婚約破棄ですか?どうぞご自由に〜浮気男から解放された私は、表情筋が死んでいる新しい婚約者と幸せになる〜
「お前とは遊びだったんだ。この婚約もなかったことにしてもらう」
学園内の空き教室にて。私、メリンダは婚約者である公爵家の令息ダリウスにそんなことを伝えられた。隣には、随分と見覚えのある令嬢の姿がある。
レイナという伯爵家の令嬢だ。彼女は学園内でも社交性の高さから人気があり、顔も可愛らしくて男からはよくモテていた。
そんな彼女が彼の隣にいて、私に婚約破棄を告げている。すぐにダリウスが浮気をしたという事実が理解できた。
しかも私との関係は遊びだった。そう言っているのだ。
ダリウスとの婚約は両家との公認を得ており、正式に嫁入りが約束されていた。だけど……きっと彼はレイナという女に魅了され、すぐに私を捨てるという判断に至ったのだろう。
悲しい……そんな感情よりも先に、私は心底呆れてしまっていた。
「正々堂々と浮気をしたと言えばいいじゃないですか。それに、レイナ様も私が彼と婚約している事実を知っておきながら寄ってきたのでしょう?」
私の言葉に、レイナはくつくつと笑う。
「それがどうしたのかしら? わたしに奪われるようなあなたが悪いとしか言えませんわ。惨めですわよ?」
よくもまあ堂々と言える。惨めで陰湿で、どうしようもないのはあなたでしょうに。レイナがどうして、そのようなことをしたのかも大方理解できている。
ダリウスの家は王家と関わりが深く、件の父親は騎士団の長を務めている。そんなダリウスも次期領主は確定しており、私から奪うことができたら色々と都合がいいのだろう。
それに……私のさっきの発言を聞いて、ダリウスも何かしら響いているのかと思えば違う。
「遊びだって言葉を忘れたのか? お前なんて所詮、俺の愛人にすぎなかったのだよ!」
呆れた。まあ彼も彼で、こんな可愛い女の子と付き合えてまんざらでもないのだろう。遊びだろうがなかろうが、私からの評価は何も変わらない。
ダリウスは以前からも、自分の見栄を優先していた。それはもうレイナなら存分に自慢できるだろう。
はあ、とことん屑だ。
「分かりました。私からはもう何も言いません。どうぞお幸せに」
そう言って、私は部屋を後にする。振り返ることすらしない。もう興味なんてないからだ。なんなら、そんな屑な人間と別れることができて良かったとも思う。
まあ……私の家は貧乏男爵家。婚約が解消されただなんて聞いたら、私の家族は卒倒するかもしれない。そればかりは不安であるが、一度運に任せることにしよう。
◆
家に戻った私は、父に全ての事情を伝えた。想像通り気でも失うであろうと思っていたのだが、少し話は違った。
「そうか……すまない。私もダリウスがそんな人間だと思っていなかった。辛い思いをさせたな……これは私の落ち度だ……父さんを許してくれ」
何故かぎゅっと抱きしめて謝られた。
「まさか、謝られるだなんて思っていませんでした。私こそお父様には謝らないといけないのに」
私の言葉を聞いて、父は首を横に振る。
「そんなことはない。私も親だ。メリンダの幸せを一番に願っている。だから、裏切るようなことをしてしまったのは私なんだ」
父は頷き、私のことをじっと見据える。
「ゆっくり休むといい。学園にも、数日休むことを伝えておく」
とても気を遣ってくれているようだった。なんだか申し訳なくなってくる。
「いえ、それはいいんです。あと……よければ、新しい婚約者を紹介してくれないでしょうか。お父様も、そちらの方がいいでしょう?」
私の言葉を聞いて、父は目を見開いて驚く。
「いいのか? 仮にもこんなことになったのだぞ?」
もちろん分かっている。今回の件に関しては微塵として辛いとか悲しいとかは思っていない。ただ私の心の中には一つだけ思うことがあった。
