Annoying group.Seriousness is not suited~煩い集団。シリアスは似合わない~
前回とは違い、騒ぎます。最初だけです。シリアスは。
でも、書いてて楽しい・・・・。
病棟校舎。
簡単に言えば保健室である。………適当過ぎるか?
まぁ、そんな事は置いといて。今その病棟校舎の待合室の様な所で空河を知っている人間が集まっていた。
月柏鈴葉、木須学の『生徒会』。
陣内雪袖、草島光輝、鴨梨元、越智宗次、明堂亞美、大熊田吉の『ボードゲーム研究会』。
そして五十嵐久太郎、五十嵐四季波の『噂部』である。
月柏と陣内を共に居させては駄目だと判断した五十嵐が皆に連絡したのだ。
連絡して1分以内に来たのは流石だと、五十嵐は思った。
だが、呼んだのが逆に裏目に出たかもしれない。
いや、まぁしょうがないのだろうけども………状況は混沌だった。
「お前は一度矯正した方が良いかもしれないな」
「アンタの方こそ矯正した方が良いでしょ? 雪女」
月柏&陣内の2人が睨み合っている。
2人は同じ年齢で、そして同じ中学出身で、目が合う度にこうやって喧嘩をする。
「天士さん大丈夫でしょうか?怪我はしてないと言っていましたが………」
「大丈夫………心配………無い………」
明堂&大熊田。
明堂は皆にバレてないと思っているが、彼女は空河LOVEである。
そして途切れ途切れに話すのが『ボードゲーム研究会』部長。巨漢の大男だが、根は優しい男である。
「プーさんの言う通りだ。天士なら大丈夫だろう、さ」
「医者からは大丈夫だと報告されている」
越智&木須。
越智は一応『天才』と呼ばれるイケメンだ。唯、やる気の無い覇気の無い男。因みに、プーさんとは大熊田のあだ名。
そして木須はまぁ、眼鏡君だ。
「やっぱり季節ちゃんの推理と言うか、情報収集能力は凄いね」
「いえいえ………それ程でもです」
「まぁ、思いっきり『攻撃系能力』だけどね」
鴨梨&四季波&草島。
鴨梨と草島はまぁ、今更説明する必要は無い。
四季波は五十嵐の妹である。が、全然似て無く四季波と言うのが名字だと思われている為、あまり兄妹に見られていない。格ゲーマニアであり、戦闘能力はスカウターが壊れる程である。
因みに『五人衆』は空河・草島・鴨梨・越智・陣内の五人で、面倒臭がりと落ち零れである。
「………そろそろ本題良いか?」
この混沌に耐えられなくなってきた五十嵐が手を挙げる。
「そうね。説明はした方が良いかもしれないわね」
月柏が椅子に座る。
「方が良いんじゃなくて、しなくちゃ駄目なんだよ」
文句を言いながら陣内も椅子に座る。
2人が黙った事によって、周りも黙る。
そして、五十嵐は四季波を見て頷く。
「えぇー私が、と言うか五十嵐家のネットワーク的なモノで調べて解ったのですが、小国章吾は会長さんに好意があったと思います。元々多少なりとも偏見な目はもっていましたが、普段は落ち着いた方でした。ですがある日を境に自分より低いRANKの生徒を過度に蔑んだり、無能力者を毛嫌いし始めました。ですが、それもまたある日を境に静かになったんです」
「ある日を境に?」
月柏が尋ねる。
「はい。一週間前です。その日は無能力者のエンジニアが入って来た日です」
「確か、能力の暴走を押さえる装置の開発とかで来た者達だったな」
木須が言う。
「私の推測と言うか考えなのですが、そのエンジニアの中の誰かと小国章吾は接触したと思われます。そして、そのエンジニアは何かを知っていた………かもしれないと言う推測です」
「天使ちゃんを知っている人間ってどんな奴だ? そして、そのエンジニアは本当にエンジニアなのか? と、言う事だな」
鴨梨が腕を組みながら言う。
「誰かに変装しているって事か?」
草島が尋ねる。
「その線の可能性はありますが、もしそうだったら此方の検査を掻い潜ったと言う事です。只者じゃありません」
「もしかしたら、厄介な奴がこの学園に侵入しているかもしれないって事だ。他の奴等みたく馬鹿正直に侵入してくれれば、撃隊するだけで済むんだがな」
五十嵐が面倒臭そうに壁に凭れる。
