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反省はしてる

短編

優先順位

ですね。

彼奴と別れた後、俺は一人家路に向かっていた。

体に残るのは最後に触れ合った彼奴の温もり。恐らく異性では俺しか知らないあの甘さ。その淡い幸せに反比例して脳を埋め尽くすのは、別れ際のキス未遂の事。

俺が顔を近づけようとした時、彼奴はどんな顔をしていた? 強ばっていなかったか? 付き合えて、初デートをして、早く駒を進め過ぎた。あのまま無理矢理事を進めていたら、俺と彼奴の間に大きな溝が出来ていただろう。そうしたら……彼奴は別の誰かと付き合うのだろうか……。

今日した様にデートプランを二人で考えて、互いに手を繋いで歩き、ささやかで甘い会話を行い、間接キスで意識させる。そして男は見ることになるのだろう。惚れた女の愛らしい一面を。

意識させた時の淡く染まった頬紅の色、困惑した様に惑う瞳、それが別の男に向けられるのを想像しただけで、そいつを殺したくて仕方がない。

暴走しつつある激情をどうにか押し留める。今の状態のまま彼奴が近くにいたら、何をし出すか分からない。そうしたらまた本末転倒。俺に対して懐疑心を持ったまま付き合う事になる。其れは得策とは言えない。あくまで望むのは、彼奴がこれ以上傷付く事なく、俺の手によって気ままに生きる事なのだから。

そこまで考えてある一つの予防線を張ることにした。相手は俺がハグする事を許してくれた。けれどもキスする事は恐らく体が拒んでいる。ならばキス以上の事は、彼奴が直々に持ち掛けた時に行う様にしよう。勿論、彼奴が少しでも嫌がりそうならば身を引くのを条件として。

付き合ったからには手放す気はない。故に時間は他の恋人達よりも遥かにある。これまで通り、外堀を埋め、徐々に意識させて行けば良い。俺は彼奴の気遣いさえも利用して、心を手に入れる。

そう決心した時には既に家の前まで着いていた。インターホンを押すと『はーい』という軽やかな声と共に母がひょっこり顔を出す。

「おかえり~」

「ただいま」

付き合う事になった事は先に宣言していたし、今日の行先と相手告げていたので、事情を察してか何も聞かない。ただ上機嫌でニヤニヤと笑みを零している。

そんな母の口角を更に上げる事を伝える。

「来週、彼奴の家に行くから」

本当は俺の家に来て欲しかったし、キス以上の事もしたかった。けれども焦り過ぎて懐疑心を抱かせたら本末転倒。今は機会を伺わなくては。

その言葉を聞いた母は、俺の予想通りに口角を上げた。

「久しぶりだね。菓子折り、して行きなさいな」

其れを聞いてふと思い付いた。チョコスティックを持って行こうと。

彼は

好きな相手は『自分が』相手を幸せにしたい。

なんですよ。

決して

好きな相手は『何でも良いから』幸せで居て欲しい。

って訳ではないんですよ。


そこんとこ、彼女との大きな違い。

だから恋敵が居るなら全力で潰しに掛かるし、目移りする様なら、手でやんわり拒絶します。

『そっち向かないで』って。


でもそんな悪どい一面は徹底的に『彼女の前』、もしくは『彼女にバラしそうな相手』には、徹底的に隠すので、『優しい人』認定なんです。


読者様が思っていらっしゃる程、決して優しくはないですし、結構我を通します。

『邪魔するなら潰す』精神です。

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