様の力を得る。
だが、幻想だと見抜かれたら消え去る。所詮は幻想。この世に存在は出来ない。
つまりはケルベロスと言うかけ離れ過ぎた幻想では簡単に見抜かれると言う事。
幻想の中でも現実・写実が大切なのだ。
『………シネ』
動き出す。
空河の周りをグルグルと飛んでいた人魂がもの凄い速さで動き出す。
「「!!?」」
動き出した人魂は不規則に動きながら左右と影八目へ向かって行く。
「クッ!?」
左右はそれを必死の紙一重で避ける。
影八目もだ。
だが、人魂は迂回し後ろから突っ込んで来る。
『………シネシネシネシネシネシネ』
呪文の様に、呟く。
その瞬間、宙に大量の人魂が出現する。
その人魂達は左右と影八目を四方八方囲む。
「……危急存亡ってヤツか」
左右が苦笑する。
「笑えないですね。ですが、余りにも窮地過ぎて笑いが出てきますよ」
影八目も苦笑する。
『………タスケテ』
人魂が一斉に左右と影八目に向かって動き出す。
逃げ場無し。防ぐこともこの数では困難。
影八目は本気を出そうか迷っているその瞬間、雷鳴が轟く。
ゴロッゥゥゥゥウウウウウゥゥゥゥゥウゥゥゥッッッ!!!!!!
「「!?」」
一瞬で半分の人魂が消える。
そして、それをやってのけた人物は、
「この惨状に俺参上!!」
何故か韻を踏みながら登場した草島。
「……光輝」
左右が名を呼ぶ。
「よっ! 姉さん! ………説明は要らないし言い訳も受け付けないから。皆鶏冠に来て今にも姉さんを袋叩きにしそうな勢いだし」
頭を掻きながら笑う草島。だが、その目は笑っていない。
「解っている。………まぁ、助かった」
「助けた覚えはないよ。姉さん」
「詩祁芽姉さん………流石の私も姉さんに今回は頭にきてますよ」
「………後で………説教」
「まぁ………さっきまで暴れてた俺が言う事じゃないけども、やり過ぎだよね」
「早く天士さんを止めないと!!」
「………そこの黒ずくめさんは誰かな?」
「部外者みたいですね。………やっぱり疫病神」
「詩祁芽……今回はやり過ぎだ」
「この後始末は生徒会がやるんですかね?」
上から陣内、月柏、大熊田、越智、明堂、鴨梨、四季波、五十嵐、木須だ。
皆それぞれ言いたい事を秘めながら現れる。
その代表として鴨梨が口を開く。
「………天使ちゃんの為ですよ。もっと集める事は出来たのですが自分の事がバレるのは嫌でしょ。ですから、知っている者達だけです。………話は後です。今は天使ちゃんを止めます」
左右に言っているのだが、見てはいない。
左右は小さく頷く。
「………此所を生き延びてもお前等に殺されそうだ」
「「「勿論」」」
言ったのは陣内、月柏、四季波だ。
明堂も言おうかどうか迷い失敗。
男子達は何となく空気読んだ。
因みに四季波は個人的な恨みも篭めて。
「さてと、2度目の天使ちゃん拘束作戦行きますか」
鴨梨が微笑んだ。
今回の戦闘では天士の能力のデメリットを紹介。
てか、デメリットしかないけどね。
凄さも伝わらなかったと思います。
ミナとの戦闘で色々な説明を入れるつもりです。
その代わり左右の能力を説明しました。唯我独尊でワガママ……まぁ、左右にぴったりですよね。
左右は必ず四文字熟語を言うキャラとしてやっていたのですが、その設定は既に何処に?って感じです。
皆が登場した時、鴨梨だけがアレでしたね。
まぁ、これだけ登場人物多ければね。1人や2人……。
それではそれでは………。
追伸
生徒会○員共……面白い。