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One-eyed  作者: 龍門 
プロローグ =Long prologue=
16/60

Predecessor who was called witch~魔女と呼ばれた先代~

前回声だけ登場した女性が登場。


・・・変な所で露骨なラブ要素。

てかお前等能力使えよ!!


それと、今回天士の能力説明があります。

まぁ、かなりチート的な感じですが、唯では使わせない。





 前回のダイジェストッ!!!


 叫ぶ女に空河と越智が襲われましたとさ♪♪ しかも忽然と姿も消しましたとさ★


 簡単明確に説明しました。が、これは結構な事件だった。

 普通の一般的な生徒には「何だ? 何だ?」程度の事件だが、叫ぶ女を知っている・・・・・生徒達には背筋以上に心臓自体が凍え固まる程だった。


 理由は空河と越智が拉致られた事では無い。

 問題はその女性が表に現れた事だ。


 女性の名は左右詩祁芽さゆうしぎめ

 先代生徒会会長であり、『幻想ファンタジー』と呼ばれ、『暴風魔女ストーム・ウィッチ』とも呼ばれる女性。


 『幻想ファンタジー』と呼ばれる所以は彼女の行う事全てが有り得ない事だからだ。

 その為、全てが現実離れしている為に幻想などと呼ばれている。


 そして『暴風魔女ストーム・ウィッチ』とは歩いた後は滅茶苦茶になっている事から暴風ストーム。そして幻想から準えて魔女ウィッチ


 そんな彼女は先代の生徒会会長にも関わらず、既に伝説と化している。

 だが、左右を知っている・・・・・者達に取ってはその伝説が現れた事自体ではなく、その彼女が表に出てきた事だ。


 つまりは、何故伝説と化しているのか?と、言う事である。

 簡単に説明すれば彼女は卒業後一度も表、つまりは外に出ていない。

 引き篭もっていたのだ。

ある意味ニートなのだが彼女は高校生時代、既に世界貢献並の仕事をこなしていた。それに見合った有り得ない額も手に入れているので、別にニートだろうが廃人だろうが誰も文句は言わなかった。


 その為、彼女は卒業後特に就職進学せずに何故か学園の地下室に閉じ篭もった。

 姿が見えず、消息不明。その為伝説と化していた。


 が、その彼女が姿を現した。

 普通の左右を詳しく知らない・・・・生徒達には「伝説が姿を現したぞッ!!」だが、知っている・・・・・者達からすれば「何故?」になる訳だ。


 つまりは驚く意味が違う。

 彼女は学園在学時代。つまりは去年だ。


 その時は月柏も『生徒会』の『書記』だった。

 その時の空河は『隻眼の番犬ワン・アイド・ケルベロス』の余韻が残っていた。


 その他の者達もまだまだ青かった。

 それを現実に向き合わせ、且つ支配したのが彼女、左右詩祁芽だ。


 1年前の出来事はトラウマを植え付けるには十分過ぎた為、皆は彼女の声を聞いただけで硬直し、心臓を握られている感覚になる。


 そんな彼女が表に現れた。


 ある意味事件。


 それと同時に、もう1人………いや、ある部活が動き出す。

 『噂部』だ。


 何故かと言うと、左右詩祁芽が情報操作を得意としハッカーの一面があるからである。

 つまりは情報を集め、それを生業としている『噂部』に取っては天敵。現に何度か五十嵐家のネットワークに侵入し情報操作をしたり、情報を根こそぎ奪ったり消去したりもしていた。


 しかもその奪った情報で勝手に商売をする始末。

 商売敵なのだ。


 それと、噂部副部長である五十嵐四季波はそれ以上に左右詩祁芽が嫌いだった。

 何故かと言うと―――………兄、五十嵐久太郎と左右詩祁芽は元恋仲だからだ。


 つまりは兄妹間での微妙な関係を、左右は滅茶苦茶にした………と四季波は思っている。

 そんな事を思っている妹とは反面、若干引きずっている五十嵐は声を聞いて落ち込んでいた。


 詰まるところ、左右の登場は様々なトラウマやあれやこれやを引き摺り出すと言う末路に繋がっていた。


 因みに彼女はもの凄く口が軽い事でも有名である。

 そして、彼女は情報や秘密など特に恥ずかしい過去・暴露されたくない事などに凄く敏感でその情報を集める癖がある。


 その為、自ずと動き出す。

 彼女に情報を握られている者達が………。


 さて、説明はこのぐらいにして現在の空河と越智そして左右は?















