Switch switch. Elder sister and clumsiness~スイッチ切り替え!姉貴と不器用~
冒頭を加筆いたしました。
・・・なんだろうな。まぁ~いいや。
次回からランク上げ編!です。タイトルが英語から日本語へチェンジ!
ぶっちゃけ面倒だからね!考えるの!!
ある寮の一室。
広い部屋には寮とは思えない程の家具や電化製品が置いてある。
そんな中、複数の男子女子区別無く座っていた。
制服を着ている者も居るが、白衣を纏った完全に生徒ではない者も居る。
そんな異様な空気が流れる一室で、1人の男子生徒が口を開いた。
「章吾の姿見えないが………どうやら何かミスをしたらしいな」
章吾とは小国の事だ。
「そうだな。教師からの説明も何も無いし、ミスったらしいな」
「だが、章吾が居なかったら色々と今回の作戦に支障が出ないか?」
眼鏡を掛けた男子生徒が尋ねる。
「ハッ! 小国の『状況把握』が無くとも俺の炎で燃やし尽くせるぜ!!」
細身の男が笑う。
その笑い声を聞き、他の奴等も笑みを浮かべた。
「そうだぜ? 俺等はRANKⅣだ。有名だかなんだか知らないが、所詮態度がデカイだけの奴等が集まっているだけ、俺等に敵う訳がない」
それは自信なのか? それとも慢心なのか?
拳を作る。
「会長も、あんな男と仲が良いのは何か弱みとかでも握られてるんだ。それ以外に考えられない」
それは誤解か? それとも思い込みか?
笑みを作る。
「あぁ………俺等でアイツ等潰そう」
「今回の呼びかけで結構集まったしな。アイツ等普段から恨み買ってるみたいだし、面白くなりそうだ」
動き出すは嫉妬の塊。
積み重なったモノは、破裂するのか? 不発のままか?
不穏が動く。
定期能力値調査及び能力解明調査。通称RANK上げ。
の、前日。
生徒達は明日に備えて様々な事をしている。
訓練したり、休んだり。人ぞれぞれ明日に備えている。
だが、ある者達はそれどころではなかった。
ボードゲーム研究会部室。
「………何で教師に?」
腕を組み、足を組む空河が左右に尋ねる。
「いや、私ってもう卒業しているから、皆と顔を会わせる機会が多い職業と言えば教師だと思ってな」
ソファーにドカッと座りながら説明する左右。
「思ってな、って………五十嵐さんに会う口実がそれって」
手で顔を覆う空河。
「思い立ったら直ぐ行動するそれ、度が過ぎるとイタいだけですよ?」
越智も手で顔を覆っている。
「いやぁ~それに前々から教師やってみないか? 的な誘いはあったからさ。実に良い機会だと思って」
ある意味猪突猛進型の左右。
「………まぁ、目的は久太郎なんでしょ?」
「へっ!?」
陣内のその一言で素っ頓狂な声を上げる左右。その様子を見ながら鴨梨が笑う。
「解りやすいなぁ」
「でもさぁ、久太郎はどうなんだろうな。まだ姉さんの事好きなのかね?」
此所で爆弾を投下する空気読めない。
「………どうしよう」
一瞬で表情が暗くなる左右。
「いや………大丈夫………だと………思う」
フォローを入れる大熊田の後ろで、空気が読めない天然爆弾が皆にボコられていた。
「本当に?」
若干涙目の左右。
彼女は何時もは強気なお姉さんタイプなのだが、五十嵐の事になると全てに措いて若干思考回路がショートする面白い子なのだ。
「ほ、本当だと思いますよ!!」
励ます完璧メイドこと、明堂。
さて、此所で何故こんなにも五十嵐を気にしている左右がどうして別れたのか?と、言う疑問だがそれは簡単に言えば自然消滅に近い。
2人が付き合っていたのは左右が3年、五十嵐が2年の間の1年間。
2人は結構お似合いな感じではあった。
だが、左右の卒業間近の時何故か左右は五十嵐と距離を置き始めたのだ。
原因は現生徒会会長の月柏。
月柏が渡した『距離を置けば追って来る! それが本当の愛だぜ!!』などとふざけたタイトルの恋愛攻略本なんかを渡した事が原因。
それを真に受けたこと、恋愛に対しては奥手で思考回路が麻痺する程の純粋な左右はそれを実行。
結果、何故か自然消滅。
んで、何故か地下に篭もると言う結果に。
月柏の真意は不明だが、そのふざけたタイトルの本が左右に渡される前から結構読み込まれた後が解り、月柏自身もこの本の崇拝者では?と言う感じだ。
つまりは善意で本を渡したと。
結果はどうあれ不憫だ。
それを知っている空河達はまだまだ脈はあるだろう?などと考えている。
だが、問題は左右の恋愛不器用病。そして、五十嵐の結構彼って鈍感だよね病だ。
五十嵐自身も恋愛事は得意ではない。
人の事に関しては敏感な奴ほど、自分の事になると気付かないものだ。
五十嵐は残念な事に自分は左右に嫌われた。と、思っている。鈍感男は左右の行動の真意が掴めず、勝手に諦めた節があった。
そんな奴にこの恋愛不器用病の左右がどう再度アタックするのか?