それは……屑であるダリウスやレイナよりも、何百倍も幸せになってやるというもの。復讐心かと問われるとハッキリとは言えない。けれど、私の中でその思いが強くなっていたのだ。
「いいんです。お父様は今回のことを気に病んでいるかもしれませんが、誰よりも私はお父様のことを信用しています。だから、お願いいたします」
「そうか……分かった。実は一人だけ、私から紹介できる人がいるんだ。何度か君も会ったことがあると思う。カーロスという、アルバート侯爵家の嫡男なんだが」
カーロスと聞いて、私は少し考える。だがそれほど時間が掛かることもなく、すぐに該当する人物が思い浮かんだ。
学園主催のパーティーで、一度挨拶をしたことがある。私が暮らす王国内で、数多くの商業ギルドを統括しているかなりの権力者の家の息子だ。
「言い方は悪いですが、あの表情筋が死んでいる……?」
そう。私の中の記憶では、彼は全くと言って良いほど笑わなかった。ただ人見知りかとも思っていたのだが、それはもう笑わない。多分、突然私がお腹を突いても無表情を貫いている人物だろう。
「そうだ。だが、彼はとても紳士的で礼儀作法もなっている。ただ笑わないだけで、私の中ではかなりの好印象だったんだ……と言っても、変わった者ではあるから……やはり時間は掛かるが別に人間を……」
確かに変わり者ではあるかもしれない。だが、私は興味があった。実際彼がどれほど笑わないのか、何をしても表情筋が死んでいるのか、色々と時間をかけて試してみたいと思った。
「それは必要ありません。ぜひ、カーロス様を紹介してください。私、とても興味があります」
そう言うと、父上がきょとんとする。だがすぐに笑顔を浮かべて頷いた。
「分かった。すぐに連絡をしよう」
◆
それから翌日。カーロス様とはすぐに連絡が取れたらしく、一度学園内ですぐにでもご挨拶がしたいということだった。同じ学園に通うからこそできるものだが、しかしあまりにも急遽すぎる。
別で先方の邸宅で会うものだと思っていたのだけれど。これは彼が積極的に動いてくれた……と考えていいだろうか。
けれども。私の一件は随分と話題になっているようだ。
「くすくす……無様ですわね。あれが婚約破棄されたっていう、惨めなご令嬢の姿ですわよ」
「レイナ様をいじめていたって話も聞きましたわ。当然の報いですこと」
どうやら私はレイナをいじめていたことになっているらしい。学園内は閉鎖的な環境だから、一瞬で噂は広まるものだが、まさか向こうがデマを広めるとは。
私も舐められたものね。
そろそろ……時間だろうか。
私は椅子から立ち上がって待ち合わせ場所に向かおうとすると、扉が勢いよくガタリと開く。教室内には一瞬で静寂が広がり、誰もが扉を開けた主をじっと見た。
「メリンダ嬢。すまない、我慢ができずに直接来てしまった」
件の人物。白銀の髪に翡翠色の瞳。そんな美しいながらも、常に表情筋が死んでいる人物が、私の方に駆け寄ってきた。
私の前で立ち止まり、膝をついて私の手を握った。
「会いたかった。君から連絡を貰った時は、胸がずっと早鐘を打っていた」
そんな熱い言葉を漏らすカーロス様。だが無表情である。
周囲の人間たちが、焦ったようにこそこそと呟く。
「どうしてカーロス様が……?」
「孤高の華と呼ばれているカーロス様が……? あの女、何をしたんですの……?」
『孤高の華』……なんだか聞いた記憶がある。そういえば、カーロス様は家も身なりも美しいから、学園内では評判が良かったのだっけ。
あまり学園内の噂事なんて興味がなかったから、今の今まで思い出せなかった。
「私も会いたかったです。突然申し訳ありません、こんなお願いをしてしまって」
私の言葉に、彼は首を横に振る。
「いいんだ。俺よりも、君の方が大変だったろう」
そんな優しい言葉をかけてくれる。意外と紳士的なところがあるようだ。