「「………逃げてご免なさい」」

 現在、左右の地下研究室アンダーグラウンド・ラボにて空河と越智がフルボッコの後冷たいコンクリの床で土下座していた。


「貴様等………私から逃げるなど無礼千万!! 折角私が現れてやったと言うのに」

 腕を組みながら頷いている女性。つまりは左右詩祁芽。


 長い黒髪をポニテにし、片眼鏡モノクルと少し珍しい眼鏡を掛けている。

 因みに、余談なのだが左右のポニテは五十嵐のを真似ている。


「………で、何故表に?」

 空河が尋ねる。滅多に敬語を使わない空河の腰がかなり低くなっている。

 ………まぁ、土下座したままだから腰は低いか。


「宗次は唯の定期検診だ。天士は………折檻だな」

 ニコやかに死刑宣告。


 越智は安堵の息を漏らし、空河は絶望に顔を歪めた。

「ななななななな、何故?」

 かなり動揺しながら尋ねる。


 その動揺具合に身を震わせて喜ぶ左右。・・・彼女はマジのドSである。

「ふふ………まぁ、理由としては貴様が能力を勝手に使い、勝手に情緒不安定になり、勝手に手の内を晒した事かな」

 ニコやかだが、青筋が浮かび上がっている。マジでキレる五秒前だ。


「………何処からその情報が?」


「私が情報などで引けを取るとでも? 甘いな。私は千里眼を持ち、尚かつ地獄耳だ。観逃さないし、聴き逃さない。私から隠れる事は不可能だ」

 唇を舐めながら、まるで獲物を見据える獣の様に空河を見据える。


「………お命だけは」

 再度深々と土下座をする。


「………私もそこまで鬼ではない」


「では!」


「粉骨砕身の心で私に唯々諾々と従え」

 死刑宣告は内容を変えただけだった。


「そして阿俯迎合しろ。それでこそ奴隷の価値が上がる」

 奴隷宣告。直ぐさま殺される事は無くなったのだが、後に「死刑宣告の方がマシだった」と言いそうな勢い。


 その絶望に歪み染まる顔をしている空河の横で、安堵しながらも空河を不憫に思う越智。


「私は何て優しいんだ。涙が出る程だな」

 空河が流す色々な感情が混ざった涙を見て笑顔になる左右。


「………ぐッ………嬉しい、限りです…………………」

 歯を食いしばり、拳を強く握る空河。


「そうかそうかッ!! ハッハッハハハハッッ!!!」

 腰に手を当てて高らかに笑う。


「えぇ~と………んで、俺の定期検診の件ですが?」

 越智が尋ねる。


「ん? そうだそうだ。宗次の能力は『異常系能力アブノーマル・アビリティ』だからな。情報が欲しいんだよ」

 そう良いながら机の上に散乱された何かの資料を一枚手に取る。


「あぁ~天士も『異常系能力アブノーマル・アビリティ』だったな」


「あ、はい」


 左右は頭を掻く。

「ん~でも天士の場合は能力さえ使わなければ大丈夫な訳だけどな。お前の能力は使った後、情緒不安定になるって言う明確なリスクが有る訳だし。使わなければ良いだけの話だ」