それが問題。
そして、このまま上手く行かなければ八つ当たり的なのが来るのでは?と、言う不安と恐怖が過ぎっていた空河達。
どうにか………誰かに押しつけないか?
と、既に自分達で左右の恋を応援する気が無い面々。そこで、話してもいないのに皆の考えが一致する。
………会長!!
見事一致。
だが、どうやって月柏に擦り付けるかだ。と考えている。
月柏自身は差ほど左右を嫌っていない。
ある意味慕っている所もある。
生徒会の仕事に関しては左右は冷酷な人だった。その姿が今の月柏にトレースされている。
それと、月柏の完璧。そして未完成。これも左右と同じである。
左右の場合は姉貴。そして不器用になる。
このオンオフの切り替え人格も月柏はトレースしている。
だが、何故か月柏は不器用の左右が苦手である。
理由は不明。
それと、月柏のスイッチのオンオフは空河と2人っきりでオフ。自分のその姿を知らない者が現れたらオンだ。
だが、左右の場合は五十嵐の名前が出たら無条件でオフだ。
その後、中々戻らなくなる。此所だけが違う。
とまぁ、面倒臭い所が似ているのだ。
兎に角、姉貴にしてから月柏の前に連れ出す事に決定されたらしい。
………らしい。
「まぁ、久しぶりに表に出た事だし会長にでも会ってくれば?」
空河が切り出す。
「ん? ………そうね。久しぶりに鈴葉とお茶でも飲みながら話そうか」
そう言いながら部室を出ようとする左右。
「んじゃな、お前等」
そう言い残して部室を出て行った。
その瞬間、
「「「「「「「…………………はぁ~」」」」」」」
深い溜息を吐く。
その時、部室の外から左右の声が聞こえる。
「あっ、鈴葉を此所に呼べば良いじゃない」
「「「「「「「な!?」」」」」」」
空河達は一斉に硬直する。
月柏は空河さえ居なければ未完成になる事はない。
だが………、
「早速電話で呼び出しだ」
左右がそう言った瞬間、部室にいた7人は動き出した。………ぁ、逃げようとしている。
草島は2階に上がり、窓から木の枝に飛び移る。
鴨梨と陣内は1階の窓から飛び出す。
大熊田と明堂は何故か床に付いている地下への扉を開け逃走。
そして空河と越智は、
「宗次! お前が犠牲になれ!!」
「いやいや天士! 愛しの会長だぞ! 2人っきりでお楽しみすれば良いじゃないか!」
「お楽しみって! てか姉さんいるんだから2人っきりじゃねぇーし! それに2人っきりになったら俺死ぬ!!」
「尊い犠牲だッ!!!」
越智はそう叫び、空河の首に手刀を落とした。
「ぐあッ! ………卑怯者、め………」
そのまま気を失う空河。
その隙に窓から逃走する越智。
そして部室には気絶している空河1人。
その頃左右は。
「そうそう部室。天士居るぞ。だから速攻で来い」
空河を餌に月柏を呼び出していた。
そして2分後。
ボードゲーム研究会部室前。
腕を組みながら壁に寄り掛かって目を瞑っている左右。
そこへ、
「遅くなりました。中々学が行かせてくれなくて仕事を片付けていたら2分も」
そう言いながら腕時計を見る月柏。
「ん? いやいや、良いよ。待たせるのは嫌いだけど待つのは差ほど嫌いではないから。まぁ、限度はあるけどな」
そう言いながら部室の扉を開ける。
そして、2人が最初に目に入ったのが気絶して床に無防備に倒れる空河。
左右は辺りを見て他の者の気配が無い事に気付く。
「チッ! ………逃げたな」
呟き、不敵な笑みを浮かべる。後々が怖い。
ふと、横に目をやると月柏が硬直していた。
勿論視線の先は気絶して無防備の空河。
「………鈴葉?」
「気絶………無防備………邪魔者無し………2人っきり」
何かブツブツ呟き始めた月柏。