「ええ……それはもう」
大変ではあった。現在進行系で、私はデタラメを広められて、面倒なことにはなっていた。
だが、カーロス様はちらりと周囲の令嬢たちを見る。そしてすぐに彼女たちに言い放った。
「そんなデタラメを信じるなど、この学園の生徒も落ちたものだな。俺は恥ずかしく思う」
淡々と述べる彼の言葉を聞いて、周囲の令嬢たちがきょどる。
「で、でも。レイナ様から聞きましたもの」
「ダリウス様も言っていましたわ! わ、わたくしたちは間違っていませんことよ……!」
カーロス様はその言葉を聞いてもなお、冷静に答える。
「お前たちは、メリンダ嬢がいじめているところを見たことがあるのか? そんな大事になっているのなら、誰かしらは目撃しているはずだろう。何より、その噂が回り始めたのは昨日今日の話だ。婚約を破棄された瞬間にだぞ? 何かおかしいと思う人間はいなかったのか?」
至極真っ当な意見を言い放つカーロス様。私のためにここまでのことを……少し嬉しい。とても頼れる人だなと思った。
何より、周囲のご令嬢たちは「確かに……」「言われてみれば、おかしいですわね……」と納得していた。
カーロス様は静かに私の方を見る。
「行こう。ここは少し、話すには適していない」
そういって、私の手を引いて教室の外へと誘導する。廊下に出て、中庭の方へと歩いて行った。その間私は引かれるままだったのだが、彼の手は優しくてたくましくもあった。
何より、ここまでのことをしてくれた殿方は生まれて初めてだ。
中庭のベンチに座り、彼は息を吐く。
「これで君の悪い噂は止むだろう。助けになれただろうか」
「とても……助かりました。頼りになるのですね」
そう言うと、無表情で彼は固まる。しばらく静寂に包まれたかと思えば、カーロス様は顔を手で覆った。
「君に言われると……その。恥ずかしいな」
意外と、所作には感情があるんだな。なんだか可愛い。
だけど少し気になることがある。
「顔、見せてくれませんか?」
私が聞くと、彼はちらりと顔を見せる。
その瞬間、私はぷっと吹き出してしまう。
「照れてるのに……! 無表情なんですねっ……!」
くすくすと笑っていると、彼は頭をかく。
「それはもう照れているぞ……なんせ、ずっと気になっていたご令嬢に褒められたのだからな」
私の心の中で、一つ熱いものが芽生えた。
いつかはこの方を、なんでもいいから笑顔にさせる。私も随分と彼に惚れていて、もっと可愛いところを見てみたいと思ったからだ。
よし、と私は勇気を出す。
「カーロス様。今回の婚約、正式に受け入れます。この学園を卒業するとき、正式に婚姻を結びましょう」
そう言うと、カーロス様がぎゅっと私の手を握る。
「本当か?」
「本当です」
「いいのか?」
「いいんです」
ぷるぷるとカーロス様が震える。その間も表情筋が死んでいるが、多分喜んでいるのが伝わってきた。
「俺、頑張るよ。君に相応しい婿になれるように、努力を続ける。これからも、どうかよろしく頼む」
私は笑顔で頷く。
いつかは、彼の笑顔を見るために。
「もちろんです」
◆◇◆
数日後、ダリウスとレイナの立場は次第になくなっていった。カーロスにより、すぐに自分たちが嘘を広めていたことがバレてしまったからだ。
根も葉もない噂を流した自分たちにつけが回ってきたのである。
ダリウスとレイナは、食堂でご飯を食べている。だが、表情は暗い。
「……レイナ」
ダリウスが声をかけようとした瞬間のことだった。周囲の生徒たちがこそこそと噂話をしている。
「見ろよ、嘘吐きカップルだぜ?」
「例の婚約破棄も、どうやらダリウスが浮気をしたからって話だ。メリンダ嬢も可哀想なものだ」
「だけど、今やメリンダ嬢はカーロス様と。何が起こるか分からんな」
「つまり、ダリウスとレイナが哀れってことでいいだろ。卒業も近いってのにな」
