5話 幼児期(3)
荒れ地には何も居ない。そうだ!アイテムボックスの中に食べ物がある。
僕は解体してないそれらを食い千切りかっくらい。気がつけば自分のウンコにもたれて寝ていた。
体は金色のドラゴンのまんまで人化出来ない。
ノリスさん噛んじゃった。魔獣の牙は細菌だらけだから、運が悪ければノリスさんが死んじゃう!
「ウオォオオオーー!」
泣きたいのに、叫ぶだけ。
お腹が空いた。
それから丸2日未熟な翼で休み休み荒れ地を奥へと飛ぶ。ヨロヨロと言う速度で飛ぶと急に下に落ちた。崖だった。
「「「「「バインド!!」」」」」
海に落ちる寸前に魔法で拘束された。
「ジュディス!!私だ!ノリスだ!海に落ちたら塩水で翼が傷む!砂浜に下ろすから落ち着いてくれ」
ノリスさん!ケガしてないの?!
何で僕のこと助けてくれるの?
キライになってない?
砂浜に下ろされ魔法を解かれた僕は力いっぱいノリスさんに突進した。ノリスさんは半身で受け止めた。
「ぐぅ、ったくお前は先走りし過ぎる!帰るぞ!」
「ギャオ!」
お腹空いた!
スゴォオオイ!海老がいっぱいいる!
「ぎゃああああ!!その虫食うんじゃねぇ!」
あ、サザエまである!アワビもあるし、カニもいる!人化したらいっぱい採れるのに。
物欲の勝利か人化した。
僕はアイテムボックスいっぱいに海の幸を採り、歩いて1日で帰れたログハウスに着くとサザエの壺焼きにアワビの酒蒸し、エビフライにはタルタルソースを添えてご飯のお供に出したら殻と足がなかったら食べる食べる、どんどん食べるエルフ達。剥きエビのアヒージョは、エールが進むと大好評だった。
海の幸を知ってしまったエルフ達は1週間に1回僕を連れて漁に行くようになった。
僕はノリスさんに勉強、剣、体術を習い、エルフ達相手に夜は食堂を週3で開き、お小遣いも貯めた。
そして1年が経ち荒れ地は立派な森になった。
へドラのウンコには森を活性化させる物質が含まれていて荒れ地をへドラの一族郎党が森として蘇らせているらしい。
それを僕が証明した。ノリス父さんは、荒れ地を復活させた功績で、この森を治める領主となった。男爵、って言ってたっけ?
ただ、僕のせいで魔獣が来ないから森から納税出来る物がないので海から塩を精製して寄親のエルフの伯爵の里長へと納めている。
FRWOLでは、調味料から手作りしてたから天日塩くらい施設さえあれば、チョロい。
労働力は、ヒマなエルフはたくさんいるし、お給金か、塩を貰えると聞けば5~6人くらいすぐ捕まる。
最初だけ、ノリス父さんに教えればノリス父さんが、捕まえたエルフ達に教える。
塩は近くの街にも行商に行ってお高く売りつけているらしい。
日焼けしたエルフ達6人はこっそりノリス父さんの森に入って果物とかサボりながら食べている。ちなみにその後、ノリス父さんにお仕置きされていて笑える。
森の果物は僕の主食なので、食べられると結構ツラい。そう、僕は大食らいだから。
30カ所近くある採取ポイントをあらされたら、僕は海のものを食べるしかないのだ。
商売で使ってるからそれは避けたい。
懲りないエルフ達がお仕置きされてるのを見て、エルフの里に果物の種付けに行った。
食堂の常連客だけが、駆け寄って来た。それもこれも僕が臭いからだ。
「よう!ジュディス。機械の注文か?」
「いや、ポポカの種付けしようと思って、ね。僕の果物盗むくらい里に果物が無いんだとかわいそうだからね」
「早まるなぁああああ!頼む!そいつらは責任を持って罰するから種付けだけは、勘弁してくれやがりませ!」
大工のスーリャさん以下5名が僕にぺこぺこ頭を下げる。
種付け=僕がウンコする=ヒドい臭いが一定期間する=お仕置きになる。
「ダメ!もう果物盗むの常習犯になってるから、僕が怒ってるって解らせる!」
「待ってくれ!!ちゃんと果物の分は弁償するから、早まらないでくれ!わかった!1日1頭何かしら狩って持って行くから!アイツらには、里長から根性注入してもらうから、許して下さい!!」
1日1頭か。ま、今回は許すか……。まだまだ、僕も甘いね!
「契約実行しないと、種付けに来ちゃうからね」
「ありがとう!踏みとどまってくれて!」
しかし、次の日、日焼けエルフ達は怒られた腹いせにノリス父さんの森の果物をごっそりエルフの里に持ち帰り更には全家庭に配ったのだ。
僕が怒るより先にノリス父さんがブチ切れた。日焼けエルフ達を天日塩作りから速攻クビにして、日焼けエルフ達の実家の直ぐ横に僕が種付けするようにした。
エルフの里、6カ所から立ち上る異臭にエルフ達は気絶して起き、また臭いで気絶して起きを繰り返し日焼けエルフ達は、里から追放されたと1カ月後に聞いた。
里長のヴァーレイ伯爵がノリス父さんにグラストを2頭とシルバーホーンディアーを5頭持ってお詫びに来ていたので一応許してやることにした。
フハハ!保存食ゲットだぜ!
なんちゃってソミュール液にくし刺しにした肉片を浸けて氷室で保存する。
幾つかはコンフィにして食べた。油でジンワリ煮ると外側はカリッと内側はホロッと蕩ける食感で美味い!
スーリャさん達が早速食事に来ていた。
「役に立てなくてすまなかったな」
「どう考えてもスーリャさんのせいじゃないし、謝らなくていいよ」
「ジュディス、もう1年したら学校だろう?もう、そんな背丈だぜ」
…そうなのだ。へドラは成長が早い。もう、小学校入学くらいの大きさに育った。
ノリス父さんは何も言わないが、衣服や靴、剣や体に合った弓矢など揃えるのが大変だったと思う。
ちなみに今は食べる量を減らして成長を控えている。売る物が塩しかない領地の負担にはなれない。
ノリス父さんが今日は珍しく早めに寝ると言って2階に上がったので、スーリャさん達と内緒の話をする。
「僕の臭い、いつコントロールできるようになるかな?」
「だいぶ、無くなってるぜ。あと少し体が育ったら、イケるんじゃねぇか?」
「ええ~?!食べるの控えてたのに!」
「「「そりゃ、よくねぇなあ」」」
「ほら、腹いっぱい食って寝ろ!お前が育ってても、ノリスは文句言わねぇよ!」
遠慮なく、グラスト2頭分を食べて眠った僕だった。