表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/40

デートは何処に行きたい?

これは書き下ろしです。

今まで生きてきて早数十年、独り身のまま生きてきた。故に、王道のデートというものを全く知らない。どうすれば良いのだろう。遊園地? 映画館? それとも美術館?

「あんまり気張るな。お前が行きたいところを言えば良い」

好きなところ……。けれども折角の初デートなのだ。適当な場所を上げて台無しにしたくない。

そこで思い浮かんだのは昔見た少女漫画の一幕だった。大人の女性の理想のデートプランで水族館が描かれていた気がする。じゃあ。

「水族館で」

「分かった」

彼は静かに了承すると、持っていたスマホを操作して、何やら調べ物を始めた。キョトンとするのも束の間、彼はスマホの画面をテーブルに差し出した。

「都内の有名どころで行くと、此処と此処」

一つは都内有数のデートスポット、もう一つは大都会の一部エリアを開拓して作られた場所。何方も非常に人気の高い水族館だった。

本来ならば、都内有数のデートスポットを上げるべきだと思うのだが、交通の便を考えると大都会の一部を開拓した方が良いだろう。此方は予約が必要なそうなので、会話の後にでも入れておこう。

「じゃあこっちで」

「分かった」

彼はまたスマホを操作すると、鞄の中にスマホをしまった。

「予約入れといた。だからチケット買う必要ないから」

「うん?」

思わず時が止まる。何か物凄い彼に借りを作った気がする。其れも予約を通り越したお金に関する出来事のような……。

今の彼の言葉を反芻する。『チケット買う必要ないから』。うん。彼はこう言った。

いや、納得するな。私もスマホを取り出して、改めて入園料を検索。約三千円。慌てて財布を引っ張り出すと、彼の前に献上した。

「お納め下さい」

「いや、別に支払わくても」

「君と付き合えてとても幸せ者だと思ってる。昔から凄く優しい人だとも思っている。けれどもお金の勘定はまた別の話だから。此処をなぁなぁにすると恋愛以前に友愛も破綻するから」

暫く彼と見詰めあった。もしかしたら睨み合ったと言っても良いかも知れない。彼は呆れた様に鞄から財布を出すと、渋々と言うように財布の中に千円札を入れた。

其れから二人で食事をした後の事、彼は席を立った。

「悪い。ちょっとトイレ」

「はいよ」

少しづつではあるが、自分から行動する事も出来ている。彼が戻って来たら、当日の待ち合わせ場所をバス停にする提案をして。其れから。

「待たせたな。帰るぞ」

気が付くと彼が立っていて、私の事を見下ろしていた。帰る準備は万全で、鞄さえ持てば何時でも出られる状態だった。私も財布を出して席を立ち上がる。しかし。

「勘定済ませたから、後は出るだけ」

「君ってやつァよォ!!」

私が叫んだのと、彼がニヒルな顔を浮かべたのはほぼ同時だった。

お金の話ってとても大切で、ここがなぁなぁになると全てが崩壊すると思ってるんです。

だから可能な限りフラットにしたい。

貸し借りなしね。仲が良いから。


これお読みの方、私の連載初めてですか?

初めてだと思ってお話させて戴くんですけど、やたら水族館行きたがります。

理由は小学生のときに読んだ少女漫画から。

綺麗な先生が『水族館デートするのが夢』と言っていた事が印象に残っているから。


え、デートって何するの?

作者、人間に対しては拗らせた厄介ヲタだから、これから先、誰かと付き合うイメージが全く無いんだけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