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一緒に居てあげてね

短編

家では暴君。

の加筆ver.


あと二話で終わります。

そしてプロットタイプの準備をします。

俺の暗い顔を見たのだろう。弟はもどかしそうに拳を握り締めると、ぐずった様に叫んだ。

「そうじゃなくて!! そうじゃないんだよ!!」

腕を組んで頭を上にして下にして、果たしてどうすれば良いか考えた後、ぽつりと呟いた。

「……数週間前まで姉ちゃん、凄く静かで……ぼーっとしてた。揶揄っても反応薄いし、本当はつまらなかった……」

数週間前まで、というのは丁度、彼奴と俺が付き合い始めた時の事だ。彼奴が失恋すると踏んで、其れを静観し、その傷を利用して付き合い始めた頃。

勿論、その事に関して後悔はない。俺の願いは『俺の手』によって彼奴が気ままに生きる事なのだから。

弟はまだ俯いたまま、俺の袖をまた握った。

「その理由……兄ちゃんとの距離が遠くなったからだと思う……」

「それは……」

思わず彼奴の想い人の事と、恋愛事情を話しそうになって、思わず口を噤む。あんな繊細な話、大っぴらにして良い訳がない。相手が知らないなら尚のこと。

「でもね、兄ちゃんが好きな人になってから、元の姉ちゃんに戻ったんだよ。階段はバタバタ上がるし、取っ組み合いの喧嘩はするし。そりゃ凄く煩いし、乱暴で凶暴……。

でも……母ちゃんみたいな姉ちゃんは、姉ちゃんじゃないよ」

その言葉に思わず目を見開く。

元気が無かったのは失恋のショックから。自分の想い人が自分ではない女と親睦を深めていたから。『付き合う事が出来ない』と踏んでしまったから。

けれども俺と付き合って、少しでも前の彼奴に戻る事が出来たなら、其れは本望だった。『俺の手』によって、彼奴の幸せにする事が出来たという事だから。

「だから兄ちゃんと居る時も猫は被ってるけど押しは強いだろうなって。兄ちゃん、何時も俺達の事優先してくれるから、兄ちゃん我慢してないかなって。

だから姉ちゃんに遠慮とかすると必要全くないし、言いたいことあれば全部言って良いんだよ」

そう言って俺の事を見上げる。母親譲りの冷徹な目が此方を見詰めていた。

「兄ちゃん、姉ちゃんの事好き?」

「勿論。じゃなきなゃ付き合わないよ」

ずっと一緒に居た。だからこそ、第三者に置いて知っている事は家族の次に多い。逆に言えば俺が知らない事は、彼奴の家族が知っているとも思っている。そんな彼奴の知らない事を、他でもない彼奴の家族が埋めてくれた。

「じゃあ愛想尽かさいであげてね。一緒に居てあげてね。

……そしたら兄ちゃん、またゲームしてくれるし!!」

しんみりした空気を打ち消す様に、弟は声を張り上げた。恐らく姉の事を心配した事による照れ隠しだろう。

とんとんとんと、足音が聞こえてくる。どうやら俺達を呼ぶ為に上がって来たのだろう。

「あぁ、私の部屋にいた。ご飯出来たって。一緒に食べよう」

熊の男の子のぬいぐるみを抱えた彼奴は何時もより晴れやかな顔をしていた。

見返して見たら弟の口からちゃんと言ってましたね。

からかっても反応が薄い。

兄ちゃんが居ないからだと思うって。


今まではゴリゴリに二人だけの世界だったので、彼が居ない時の、第三者視点の目線が無かったんですよ。


彼は元気ない理由は失恋だけだと思ってる。

家族は彼が別れたからだと思ってる。


実際はその両方。

失恋でつれぇ時に縋れる相手がいなかった。

でも縋れたし、傷を埋めてくれるし、新しい兆しを見せてくれた。

だから今の彼女に戻りました。


エンドを少し変えたんですよ。

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