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戦利品だよ

短編

君達に相応しいと思ってね

です。

その後、何も気にしてない様に彼は接してくれた。この空気を濁らせたくなくて、私も出来る限り何時も通りに振舞っていたが、内心は焦りと罪悪感でいっぱいだった。

自分から“唇”にキスをする。と宣言しながらも頬にキスをし、彼の思いを裏切ってしまったので、どうしたら埋め合わせが出来るかを延々と考える。けれども何の回答も出なかった。

「もう、夕暮れだな。もうすぐきっと帰ってくる」

「そうだね」

そんな話をしていると、インターホンが鳴り響く。私が腰を上げると、彼も立ち上がる。どうやら一緒に出迎えをしてくれる様だった。

「出てくるね」

「俺も」

そう二人で玄関まで降りて扉を開けた。目の前には両手にビニールを下げた母と、両手に紙袋を抱えた弟が並んでいた。母は私と彼の顔を一瞥しても無表情で、弟はパッと顔を輝かせた。

「ただいま、兄ちゃん」

弟は一歩近付く。両手に荷物が無ければきっと抱き着いていた事だろう。そんな弟を見て、彼は表情を柔らかくした。膝を折ると、頭の上に掌を乗せる。

「悪いな、姉ちゃん借りて」

「良いんだよ。だってそうしたら兄ちゃん、ずっと此処に居てくれるでしょ?」

傍から見れば分かる通り、弟の中では私より彼の方がヒエラルキーが上である。相変わらず露骨だな。お前。そう心を侵食する冷たい感情に思わず口を引き結ぶ。

母はそんな仲睦まじい二人を見て、ただ淡々と言う。

「ただいま。戦利品、これで良いかい? 姉ちゃんと兄ちゃんに渡してあげな」

「うん」

弟から差し出された紙袋を覗くと、リボンが着いた熊の女の子の縫いぐるみ。

母の特技はクレームゲームである。大抵は数回アームを動かしただけで手に入れる。今回もその産物であろう。

「有難う。ベッドに置くよ」

けれども珍しいな。何時もは『邪魔になるから』という理由でお菓子を取ることが多いのに。

彼も同じ様に紙袋の中身を見た後、頭を垂れる。

「有難う……御座います」

一体何を貰ったんだろう。そんな疑問を打ち消す様に母は不敵な笑みを浮かべる。

「模造品だろうが関係ないだろう? だから苦情は受け付けないよ」

あぁ……そうか。これ、テーマパークで売られてない縫いぐるみだから、細かい設定とか、物語とか、存在しないんだ。つまり……この子と対となる男の子と恋人ではない……。

それはまるで私達の偽物の関係、恋愛感情に発展しない今の関係を表している様だった。

「じゃあ、俺はこれで……」

「え、帰っちゃうの? 母ちゃん、兄ちゃんに夕飯食べてって貰いたいって、買い込んでいたんだよ」

その言葉に彼は大きく目を見開く。信じられないと顔の全てが物語っている。その隙を突くように母さんは淡々と述べる。

「君の母方に連絡は投げといてあげるから」

「でも……」

彼が珍しく焦ってる。母に対して『借りを作る』とはよく言っていた。だから今回も、其れを気にしているのだろう。借りを返さなくてはならないと。

「姉ちゃんだって、兄ちゃんに居て欲しいでしょ? そうだよね?」

「え……うん。君は平気?」

「あぁ……」

彼は困惑したまま頷いた。

これ、マミー的には、

『模造品だろうが、お前達はもう恋人なのだから、関係ないだろう』

という意味です。

でも恋人になったんだから、対となるものの方が良いよね。

※ほら、カップルリングとかから着想を得て。


二人のさっきまでの山場を知らない事も相まって運が悪かったとしか。

でも起きたのは必然です。


クレームゲームが好き。

恋人だから対となる物が良い。

普通に○ッフィーのぬいぐるみは置かれている。

そりゃー取るよね!! 取っちゃうよ!! うん。


これからも続くぞー•*¨*•.¸¸♬︎

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