 空河の能力は一言で言えば“力”である。大雑把な括りであるがそれ以外に当てはまる言葉が無いのだ。

 重力・斥力・引力・筋力・体力と力全てを操る事が出来る無敵と言っても過言ではない能力。

 けれども全ての“力”を使える訳でもない。

 電力、風力、圧力、などと言った部類は操れない。括りが難しい発展途上能力とでも言うか。


 だが、その能力のデメリットは使用した瞬間から感情のコントロールが出来なくなってしまう事。


 その辺は小国との戦闘で空河の様子が物語っている。

 つまりは能力使用中での心理戦が不可能。それ以外にでも会話や仕種だけで揺さぶられてしまう程だ。


 その為、戦闘では不向きとも言える。

 瞬殺などが出来ればそれで良いのだけれど、敵が1人だけと言うのも中々ない。


 それに使用限度と言うモノが無い。

 それは限界が無いのではなく、使用した瞬間に限度と言うモノを過ぎてしまうからだ。


 つまりは使用前が限界。

 使用した瞬間に許容範囲は易々と超える。


 だから何分だけなら。とかの抑えが出来ないのだ。

 一瞬でも能力を使えば易々と精神崩壊を冒しかねない。


 その事があり、空河は自身の能力を使おうとはしないのだ。


「………能力を使用してしまった事については俺ではなく、会長にでも言って下さい」


「女に擦り付けるのか? 随分女々しいな。まぁ、今回の事は少し安易過ぎる行動だったな。鈴葉も」

 左右は手に持っていた資料を机に置き、違う紙を手に取る。

「まぁ、差ほど後を引かなくて良かったじゃないか。余程相手が弱かったか、どうかだな」


 弱かったと言っても小国はRANKⅣの能力者。

 それでも空河が能力をそれ程使わなかったのは彼が『感覚系能力センス・アビリティ』だったからだ。


 それに小国よりもその前の部隊との戦闘の方に能力を使い過ぎていた。

 月柏がどうこうよりも、能力を簡単に使用してしまった空河の責任も大きい。


「んじゃ、天士ッ! ちょっと紅茶入れてこい。宗次も紅茶派だよな?」

「はい。茶請けがあれば尚良しです」

 パイプ椅子に座りながら、左右は空河に命令する。越智は少しニコやかだ。


「何で―――」

「んぁあ?」

 空河は逆らおうとしたが、片眼鏡越しに睨まれ畏縮してキッチンに向かう。


「………さて、最近破壊衝動は起きないか?」

 左右が資料を見ながら越智に尋ねる。


「はい。入学当初から比べれば大分良くなった方だと思います。ですが、この前の天士の一件の時は少し見え隠れしました」


「………お前の能力は副作用そのモノはないが、ある意味能力使用中がそれに当てはまるからな。抑えるしかないか………」


「抑えると言っても、完璧に表に出られたら抑えようがありません。自力と言う言葉が虚しいですよ」

 苦笑しながら越智は頭を掻く。


「それでもだ。世の中に至公至平なんて有り得ない。自身でどうするかによってその均等平等なんてもんは容易く崩れる。要は本人次第だろうさ」


「そんなもんですか?」


 その問いに左右は鼻で笑って答える。

「ふんッ! 『天才ジーニアス』って時点でお前は何処か飛び抜けてるんだよ。自覚しな。………それにしてもお茶が遅い。おいッ! 天士ッ!! 紅茶はどうした!?」

 キッチンに向かって叫ぶ。


「すいません!! 今持って行きます!!」

 そう叫びながらお盆にティーカップを2つ乗せて空河がやって来る。


 それを受け取った左右と越智はカップに口を付け、そして表情が一瞬で無くなる。

「………5点」

 左右が言う。


「オマケで7点」

 越智が言う。


「………何点満点?」


「勿論100点だ。因みに、亞美は97点を叩き出した」


「明堂は本職みたいなもんだろ」

 少し落ち込む空河。


 だが、何だかんだ文句は言いつつも飲む2人。

 すると、いきなり左右が挙動不審になる。


 それを不思議に思いながら見ていた空河と越智。

 だが、左右が地下研究室の出入り口をちらちらと気にしているのに気付き、笑みを浮かべる。


「………あぁ、そう言えば! この前の五十嵐先輩の話なんだけど」

 少し大きな声で左右にではなく、越智に向かって話す空河。


 五十嵐と言う名が出た瞬間、左右は肩をビクつかせる。

 けれどもこれは吃驚などではなく、唯五十嵐と言う名に反応しただけ。


「久太郎がどうした?」

 越智も悪戯な笑みを浮かべたまま聞き返す。


「いやぁ~それがさぁ~」

 空河はチラリと左右を見る。


「!!? ………何だ?」

 顔を赤くしながら顔を背ける。


「いやぁ? 別にぃ」

 仕返しと言わんばりに笑みを浮かべる2人。


 先程とは様子が違う1人。


 ………立場逆転。


 すると、気が動転したのかいきなり言い訳を叫ぶ。

「い、いや!! べ、別に私は久太郎の事が気になるのではなくてッ!! アイツの家のネットワークシステムが最近厳しくなったからさ!! それでね!! 何か情報がないかなって!!」

