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再度の気付き

短編

恋愛感情なくない!?

の後半です。

ファミレスに着くと、テーブル席に案内された。通りに向かい合わせに座り、メニューを開く。彼が甘える様に身を乗り出して来たので、見易い様に回転させる。

振り返って見れば何時もそうだ。場所やデートの提案こそしていれど、恋愛感情を伴った行動は何時も彼の方からしてくれる。

「君は何時も優しいね……」

「どうしたまた急に」

思わずそんな言葉が零れ落ちた。彼はその言葉に動揺する事無く返事をした。メニューを見ていた視線が上がり、私の顔に固定される。

「私……全然……恋愛感情持ってない……気がする」

それなのに彼はただ穏やかに、寂しげに、ただ静かに寄り添ってくれる。思う事、沢山あるだろうに、それらを全て飲み込んで。我慢してるのは彼の方じゃないか。

彼は一度視線を逸らし、呆れた様に大きな溜息を吐き出した。其れからまた視線を合わせる。手が掛る子供を子供を見る様な視線だった。

「それ」

「え?」

唖然とする私を他所に彼は言い聞かせる様に口を開く。

「今もまた抱え込んでる。元々のその性格に加え、関係が深くないと録に悩みを相談しない。大抵相手に得させて、自分が我慢する様な提案ばかりする。だから相手が流される。

さっきも伝えたと思うけど、お前に気ままに生きて欲しい。その為に俺以外と付き合って欲しくないし、俺以外幸せに出来ないと思っている」

『お前が好きなところが良い』。『どっちか選べ』。何時も何時も何時も、私の事ばかり優先してくれる。そして自分に我慢を強いている。

けれども彼に向かってどれ程『自分の事は良い』と伝えても、彼は首を縦に振らないだろう。絶対に私の事を優先させるだろう。だったら尚のこと、私が恋愛感情を持たなくては。持たなくては彼を幸せに出来ない。まだきっと怖気付くかも知れない。けれども。

「拒まないだけで、目移りしないだけで、御の字」

彼の掌が伸びて、私の拳の上に乗る。何時もより熱く感じるのは気の所為では無いだろう。

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