雰囲気によっては
短編
不意打ちに弱い
です。
「あ、ポテト半分こしよう」
そうして注文を終えた後、彼の手が私の手首に滑る。上から被さる様にそっと掴まれると、じっと此方を見据えてくる。
「とは言え、拒まれない限り、これからも“らしい”事はしていくつもりだから」
多くを語らずとも分かる。恋人らしい事を彼は指しているのだ。手を繋いだり、抱き締めたり、キスしたり、それ以上の事だ。彼は私の事を異性として好きだが、その矢印は余りにも一方的。このまま彼に任せ続ける訳にはいかない。
「やっぱり私も……!!」
「俺が勝手に迫るだけ。それでお前が嫌がる、もしくは何も感じないのは其れは此方の落ち度だから、逐一気にするな。まぁ、そっちからもしてくれたら嬉しいけど」
照れた様に視線を逸らし、指の力を僅かに強める。何時も私より数手先を見越している分、照れると新鮮に感じる。唖然とする私を他所に、彼は話を断ち切った。
「悪いな。奢って貰って」
「この前奢って貰ったでしょ? というか、これ母のお金だから」
「其れは水族館で精算しただろ」
そう、提案だけは私が行っているのだ。何処に行こう。何食べよう。何しよう。けれども恋人っぽい事は全て相手任せ。お膳立てだって母任せ。だからさっきも宣言仕掛けたけど、今度は私から動かなければ。
そう思っていると、注文していたポテトが届いた。昔からファミレスに訪れては割り勘していた品だ。今日も楽しく半分こを……。
そう思ってポテトを摘んだ時だった。恋人っぽい事が頭に浮かんだ。
「はい。あーん」
家に居た時は積極的に口から口へと渡したけれど、此処は外なので勘弁していただくとして。『お食べ』は第一段階としては良いかも。
油断して悦に浸っている私を他所に、彼は亀のように首を伸ばすと、直ぐに間合いを詰めに掛かった。唇が指先に当たる。そのままキスされたのだ。
てっきり、ポテトの“端”を摘んで引き寄せられるかと思っていた。けれども実際は、指先丸ごと口に入れる様な食べ方で……。
時が止まる。唖然とする私を他所に、軽いリップ音を立てて離れていく。
「お……美味しい……?」
「食べさせてくれたお陰で」
其れからわずかに口角を上げて、得意げな顔をした。
「雰囲気によっては意識してくれるんだな」
『これからも“らしいこと”はしていくつもりだから』
なんて言われたら、恋愛感情持ってない方からしたら、焦るよなぁ。
ちなみに、この宣言は深い意味はなく、そのまんま。
『手出したい。抱き締めたい。キスしたい』
そのまんま。
君も大概、気持ち先行で動くよね?
まぁこの間の私のコメントで、すっげぇ待たされていた事が分かったので、それもしょうがないかなと。
※自分で書いてて、
『え、こんなに不憫なの……( '-' ) ( ´ᐛ)カワイソウニ』
『闇堕ち寸前じゃん……( °ཫ°)』
となったので。
作者的に彼氏にしたいキャラ(表面)、殿堂入り入れると思ってるんですよ(´◉ω◉)
頑張って取って!!