 大きなゼスチャーを付けて説明する左右。


 その姿を見ながら、何となく気が削がれた2人。

「………まだ好きなら何で別れたんだよ」

 態度が一変する空河。


「ポニテだって久太郎の真似でしょ?」

 紅茶を飲みながら尋ねる越智。


「へっ!? すすすすすす好きな訳じゃないのよッ!! そ、そそそれに!! 真似ている訳じゃないのッ!! 唯髪が長くなって邪魔だから………」

 顔を真っ赤にする左右。


「んじゃ切れば?」


「そ、それは………」


「久太郎はロングヘアの子が好みだから?」


「か、関係無ぃ………」

 どんどん声が小さくなる左右。


「てか、姉さん四季波にとことん嫌われているでしょ? システムハッキングとかさ。色々やり過ぎたんだよ。相手の家族と仲悪いって結構痛手だぞ?」

 空河が欠伸をしながら言う。


「そ、そうかな?」

 否定する事を忘れている。


「えぇ。それにシステム強化はマジだと思いますよ。四季波はかなり鶏冠にきているみたいですし」


「………うぅ~」

 ………これがギャップ萌なのだろうか?体を丸め、椅子の上で唸る彼女は可愛い分類なのだろうか?


「それに篭もりっきりで最近五十嵐さんに会ってないでしょ?」


「そ、そうだけど………」


「男は昔の恋を引きずると言いますけど、心変わりも早い生き物ですよ?それに久太郎モテない訳ではないですしね」


「………うぅ~」

 再度唸る左右。


「まぁ、自業自得だよな」


「完璧に全てが裏目に出てますよね。篭もるって手段も久太郎に気にしてもらう為ですか?」


 完全に虐められている。

「………どうすれば?」

 ついには尋ね始める始末。


「どうすればって………イケメン後は頼む」

 そう言って越智に全てを任せようとする空河。

 だが、越智は空河の腕をがっちり掴んでいる。

「いやいや、『完璧女王パーフェクト・クイーン』を射貫いたジゴロの方が」


「ジゴロって何だよ。俺はそんなんじゃねぇよ」

 変な擦り付け勃発。虐めておいてこれですか。


「………強行に出るしか」

 こう言う事での学習能力が皆無の左右は物騒な事を呟く。


「「いやいや。それはない」」

 思わず声が重なる2人。


「じゃぁ~どうすれば!!」


「………いや、まずは表に出ようよ」

 至極当然な事を言う空河。


「………あっ、そうか」

 今更な左右。手をポンッと叩いている。


「何でこう言う人は思考回路が可笑しいのだろうね」


「そうだな!! 良しッ! 今から出る準備するから帰れッ!!!」

 立ち上がり机の上を整理しだす左右。


「「………勝手な人だ」」

 シンクロさせながら、地下研究室を出た。


「いやぁ~、姉さんはどうして気を惹く為に引き篭もるって言う手段を取るかね」

 頭の後ろで手を組みながら空河が言う。


「あの人は若干頭のネジが可笑しいからね」


「確かになッ!!」


「「ハッハッハッハッ!!!」」

 解放されて気が大きくなっている2人。














 次の日。『ボードゲーム研究会』部室にて―――。


「今日からこの学校の教師になり、そしてこの部活の顧問になった左右詩祁芽だ! よろしく!!!」

 灰色スーツの上から白衣を纏う『幻想ファンタジー』こと『暴風魔女ストーム・ウィッチ』。


「「「「「「「………………………は?」」」」」」」


 空河達が口をあんぐりさせ、目を丸くし凄まじい速さで瞬きをする。


「よろしく!!」


 空河と越智は互いに目を合わせ、指を差し合った。

 お前のせいだと言わんばりに。


「よろしく!!」








詩祁芽と言う名は響きで決めて、漢字は適当に。


てか、情緒不安定になるだけじゃ生ぬるいかな?

もう少しリミッターを付けた方が?まぁ、それは後々。


てか、詩祁芽さんは完全なオチ要員だと思うのは作者だけだろうか?

そして今回何故宗次なのか?と、理由は宗次の能力を少しチラつかせる為です。

それだけ。


それでは、次回はランク上げの試験前日の話!

能力はいつ使う!!??

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