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One-eyed  作者: 龍門 
ランク上げ編 =Envy and deliberation=
18/60

奇々怪々~こんなに暑いのに・・・~

バカはフルスロットル。

書いていて楽しかった。





 第一校舎校庭。

 6月だが暑い。熱い。熱気が凄い。


 理由は今から始まる定期能力値調査及び能力解明調査。通称RANK上げ。

 現在結構広いはずである校庭が人で埋め尽くされている。


 RANKⅠからⅢの生徒だ。

 RANKⅣだけが第二校舎校庭での実施となる。言ってしまえば差別だ。


 で、現在開会式的なものが執り行われようとしている。

 意味があるかどうかは不明。


 縦に綺麗に並んでいる様に見える生徒達。

 だが、表情は死人だ。だが、死人と違うのが冷たいのではなく、クソ熱いのだ。


 すると、学園敷地内各所に設置されたスピーカーからノイズが聴こえる。

 そして、

『はぁ~い! 今日は皆々様々のスケジュールなんかを逐一報告しちゃうイベント発案部部長の風桐楓佳かぜきりふうかでぇ~す! いやぁ~皆々様々はこんなクソ熱い中、良く外で棒立ちできますねぇ~。因みに私は今涼しい放送室の中で優雅にアイスコーヒーを飲んでいます!! おぉ~此所からでも皆々様々の殺気が伝わってきます!!』

 ハイテンションな声がスピーカーから流れる。


 『イベント発案部』名の通りの部活だ。

 決まった学園祭や競技大会、このRANK上げ以外のイベントを企画する部活。

 結構偏った趣味趣向のイベントが発案したりなど、結構際どい部活動なのだが、生徒達の意志を尊重した融通が利く部活の為生徒内からの人気は高い。


 因みに、校庭に並ぶ生徒達は虚ろな目でブーイングしている。


『今回は司会進行を務める事になっちゃいました!! まぁ、喉は疲れるけど涼しいので無問題です!!』

 もう既に生徒達の耳には風桐の声は届いて………いや、極一部の熱狂的な男達が喜んでいる。


「ふぉー!! 楓たん最高ッ!!」

「君の声だけで元気100倍さッ!!!」

「楓たん愛してるぜぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!!」


 鉢巻きを巻き、腕を高らかに掲げる男達。

 気温がいきなり上昇。


 まぁ、男達は風桐楓佳の熱狂的ファンだ。

 この学園では結構そう言ったファンクラブが出来ている。


 月柏の『会長様に切り捨てられ隊』。四季波の『俺の秘密は君のヒ・ミ・ツ』。陣内の『その瞳で睨んで蔑んで!!』。他にも多々だ。


 これは『楓たんLOVE~永遠に君を愛す~』だ。

 どこのファンクラブも名前が際どい………いや、アウトか。


 そんな男達のせいで生徒達は倒れる寸前。

 すると、並ぶ列の中で1人の男子生徒が騒ぐファンクラブの連中に向かって叫ぶ。

「黙れやクソがッ!! あの雌猫の何処が良いんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」


 その叫んだ男子生徒の名は………言わずと知れた、遅れて来た馬鹿野郎ムードメーカーそして馬鹿野郎アブノーマル草島バカだ。


 風桐とは何かあったらしく、偉くご機嫌斜めなご様子。

 列を掻き分けながらファンクラブの連中に向かって叫んでいる。


「貴様! 楓たんを愚弄する気か!! 皆の者!! あの愚か者に愛する者の力をッ!!」


「「「「「「「「「「オォォォォォォオオオォォォォオオオッッッッ!!!!!!!」」」」」」」」」」


 むさ苦しい男達が一致団結している。


「上等だゴラァ!!」

 何故か怒っている草島バカ


 何故か勃発する草島バカVS熱狂的変態集団ファンクラブ

 全然結果が気にならない乱闘。


『いやぁ~ん私の為に争わないでぇ~!! ………さて、それでは始めたいと思います!  最初は『感覚的能力センス・アビリティ』のRANKⅠの生徒さん以外は校庭から出て下さい!! 因みに調査の邪魔さえしなければ好きな事してて良いらしいですよぉ~』