少しの沈黙。すると、草島が手を挙げる。
「ちょっと脱線させるんだけど、良いか?」
「何んだ?」
「いやぁね。四季波が小国だと断定させる前に、可能性としてもう1人挙げただろ? 伏見右京をさ。それって、何かあんじゃねぇの?」
その名に反応したのは月柏だった。
「伏見? 何かアイツも関係在るの?」
「いや、可能性として挙げたのですが………あの人は中々に裏がある人間ですし、必要に天士さんを求めています。何か手を出してくる可能性が在るような気がしただけでして………」
「………いや、あの野郎は手段を選ばないからな。それに、考え方を変えればエンジニアを手引きしたのは伏見の野郎かもしれないぞ?」
五十嵐が顎に手を当てながら言う。
「それは少し早合点し過ぎではないか?」
木須が眼鏡を上げる。
確かに、些か話が飛びすぎている。
「いや、可能性はあると思うよ。去年の騒動もあの人が絡んでいる可能性が在る訳だし」
「随分臭い話になってきたね。天士に言わせれば面倒臭い状況って感じ」
越智と陣内の言葉に五十嵐は同意し、月柏を見る。
「あぁ。面倒だな。………これじゃぁ天士をそう簡単に戦わせられないぞ? 鈴葉」
五十嵐の言葉に月柏は頷く。
「………えぇ。そうね。それだったら戦わせなければ良い。だけれど彼は『生徒会』にもう既に入会した」
「ちょっと待て。こんな事があっても天士を縛り付けるのか? それに、天士は『ボードゲーム研究会』の部員なんだぞ?」
陣内の表情が一気に豹変する。
「黙りなさいよ。アンタみたいな怠け者の側に居たら彼は益々怠け者になってしまうわ。これは対処よ」
月柏も表情が一変する。
「言ってくれるな。これだから私はお前が嫌いなんだよ。それに天士だって言っていたぞ?お前の事が苦手だって」
「苦手だから何? そんなのは直ぐに解決出来るわ。それに、私と彼は素肌を見せ合った仲よ?」
「それって去年の話で、しかも事故だっただろっ!? 何を然もそう言う関係バリに言う訳!?」
「あら? 嫉妬?」
「誰が嫉妬なんて………」
「それなら貴女自慢の白い肌でも見せて誘惑でもしたら? まぁ、私からしたら病的で気持ち悪いけどね。その白過ぎる肌の色は」
「直ぐそうやってそっちの方に話を進める。下品なんだよ。それと、私は日焼けしづらいだけ。お前みたいなボロボロの肌で違ってデリケートだし」
月柏と陣内が仁義なき戦いを繰り広げている。
その様子を、聞かない様にしながら他のモノ達は冷や汗を流していた。
「怖い………マジ怖い」
五十嵐が背筋を震わせながら呟く。
「五十嵐家の人間だったら慣れているでしょ?」
四季波が横目で五十嵐を見ながら尋ねる。
「いや………そうだけど、お前等は言葉よりも先に手や足が飛んで来るじゃん? こう言う言葉での攻防はあまり経験した事ないからな………」
「何それ? その言い方だと私達が口よりも先に手が出る野蛮な女みたいに聞こえるけど?」
「そう聞こえたならそうなんだろ?」
「………スピニングバードキックを喰わすよ?」
満面の笑みで言う四季波。
「フフ………俺が何時もやられてばかりだと思ったか!! 舐めるなよッ!! 俺のこの手が光って唸るッ! お前を倒せと輝き叫ぶッ! 必殺!シャァァァァグ、ぼッぶファッ!!!」
技名を叫んでいた途中で、四季波の拳が五十嵐の顔面に食い込んだ。
「わ、技名を言っている最中に攻撃など………卑怯者………め」
最後の言葉としては申し分ない言葉だ。
五十嵐兄妹が不毛な戦いを終えた頃、草島と鴨梨は明堂をからかっていた。
「メイドちゃん。今がチャンスだ。袖ちゃんと会長が言い合いをしている今この瞬間に天使ちゃんの病室に忍び込んで色々やって来なさい!!」
鴨梨が明堂の耳元で囁く。
「へっ! ?そ、そそそそそ!! そんな事出来ませんよぉ!! そ、それに!!私 は天士さんの事は………別に………」
明堂が顔を真っ赤にし、動揺する。
「いやいや、此所であの2人に差を付けないと。まぁ、雪袖ちゃんはLOVEじゃなくてLIKEだけどね」
草島が笑いながら言う。
