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送ってく

短編

ぎこちないズレ

ですね。


忘れる事が多くなりましたね( '-' )

その後はお昼を食べたり、プラネタリウムを見たりした。ただ『間接キス』という言葉が頭を埋め尽くしており、何をしたか、何を言ったか全く覚えてない。そうして帰宅の時間になった。

今まで私の手首を包んで傍に寄り添っていたが、今はさり気なく手を握られている。軽口を叩き合う関係では無いのだと感じる。親愛とは違う、恋愛と言う形。其れを意識すると動悸が走る。

このままでは駄目だ。彼の前で宣言したじゃないか。『恋愛感情を持つように自分でも行動する』と。だから間接キス如きで怖気付くな。そんなの昔からあったのだから。

その尻込みした気持ちを打消す様に彼の手を強く握り返す。

「それ」

「あ、痛かった? ごめんね」

何かで頭が一杯になると、それ以外の事は考えられ無くなる。其れはきっと私の悪癖。彼が指摘した決断力も行動力も、本当は大した事などなく、其れしか考えられないからだ。

今だって恋愛感情以前に勢いで握ってしまった。

「嬉しい」

「そっか……」

焦っているのは悟られては駄目だ。悟られたら優しい彼は気遣われてしまう。だから其れを誤魔化す様に新たな提案をした。

「あのさ、今度家においで。君が来たら皆喜ぶし、誰かの侵入は鍵掛けたり、突っ張り棒入れれば良いからさ」

元々、親が仲良くて、幼馴染という関係だったから互いの家を行き来するのは当たり前だった。最近は想い人がいた事で交流は薄くなってしまったが、また来てくれたら皆で歓迎する。

ただ私の部屋は出入り自由なので、そこは対策を練らないと。今みたいな空気に弟や母が入って来たら全てが台無しになる。

「悪いな。なんなら……。いや、何でもない」

「どうしたの?」

「『俺の家に来るか?』って言おうとしたけれど、其れはまだ早いと思うから」

『別に君の家へお邪魔しても構わないでしょう?』と答えようと思ったが、やはり、恋人として好きだからこそ、思い留まってくれているのだろう。

そんな次のデートの話をしているうちに、互いの家の別れ道まで来た。流石に遠回りをさせるのは悪いので、断りを入れる。

「じゃあ、此処で……」

「送ってく。もう少し一緒に居たい」

思わず頬が赤くなるのを感じる。家まで数分だが、頬の熱が冷めるまでは時間が足りない。この状態で新しい話を提供する事は出来ず、ただ戸惑うばかりだった。

「着いたぞ」

「あ……有難う。今日、楽しかった。少しだけど前に進めた気がするよ」

言葉だけでもそう言わなければ。別れ道からの沈黙を少しでも返上しなくては。

対して彼は何も言わず、ただ私の顔を凝視している。そして手を伸ばし、頬にそっと触れた。彼の顔が近付いて来る。何時もの無愛想な瞳が、薄らとした唇が。それで、それで、それで。

しかし顔同士が触れ合う事はなく、ゆっくりと遠ざかっていく。彼の中に潜む、何とも寂しげな、けれども優しさが溢れた瞳が私を射抜く。

その後はそっと抱き寄せられた。帰り際に繋がれた手の様な、ただ深愛の別れの優しさだけがそっと私を包む。

「有難う。付き合ってくれて」

そんな優し過ぎる言葉を残して彼の温もりが離れていく。彼は私が玄関の奥に消えるまで、そこに居てくれた。

彼が『家おいで』と言わないのには、まぁ訳がありまして。


幾ら幼馴染で、互いの家を行き来していたとしても、今は恋人です。

つまり、友達以上の事は『同意』があれば出来ます。

そいで持って自分の部屋となると、気が緩みます。

つまり手が出やすくなるんですよ。


まぁ彼が『そういうこと』したいと願い出れば、覚悟決めた彼女はきっと嘘でも首を縦に振るでしょう。

例え本心ビビり散らかしていても。

そうならない為に、やめたんですよ。


OK出たら手ぇ出したい? と聞いたら

決まってんだろ。 と半ばブチ切れで帰ってきそう。

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