とりあえず、話し合おう
短編
私/彼の言いたいこと
です。
でも結構変えてる? 気が?
「少し、お前と話しがしたい。悪いな。姉ちゃん、借りても良いか?」
「奇遇だね。私もだよ」
弟も何かを察したのか、大きく頷いて、ニヤッと笑った。
「良いよ。でもまたゲームしてね」
そう言うとバタバタと足音を立てて一階へと下っていく。二人きりになった私達は互いの顔を見合わせた。
彼の手がゆっくりと近付いてくる。腕の輪郭をなぞり、肩を辿り、そうして頬に触れた。其れからするりと首を辿る。其れから少し躊躇いがちに口を開いた。
「……こうやって触れ合うの、嫌じゃなかった?」
「……嫌だと思った事はないよ。今の触り方、凄くゆっくりだし」
そう、私と彼の恋愛における最大の欠点。突然距離を詰められると怖気付いてしまう。けれどもこうやってゆっくりと距離を詰められたら、何も怖くない。安心して居られる。
「ずっと疑問に思ってたんだ。無理に迫ってお前の負担になってないかと。……これからもこうやってなら、触れ合う事を許してくれるだろうか?」
あぁ……そうだ。そうなのだ。彼はずっと待っていてくれた。今だってこうやって私の返答を待っている。
「……当たり前だよ……。許すも何もないよ……。でも……私……まだ君に対して親愛感情の方が大きくて、恋愛感情に発展させるまで、また待たせてしまうと思う。其れでも……私を待っていてくれる? 今触れ合ってくれた様に、ゆっくりと間合いを詰めてくれる?」
親愛感情から恋愛感情に発展させるまで時間がかかる。彼もそれを熟知していたし、故に段階を踏みながら発展させようと試みてくれた。だから焦る必要は全くなかった。なのに私は待っている彼を信じられず、無理に事を進めてしまった。
私はこれから先も貴方を待たせ続けると思う。何ヶ月も、何年も。其れでも君はこんな私を待ち続けてくれるだろうか?
「当たり前だろ。付き合えるまで何年待ったと思ってるんだ。傍にいる事が確定している分、まだ随分と可愛いもんだよ」
そう言うと非常に穏やかな笑みを浮かべた。今まで付き合ってきた中で、もっとも優しい笑顔だと思った。
だから私も彼がしたようにそっと頬を撫でた。
「指、貸してくれる? 君がしてくれた様に、自分からもキスしてみるよ」
「本当に?」
彼が驚いた事は言うまでもない。
自分からチューしようとするだけで、かなりの成長だよ。
でも彼の視点で行くと、『彼女ちゃんさぁ……』って気分になるので、彼女視点にしたのは英断です。
前に彼の軌跡を書いてた時、
『うわっ……うわぁ……ごめんね……』
という気分になったので。
次回で最終回です。
終わりが結構好きなので、満足。