「いや、私も居るから3人だぞ? 何勝手に脳内で削除している?」
左右がそう言うも、月柏の耳には何一つ届いていない。
そして―――オン………。
「天使ちゃんだぁ~!!!」
完璧からは考えられない声色で気絶し無防備の空河に飛びつく月柏。
その様子を見ながら知っていながらも若干引く左右。
月柏は空河を抱きかかえて頬ずりしている。
「天使ちゃんが無防備ぃ~!!」
などと叫んでいる。
空河の貞操は此所で失われる………かもしれない。
ボードゲーム研究会部室から少し離れた所。木に体を隠しながら部室を見る1人の男。
耳に携帯を当てながら、微笑む。
「フフ………えっ? 何を笑っているかって? いやいや、エンゼルが面白い事になっていましてね」
男はそう言いながら部室から視線を外す。
「随分丸くなって………少し吃驚ですよ。そして、この学園の警備の薄さにもですけどね」
男はポケットからリング状の何かの装置を取り出す。
「嵌れば良いのでしょ? 解っていますよ。えぇ。私はそこまでドジではありません。はい、えぇ、解っています。気付かれない様にですよね。ですが、あの『幻想』が表に出てきた事は予想外ですね。えぇ、支障はそれ程。はい」
男は会話をしながら、リング状の装置を眺める。
「えぇ。大丈夫ですよ。これでも………隠密は得意なんですから」
そう言った男の表情は、恐ろしい程無表情だった。
「協力者? 誰が………あぁ、彼ですか。成る程。彼ならエンゼルに近い人物ですしね。兎に角今はまだ様子見ですかね。そうですね。まぁ、向こうの出方次第です。はい。了解です」
会話を終えた男は携帯を切る。
そして、無表情に表情が戻る。
「………フフ、だから予想外なんだ。何故、貴女は私の前に居るのですか? 『幻想』」
「余裕だな。態々電話が終わるのを待ってあげたんだぞ? お礼の1つや2つ欲しいな」
腕を組みながら男の前に立つ女性、左右詩祁芽。
男は微笑みながら部室を見る。
「………今、部室に入って行った人は貴女ですよね? では、貴女は?」
「アレも私でこれも私。忘れた? 私は『幻想』と呼ばれている女だぞ?」
左右は笑みを浮かべる。
「そうでしたね。説明の出来ない事をやってのけるのが貴女でしたね。それで? 私に何の用でしょうか? 用が無いのなら、私は一度退きたいのですが?」
「逃がすと思っているのか? 一応私は………教師だぞ? そして………『最強』だ」
その瞬間、男の頭の上から真っ黒な手が現れる。
だが、男はそれを見ずに避ける。
それもどうやって避けたか解らない様に。
「………避ける動きすら読めないなんて、凄まじいな」
口ではそう言っているが、表情は笑みのままだ。
「………どうやら此所はもう貴女の『領域』でしたね。これは失態だ」
「チッ! 不意打ちが躱されて、オマケに能力も一瞬で分析か。嫌な奴だな」
「いえいえ、解ったのはこれだけですので。今の手がなんなのかとか、どうして何も無い所から? などと言った事は解りません。なので、逃げさせていただきますよ?」
「逃がすか!!!」
叫び男に向かって走る左右。
だが、
「残念。一旦終了です」
男がそう言った瞬間、男は自身の影の中に沈んで消えた。
「チッ! ………アイツも『異常系能力』か」
誰も居なくなった森の中で、初めて表情を歪めた左右。
風向きが、少しずつ変わるのを感じながら………。
説明が多いのは説明しとかないと説明する機会を無くすからです。
なので一応の説明はバババット!!
次回からランク上げ編!
能力が出る!出せる!書ける!!
一応少し長めと考えています。
ですが、最初の何話かはのんびりコメディー強めで。
後編では少し戦闘シーンが多め的な感じで考えています。
それでは・・・。