ダリウスたちを見下した声が響く。それは呼応するように、周囲にどんどん広がっていった。
レイナはぎゅっと拳を握る。
「どうしてこんな目に……! メリンダのやつ、カーロス様となんてどうやって……!」
レイナの発言に、ダリウスは苛立ちを覚えていた。
「どういうことだよ! 僕と婚約を結べたというのに、カーロスの方が良かっただなんて言いたいのか!?」
「違うわよ! あなたもすぐそうやって人のことを疑って、わたしのことを愛していないの!?」
「そ、そういうわけじゃない!」
喧嘩を始めた二人のことをみて、生徒たちはくすくすと笑っている。それに気がついたダリウスは椅子から勢いよく立ち上がる。
「もういい。ここじゃ食事が不味くなる」
「……ええ。出て行きましょ」
レイナも立ち上がって、逃げるように食堂から逃げていく。もはや、この学園の話題はメリンダとカーロス。ダリウスとレイナの話題で、明暗が別れていた。
◆◇◆
私は、カーロス様がどうやったら笑うのか。メモを取りながら分析していた。脅かしたり、愛の言葉を囁いてみたり。
「は、恥ずかしい……」
けれど、照れるときはいつも無表情で顔を隠していた。ここまで苦戦するとは……私の中でメラメラとどうにか笑わせることに熱くなっている。
そして、最近はというと。いつも中庭に集まって、私が作ったお弁当を一緒に食べていた。
今日も私は、渾身のお弁当を彼に渡す。
特に今回はとっておきである。なんと、カーロス様の似顔絵を食材で作ってみたのだ。もう作るのに三時間くらいかかった。太陽が昇る前の暗い中、うんうん唸りながら作ったのである。
「いつもありがとう。メリンダの作るお弁当は、いつも美味しくて幸せだ」
そう言って、カーロス様が弁当の蓋を開ける。私はドキドキとその様子を眺めていた。
「これは……俺の似顔絵か? すごい、よくできているな……どうやっているんだ?」
弁当を不思議そうに眺めている。上から、斜めから、下から。
多分下から見ても何も分からないだろうが、それはもう熱心に見ている。
だが、彼の表情筋は死んでいる。残念……と言いたいとろだが、少しだけ変化があった。目を嬉しそうに輝かせているのだ。
表情はないが、彼なりに喜んでいるのが分かる。
カーロス様は、ぱくりとお弁当を食べる。
「う、美味い……やはり俺は幸せ者だな……」
どうやら感動しているようである。ふふ、頑張った甲斐があった。だが、これでも笑った顔は引き出せないようだが。
そういえば……。
「そろそろ、卒業パーティーも近いですね。カーロス様との日々は、長いようで短い充実した日々です」
パクパクと弁当を頬張りながら、カーロス様は頷く。ごくりの飲み込んで、彼は言った。
「ああ。君と本当に婚姻を結べるかどうか。俺はずっとドキドキして仕方がない」
全くドキドキしている顔には見えないけれど、彼は本当にドキドキしているのだろう。もう私には色々と分かるようになってきた。
「期待していますよ、カーロス様?」
私の言葉に、彼は静かに頷く。
「期待に応えられるよう、最後まで頑張るよ」
◆
そして、遂に卒業パーティーの日を迎えた。私はいつも以上の身だしなみを整えて、今まで以上に美しい姿になれるよう努力した。
お父様が「ここまで熱心にしているメリンダの姿は初めて見た」と漏らすほど。
そして、卒業パーティーの会場にて。私とカーロス様は、無事合流を果たした。
彼の姿は……本当に美しかった。黒い正装に、品のある振る舞い。相変わらず無表情だが、かなり気合いが入っているのが窺える。
「今日は一段と美しいな、メリンダ」
「あなたもです。とっても格好良いですよ?」
「そ、そうか」
照れた様子のカーロス様。ちらりと周囲を見ると、他の生徒も私たちに注目しているようだった。ここまで見られていると、少しばかり恥ずかしくも思う。
