封豕長蛇~何かを急ぐ彼女~
いやぁ~・・・中々登場人物が多すぎた。
主要メンバーが7人。
そんで生徒会とか左右とかその他諸々・・・多すぎる。
捌ききれん!!
謎の死!!・・・ダメか。
第一校舎RANKⅡ教室。
『次はRANKⅢの『感覚的能力』の皆々様々は第一校舎校庭に集まって下さぁ~い!!』
スピーカーから風桐のテンションの高い声が流れる。
それを聴きながら空河は窓の外を見ていた。
瓶のコーヒー牛乳をストローで飲みながら。
「あぁ~………面倒臭いなぁ~」
若干うとうとしながら呟く。
本当に堕落している。
色々事情があるからと言ってこれ程に堕落するものなのだろうか?
それとも、別に色々なくともこうなのだろうか?
両腕を上げ、背筋を伸ばす。
「ん~………はぁ~」
ドドドドドドドドドドドドドドッッッッッッッ!!!!
「んぁあ?」
何かが走る音が。しかも凄まじい程けたたましく。
すると、教室のドアが思いっきり開けられる。
「天士ッ! ちょっと面貸しなッ!!」
何処ぞの不良みたいな台詞を叫ぶ左右。
「………はぁ?」
間抜けな声を出す空河。
「い・い・か・らッ!! お前に否定する事は許されてねーの!!」
そう叫びながら空河の襟を掴み、引きずる。
「えっ? 何で? 俺なんかした?」
絶賛動揺中の空河。
だが、左右は無言で空河を引きずる。
「えぇ~?」
それに戸惑う空河。
誘拐だよね。もうこれは。
『それでは! 今から『攻撃系能力』のRANKⅠの生徒さんは集まって下さぁ~い!! 気温は徐々に上昇!! このまま行けば30℃行くかなぁ~?』
スピーカーから流れる風桐の声は活き活きとしている。
それに対して、外に居る生徒達はまるでゾンビだ。
腕をぶらぁ~んとさせ、トボトボと歩いている。
その様子を木陰で見ている鴨梨と越智と大熊田、明堂、陣内。そして気絶している草島。
バカは先程のプチ乱闘で強制的に意識を刈り取られたらしい。
「はぁ~お腹減った」
陣内は呟く。
「あっ! 私お弁当作って来たんですよ? 皆さん食べます?」
明堂が大きめの鞄から風呂敷に包まれた弁当箱を取り出す。因みに重箱だ。
「亞美………気が………利く」
大熊田が明堂を褒める。
「えへへ~」
照れる明堂。彼女は何だろうか、可愛らしい。
「流石亞美ね。私お腹減ったのよ」
陣内が喜ぶ。
「流石メイドちゃんだ! お嫁にしたいね!!」
オーバーリアクションで喜ぶ鴨梨。
「流石だね。あっ、そう言えば雪袖はもう調査終わったんだろ? どうだった?」
地べたに座りながら越智が尋ねる。
「ん? あぁ~去年通りよ。まぁ、本気を出せばぁ~とかだったんだけど、もし本気出せばアイツと同じになるから。私アイツ大嫌いなんだよね」
「雪袖さんはどうしてそこまで会長さんを嫌うのですか?」
明堂がお弁当を広げながら尋ねる。
「まぁ、腐れ縁だからじゃない?」
と、真実は言わず適当に流す。
「吉はどうするんだ? 雪袖みたいに本気を出さないのか?」
越智が尋ねる。
「俺は………手加減はしない………自分を出し切る………」
巨漢で怖いと思われる大熊田は実は男気溢れる優しい男なのだ。
無論全てにおいて一本気の男なのだ!!
