表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

お前の采配?

短編

家の敷地を跨ぐ事

です。


母と弟が出て行った後、扉の閉まる音がした。これが本当に二人きりなのだと報せる合図だった。取り敢えず、此処で突っ立っていても何なので、私の部屋に連れて行かなくては。

「……私の部屋行こう」

このまま顔を合わせていたら、緊張で赤くなりなり、言葉は噛むなり、何か仕出かしそうな気がする。だから彼の顔を見る事なく、一歩を踏み出そうとした時だった。

右手首を掴まれる。そして進行方向と逆方向に思い切り引っ張られる。後ろに倒れそうなのを引き留めたのは彼の体躯だった。

「二人きりさせたの、お前の采配?」

「あ……いや……母の……」

自分でも何とかしようと思ったけれど。というのはただの言い訳にしか聞こえない。ダカラこれ以上は口を噤む事にした。

その答えに彼は沈黙を持って回答した。代わりに私の肩に顔を埋めに掛かる。固めの髪が露出した肌に触れて擽ったい。

「……借りを作ったな……あの人に」

「『借り』なんて使わないでよ」

母は興味のない物に対しては歯牙にも掛けない。どうでも良い者に対しては視線の一つも向けない。けれどもその母が幼馴染とはいえ気を回したのだ。自ら二人きりになる手配までした。……相応に懐に入れている……のだと思う……。

だからこの件に至ってはそこまで心配する必要はない。それよりも。

「ちょっと、離して」

すると嫌がる様に腕に掛かる力が強くなった。自分の腕に閉じ込める様に。離さない様に。

「あ、『離れたい』って訳じゃなくてさ。これ、一方的だから」

バックハグはトキメキを呼ぶのかも知れない。けれども私は彼と向かい合いたい。彼の体を受け止めたい。

すると僅かに腕の力が弱くなった。けれども巻き付けた腕を離すつもりは無いようだった。だから私は彼の腕に包まったまま、くるりと体を振り返った。

僅かに頬が朱色に染まっている。不安げな瞳が僅かに揺れている。焦燥、独占、好意それらがぐちゃぐちゃになって、今の彼を構成していた。

「改めていらっしゃい」

「お邪魔します」

彼の後ろに手を回し胸に顔を埋める。彼の懐かしい匂いがした。

これ勝手な意見なんですが、凄い少女漫画的な場面だと思ってるんですよ。

バックハグなんてするの、少女漫画ぐらいでしょ〜。

という意見。


現実でやられたら普通に怖いし、生々しい恋愛にそんな場面ないと思うし。


また風邪引いたも知れません……。

今度から断ろうかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