 適当に流す風桐。

 だが、都合の良い感じで解釈する馬鹿共。


「皆の者聞いたか! 楓たんが俺達を応援しているぞ!! この戦は勝ち戦だァァ!!」


「「「「「「「「「「「オォォォォォォオオオォォォォオオオッッッッ!!!!!!!」」」」」」」」」」

 熱狂的変態集団


「此所を貴様等の墓場にしてやるぜェェェ!!!!」

 暑さのせいか、それとも矢張り風桐と何かあったのか? 走りながら叫ぶ草島。


 そんな馬鹿共を尻目に各々自由時間に突入する生徒達。


「おぉ!! 我々の気迫で道が開いたぞ!! 勝利は我々の手の中に!!」


「「「「「「「「「「オォォォォォォオオオォォォォオオオッッッッ!!!!!!!」」」」」」」」」」

 何故かまた勝手な解釈。と、言うか思い込み。


「オラオラオラオラオラオラオラッッッッ!!!!!!!」

 格闘ゲームのようだ。


 余談だが、この叫び声を聞いて第二校舎の校庭に居た四季波がウズウズしていた事を、誰も知らない………。


 そしてこの馬鹿共の乱闘で検査は20分押しで始まった。











 場所は変わって第一校舎校内。RANKⅡ教室。


「やっぱりエスケープしといて良かったな」

 校庭を見下ろしながら溜息を吐く空河。


「そうだな。あれは………もう何とも言えない惨劇」

 顔を青くする鴨梨。


 校庭では暴れる草島が数名の生徒に押さえつけられている。

 それでも尚叫ぶ草島。


「バカに拍車が掛かってるな。あれは死んでも直らないだろ」

 空河が瓶の牛乳をストローで飲む。


「アイツ等のせいで温暖化にも拍車が掛かるな」

 濡れ煎餅を食べる鴨梨。


 この2人は何となくこうなる事を予測して開会式をエスケープ。

 そして教室から眺めていた。

 案の定こうなった。暑苦しい。


「んでも、俺等の番まで結構時間あるな」


「これだけの人数を1日だけでやろうって言うのは間違えだよ」

 鴨梨が愚痴る。


 在学生で、能力者の数は1000居るかどうか。

 その数を1日で検査すると言うのは、結構無謀である。


「てか、サボろうかな………」

 眠そうな目を擦る空河。


「昨日眠れなかったのか?」


「………まぁ、うん。てか、お前等が逃げたからだろ?」

 ジト目で睨む。


「いやぁ~皆が憧れる会長様と仲良く出来て………良かったじゃん」

 目を逸らしながら笑う鴨梨。


「クソが。人生ゲームでオールって………有り得ないだろう」

 どうやら昨日月柏、左右と人生ゲームでオールをしたらしく、一睡もしてない空河。


「人生ゲームでオールって、何回やったの?」


「普通の人生ゲームじゃないんだよ。姉さんが作った『人生エベレストありコルカ峡谷あり。上手く行く人生はクソゲーじゃ!!』って言うふざけたオリジナルだよ」


 世界一高い山と世界一深い谷。簡単に乗り越えられるものじゃありません。

 空河は深い溜息を吐く。

「………何で戦場カメラマンって言う職業があるわけ? 何で俺は何時も銃殺されわけ?」

 ふさぎ込む空河。


「………凄まじい人生送ったんだな」

 片を優しく叩く鴨梨。目にはうっすらと涙が。


「………あの2人は何故か世界牛耳るし………」


 ………それは本当に人生ゲームなのだろうか?

 覇道を突き進むゲームなのでは?


 兎も角、凄く疲れたらしい。


 そんな疲れ顔の空河に同情しながらも、笑みを浮かべる鴨梨。

「まぁ、お疲れなのは解るけど、今年はどうやって能力誤魔化すんだ? 使えば即情緒不安定になるぞ? てかそれ以前にお前の平穏は遠くの彼方へだ」


「そこは姉さんに頼む。ちょいちょいっとね」

 どうやら左右に協力してもらい誤魔化すつもりらしい。


「姉さんが了承したのか?」


「いや、一応は頷いてくれたが………どうだろうな」

 鴨梨の問いに暑さでダルそうな表情が少し不安げな表情に変わる。


「まぁ、協力が無理なら去年みたく瞬間移動ぽく能力使って、さっさと逃げるのが良いだろう。怪しまれても此所の理事長は一応天使ちゃんの保護者だぞ?」


 空河は自身の師匠の知り合いである、この学校の理事長である朝部寛太朗あさべかんたろうの所に預けられたのだ。

 去年のRANK上げでも情報操作的なので誤魔化してくれたのだ。


 その為、表向きでは空河の能力は瞬間移動となっている。

 まぁ、能力を使い一瞬で移動した様に見せただけなのだが。


 けれども矢張り瞬間移動との違いが出る。

 それを何とか誤魔化した去年。

 今年同じ事をすれば流石に気付かれる。


 その為空河は悩んでいた。

「………面倒臭いなぁ」

 そう言いながら溜息を吐く。


「まぁ、なるようになれじゃないの? いざとなったら俺達がなんとかするし」

 頼もしい事を言う鴨梨。だが、表情には「面白ければ」などと書いてある。


「………期待はしない」











 場所は特別校舎生徒会室。


「去年みたいな事が今年もあるのかしら?」

 月柏がソファーに座りながら木須に尋ねる。


「どうだろうな。このRANK上げの自由時間で去年は結構騒ぎがあったし、今年もあると考えて良いだろう。この大人数が一斉に自由時間だ。教師も我々みたいな委員も検査などで監視する余裕はないからな」