「んじゃぁ~プーさんはRANKⅣかな?」
お弁当のサンドイッチを食べながら鴨梨が笑う。
「まぁ………そうなれば………そうだな」
そう言いながらおにぎりにかぶりつく大熊田。
「亞美もRANKⅣ狙えるだ? 『治癒系能力』では亞美はずば抜けている方だしな」
「そ、そんな事ないですよ~」
「そこは肯定して良いわよ。認めているって事なんだから。あっ、この卵焼き美味しい」
「で、でも! 本当に私なんかより凄い人いっぱい居ますし。その卵焼きには自信あるんですよ」
「まぁ、頑張れば良いでしょ。何処まで行けるかって腕試しでもあるんだし」
「は、はい!」
ガッツポーズをして意気込む明堂。うん。可愛らしい。
「所で、天士は?」
越智が紙コップにお茶を注ぎながら尋ねる。
「俺の調査始まる前は一緒に教室に居たんだけど、今も教室かな?」
「今頃どうやって調査をクリアするか考えてるのよ」
「大変………だな」
「天士さんは去年どうやってクリアしたんですか?」
1年生の明堂は去年の事を良く知らない為尋ねる。
「去年は10秒以内に購買からパンを買って来いって調査内容だったわね。流石に購買に一瞬で行けないからそこら辺に歩いている生徒からパン奪ったのよ」
「それ、大丈夫だったんですか?」
流石の明堂も若干引き攣った表情。
「怪しまれたよ。んでも、そこはあれよ。理事長がね。何とかしてくれたらしい」
「でもまぁ、今回は前回とは調査内容違うだろうし、同じ事をしてもバレるだろうな」
「大丈夫なんでしょうか?」
心配そうな表情になる明堂。
「今回は………姉さんが………居る………だから………大丈夫」
「まぁ、大丈夫だろうけどさ。姉さん快楽主義者だしなぁ~、態と傍観して楽しもうって考えるかもしんないな」
「まぁ、なんとかなるでしょ。今回は多分アイツも手伝うだろうしね」
アイツとは勿論月柏の事で、陣内が面白くないと言う表情を浮かべる。
「そ、そうですかぁ~………心配です」
まぁ、この心配はある意味的中なのだが………。
特別校舎裏・森。
「いきなり連れて来られて、なんだよ?」
不機嫌さを隠さずに空河が尋ねる。
その空河の目の前には腰に手を当てている左右。
「いやぁ~ね。ちょっと気になる事があるんだよ」
「気になる事?」
左右は眉間に人差し指を当てながら尋ねる。
「あの星野宮ミナって子は、アンタの幼なじみよね?」
「いきなり何だよ。………まぁ、5歳までだけどな。それがどうした?」
首を傾げる。
「ん~あの子って、『バーディア』では結構有名な子だったんだけどさぁ」
眉間に皺を寄せる左右。
「それが? てか、知ってるの?」
「まぁ、ね。向こうの情報システムにハッキングして、覗き込んだんだけどさ」
サラッと言う左右。既に慣れているので空河はツッコまない。
「んでな。あの子向こうでは残虐として恐れられているんだよ。『Blood-stained princess』………『血塗れ姫』って呼ばれる程にな」
「『血塗れ姫』? 何だ? 向こうでは戦争でもしてんの?」
「まぁ、戦争でも間違えではないかもしれない。向こうでは実戦訓練って言うのがあってな。この高校とは違って何でもアリの訓練だ。その実戦訓練ではルールは不殺だけ。それ以外は何でもありなんだ。その実戦訓練で、あの星野宮ミナは全ての相手を半殺しにしている。試験管が止めなければ殺していたかもしれないパターンも有りだ」
それを聞いて空河が眉を細める。
「別に珍しい事でもねぇんじゃねぇか? 訓練でも本気だったって事だろ?」
「降参している相手に追い打ちをかけるのが、か?」
「なっ!? んな事してんのかアイツ!?」
流石に驚く空河。
空河は戦場などを関係しているが、その場合は完全な敵なので余程の事が無い限り見逃しはしないが、星野宮のやっているのは訓練だ。何でもアリでもそれはどうか? と思っていた。
「あの子はどうやら何かを急いでる様だな。先程も鈴葉相手に強気に出ていたよ。あのまま行けば本末転倒だ」
笑みを浮かべながら言う。
「会長相手にもか………ある意味スゲェーがそれはダメだな」
苦笑する。
「んで、結局俺にどうしろと?」
「まぁ、お願いと言うか強制なんだがな」
空河に否定権は無い。今に始まった事ではない。
「まぁ、良いけどよ」
実の空河も諦めている。
「まぁ、天士にはな。あの小娘を―――潰して欲しいんだよ」
左右は不敵な笑みを浮かべた。
「…………………は?」
案の定間抜けな顔をする。
「一朝一夕で出来るでしょ?」
などと言って、左右は笑みを静かなものへと変えた。
第二校舎裏
校舎裏で複数のRANKⅣ生徒が集まっていた。
その中のリーダー格の男子生徒が口を開く。
「アイツの周りには色々なヤツが居る。まず、鴨梨と草島だが」
「その2人は無視しても良いと思うぞ。落ち零れの代表格だしな」
短髪の男が笑いながら答える。
「そうだな。問題は陣内・越智・大熊田だな。明堂は戦闘向けの能力じゃないから無視だ」
「俺的には陣内と越智は差ほど脅威じゃねぇと思うぞ? 所詮は噂が誇張しただけだろうしな。問題は大熊田だろう? アイツRANKⅣぐらいの実力はあるだろうしな」
金髪の男が言う。
「そうだな………それじゃ、鴨梨。草島には1人ずつ。陣内・越智には保険で2人ずつ。大熊田だけには5人とするか」
リーダー格の男はそう良いながら不敵な笑みを浮かべる。
「そして、俺含め10人でアイツをぶちのめすぞ」
周りの複数の男子生徒達も笑みを浮かべる。
「あの、生意気な空河天士を!!」
裏で動き出す者。
何故か狙われる空河。
空河は空河で星野宮を潰せと言われる。
他にも、謎の侵入者など。
一体どうなる?
短かったですね。
色々考えてはいるのですが、どうやって繋げるか考えてるんですよ。
何故か先の事ばっかり思いついて、この後どうするのかとか、全然で。
それでいっつも躓く。進歩しねぇーなぁ~。
温かい目でこれからも読んでください・・・・。