「わ、私だってライクですッ!!」
「でも会長は100%天使ちゃん狙ってるよ? アレはマジ獲物を狙う獣の目だよ? 今の世の中、男だけが狼じゃないんだよ? 女性も立派な狼に変身しちゃう時代なんだよ?」
鴨梨が力説する。
「そんな時代嫌ですぅ~」
「時代は変化するのだよ。亞美。早くしないと会長と雪袖ちゃんが動くぜ?」
「うぅ~………」
そんなやり取りを見ながら、木須・大熊田・越智は茶を飲みながら和んでいた。
「いやぁ~俺紅茶派なんだけど、日本茶も捨てたもんじゃないね」
越智が和んだ表情で言う。
「僕はコーヒー派なんだが、こうやって飲んでみたら良いもんだな」
木須も和んだ表情で言う。
「………これ………芋羊羹………老舗の………和菓子屋の………」
大熊田が芋羊羹を取り出す。
「日本茶には和菓子。良いね」
「流石大熊田だ」
木須が日本茶の湯気で曇った眼鏡を拭きながら言う。
「………それ程………でも」
静かに照れる大熊田。
先程までの真剣な会話は何処へ? と思ってしまう。
すると、待合室の扉が開く。
「………お前等、何を騒いでる?」
「「「「「「「「「「………………もう良いの?」」」」」」」」」」
10人が声を揃えて尋ねる。
「もう良いのって、良くなっちゃ駄目なのか?」
空河が頭を掻きながら文句を言う。
「全然だよぉ~! 天使ちゃぁ~ん!!!」
突然未完成になった月柏が空河に飛びつく。
「「なっ!?」」
その行動に反応したのは陣内と明堂だった。
明堂のリアクションを見ながら、草島と鴨梨はニヤリと笑う。
「ごめんねぇ~私がもっとしっかりしていればぁ~ごめんねぇ~」
抱きつきながら半泣きで謝る月柏。
「い、いや………大丈夫だから………今回は俺のミスだし………」
引き攣った笑みで言う空河。
「ちょっと!! 天士から離れろ!!!」
陣内が月柏を引っ張る。
「いやぁだぁ~」
駄々をこねる月柏。
「亞美ッ!! アンタも手伝いなさいッ!!」
「へっ!? ………ハイッ!!!」
明堂も加わる。
端から見れば、それでもカブは抜けません状態だ。
だが、皆それを見ながら和んでいた。
「「「「「「「これこそが………」」」」」」」
この場での完全な被害者は空河であろう。
その時、
「………皆さん? 今何時だと思っているのかしら?」
ドス黒い妖気? はたまた邪気? 良くは解らないが人を硬直させる気配、てか、オーラを放つ般若が現れた。
直ぐさま反応して逃げだそうとしたのは草島と鴨梨だ。
だが、般若こと澳町紡こと寮母さんは手に持つ木刀を振るう。
「『螺旋』」
そう呟き、木刀を振るった瞬間、逃げだそうとしていた2人が吹き飛び壁に叩き付けられる。
そして、笑みを浮かべる。
「今の御時世………体罰は駄目らしけど、私には関係無いわよ? 解っているかしら? 皆さん?」
「「「「「「「「「「「………ハイ。申し訳ありませんでした」」」」」」」」」」」
「よろしい♪ ………空河君」
澳町は少し瞳を潤めながら、空河を見る。
「は、はい」
澳町は空河の前に立ち、抱きしめる。
「心配かけるんじゃありません………」
「………スイマセンでした」
感動のシーン?
その様子を黙って見ていた月柏だったのだが、
「………もうそろそろ離れても良いのでは?」
「あら? もう少し良いでしょ?」
そう言いながら豊満な胸に空河の顔を埋める。
「「「なっ!?」」」
月柏・陣内・明堂の3名が反応する。
「私だって胸はあるのよッ!!!!」
月柏が叫ぶ。
「私だって負けてませんッ!!!」
明堂が叫ぶ。
「わ………私は………」
陣内リタイア………。
「ふぁふぅけへ(訳:助けて)」
空河は若干窒息気味だった。
その姿を見ていた草島・鴨梨は呟いた。
「「流石………マダムキラー」」
この不毛な戦いは、夜中の3時を回っても繰り広げられていた………。
騒ぎまくり。
集まったら何時もこんな感じになります。
まぁ~細かい関係的なものは物語が進むにつれて解ると思います。
次回からは学園ですッ!!
作者が書きたい事が少しずつ近づいて来ます。
楽しみです!!
それでは・・・。