 木須が眼鏡を上げながら言う。


 その2人の会話を聞いていた星野宮が尋ねる。

「あのぉ、去年なにかあったのですか?」


「ん? あぁ、去年は怪我人が10人も出ると言う事があった」

 木須が答える。


「それは生徒間での?」


「そうだ。何が原因かはどうか分からないが、ボコボコにされているのを発見してな」

 木須が再度眼鏡を上げる。


「ボコボコ?」


「2人の男子生徒VS50人と言うフェアーのフの字もない喧嘩だよ。その内10人が記憶など混濁する程ボコボコにされている。まぁ、無傷だったのはその男子生徒2人だけだけどな」

 木須が思い出しながら少し微笑む。


「その2人って誰なんですか?」


 その問いには月柏が答える。

「1人は今自分捜しの旅に出ているわ。もう1人は貴女も良く知っている人物よ?」


「私が知っている人物?」


 月柏は微笑む。

「『五人衆』の1人、空河天士」


「なっ! 天士が? でも、天士ってRANKⅡですよね?そんなに強いとは思えないのですが?」

 星野宮と空河は幼なじみであるが、それは五歳までの事。それ以降は互いに何も知らない。

 10年前の『雷の投擲ゲイ・ボルグ』による飛行機爆破テロの事は知っているには知っているが、その後空河が『隻眼の番犬ワン・アイド・ケルベロス』の元に居たのは知らない。


 その為、空河が本気を出せばRANKⅣ並の実力を持っている事も知らない。


「彼は………唯一私を負かした男よ?」

 微笑む月柏。


「えっ!? 会長をですか? ………何かの間違えでは? RANKⅡがⅣに勝てる訳はありませんよ?」


 星野宮が言った事は当然な事である。

 このRANKⅡとⅣでは雲泥の差、月とスッポンである。

 例えRANKⅣが不調であろうと、RANKⅡが勝てる事は不可能と言われている。

 それは能力差がモノを言う。火が水には勝てない様なものだ。

 例え火も強ければ水を蒸発させられると言っても、出力が違う。

 RANKⅡがそれ程の力を持っていれば、Ⅳだってそれを上回る力を持っている事になる。


 このRANKは確実な格差を現している。

 戦略や気合いでどうなるわけでもない。


 偶に油断し、負ける者もいるがそう言った者は無条件で落とされる。

 ストイック過ぎる感もあるが、それだけ厳しいものだと言う事。


 その為、RANKⅡの空河がRANKⅣの月柏に勝てる訳がない。と、言うのが星野宮の意見、いや全ての能力者の意見と言っても間違いはないだろう。


 だが、現に空河はRANKⅣ程の力を持っているし、『隻眼の番犬ワン・アイド・ケルベロス』での本物の殺しを感じている。


 その為空河が勝っても不思議は無い。

 だが、その事を知らない星野宮は首を傾げる。


「フフ、そうね。RANKⅡでは私には勝てないわね………Ⅱなら、ね」

 意味深に微笑む。


 星野宮の頭の上にはクエスチョンマークが何個も浮いている。

 その様子を見ていた木須が溜息を吐く。


「早く、同じ舞台に立ちたいわね」

 そう呟き、窓の外を見た。真意は、不明。
















 その頃、第二校舎校庭。


「よよよよよよよ、よぉ~、きききききき、久太郎」

 動揺しまくる左右。


「ん? !!? ………しししししししししししし………詩祁芽?」

 同じく動揺する五十嵐。


「チッ!」

 舌打ちする四季波。


「お………おおおおおお、お前教師に、なななななななな、なったのか?」


「う………うん。きょ………教師に、なななななななな、なったぞ」


 もう何を言っているのかさっぱりだ。

 お互い相思相愛の筈なのに、何故にそんなに緊張するのか?


 そして、その2人の後ろで四季波が真っ黒な表情だ。

 彼女は左右が嫌いなのだ。色々な意味で。


「ちょちょちょちょちょちょ………調査、ききききき、気合い入れろよ?」


「おおおおおおおおおおおおぅ。まかせろ」

 ある意味初々しい。


 だが、周りの3年生共は同じ事を考えていた。


『『『『『『『『『『さっさとより戻せよッッッ!!!!!』』』』』』』』』』


 RANKⅣの3年は皆2人が付き合っていた事を知っている為、苛々している。てか、付き合ってくれれば左右の暴走への力が五十嵐への愛へベクトル変換される為に、皆が皆よりを戻す事を願っている。


「………チッ!」

 真っ黒な四季波は再度舌打ちをした。







いやぁ~一人称が結構滅茶苦茶だ。

鴨は僕だっけ?俺だっけ?

越智は俺だっけ?僕だっけ?


私だっけ?個性がないからこうなるんだよな・・・。

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