だが、すぐに生徒たちがどよめき始める。
人々が見ている方向を見ると、そこにはダリウスとレイナの姿があった。美しい身なりをしているが、表情は暗い。
まあ……色々と大変だったんでしょうが。
視線を逸らそう、そう思った時。ダリウスとレイナが私たちを見つけた。怒りがこもった表情でこちらに走ってきたのだ。
「メリンダァ!」
ダリウスの怒号。だが、すぐにカーロス様が前に出た。
「なんだ貴様。噂のバカップルがなんの用だ」
「バカップルってなによ! あんたそんなこと言って許されると思っているの!?」
レイナが叫ぶ。はぁ、せっかくの卒業パーティーだったのに。生徒たちの良い雰囲気も台無しだろう。
ダリウスが前に出て、私たちを見る。
「お前らのせいで……俺たちの立場が! 俺たちの地位が!」
その言葉を聞いて、カーロス様は鼻で笑う。
「立場? 地位? もとからないようなものだろう。ダリウスくんは浮気をし、レイナ嬢は娼婦のような真似事で婚約を取り付けたんだ。このようなことになるのは分かっていたことだろう?」
だが、と言うカーロス。
「もしかして分かっていなかったのか? それなら、大層幸せものだな」
ダリウスとレイナは押し黙る。周りの生徒たちも、話を聞いてくすくすと笑い始めた。どうやら、彼らには誰一人として味方はいないようだ。
まあそれも、彼らの行いが招いたことなんだけれど。
「く、クソ……お前ら!」
「絶対に許しませんわ……!」
二人が怒りに満ちた表情で、私に向かって拳を握ってくる。今にも殴ろうとしていたのだ。
けれど、簡単にそれをカーロス様は手のひらで受け止め、二人を睨めつけた。
「もうやめておけ。これ以上は、お前たち家族の地位も危うくなるぞ」
ダリウスとレイナは、ただ何もできずに歯を噛みしめることしかできないでいた。カーロス様がちらりと私を見る。
「一つ言ってやれ」
もちろん。私は頷き、二人を見据える。
「私はもう、あなた方には興味がありません。相当必死なようですが、これ以上は自分の首を絞めるだけです。せめて、ここは退いてお二方の幸せを満喫したらどうですか?」
そう言うと、二人は顔を真っ赤にする。だが、何も言い返すことができずに、周囲に嘲笑されながら会場から出て行った。
可哀想に。卒業パーティーに、酷い目にあって。まあでも、これが彼らが望んだものなです。
私はカーロス様のことを見上げて、くすりと笑う。
「カーロス様、ありがとうございます。結婚の約束、忘れていませんよね」
彼は真剣な表情で頷く。
「当たり前だ。一時も忘れたことはない」
ふふ、嬉しい。
「その約束、今果たします。結婚しましょう」
「あ、ああ! 嬉しいよ!」
彼の表情は硬い。だけど、静かに涙を流していた。
私のことをぎゅっと抱きしめ、優しくキスをしてくれる。
生徒たちもその様子をみて、祝福をあげていた。まさかこんな一目につくところで、少し恥ずかしいけれど、とても充実している。
唇を離し、私は彼の顔を見る。
「全く、こんな時にも無表情で」
「これでも本当に嬉しいんだ。本当に……」
私はぷっと笑ってしまい、涙を流しそうになりながら指で彼のお腹を突く。
「これで笑ってくれたら……ええ?」
驚いた。カーロス様がこそばゆそうに笑っていたのだ。
「ちょ、ちょっと……やめるんだ……! はは!」
ははぁ〜……まさか、一番最初に思い浮かんだ技で笑うだなんて思わなかった。これならもっと、最初からやっておけばよかったな。
でも……とっても可愛い。
「えい、えい!」
「はは、ふふ、ははは!」
周りの生徒から見たら、とっても奇異な光景だろう。でも、これが私たちの結婚。表情筋が死んでいるカーロス様と……私が幸せになるまでの物語だ。
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