☆2話 はじめての電話
☆2話 はじめての電話
4月のまだ少し肌寒いフワフワした空気の中、石沢雪弘は英語の勉強をしていた。少し前までタブレットPCで、
中一の英語問題集から学習を始めていて今は中二の問題集を解き始めていた。最近は間違った問題をボールペンでメモに書き、
その後ノートアプリにタッチペンで書き写していた。文章問題はけっこう間違えることが多くこれから一週間に一度くらいの、
頻度で読み返して自分がどんな問題で凡ミスをするのか確認しようと思っていた。いろいろと図書館にも頻繁に通い、
勉強の仕方に関する知識も増えていた。土曜日の夜夕食後に一服ついた後携帯で電話のアイコンを人差し指で押し、
川岸祥子の名前を連絡先から選択し電話をかけた。何かドキドキして緊張しながらコール音を聞いた。
ソワソワした高揚感を覚えながら待っていると小さな接続音がなり電話が繋がった。しばらく静かな沈黙が続いた後、
「もしもし石沢君?」と柔らかな川岸祥子の声がした。ドキドキしながら返事をした。「もしもし川岸さん、勉強してる?」
川岸祥子は勉強していると答え雪弘と同じで前もって中一の問題集は一通り復習していたよ、と言った。
雪弘も勉強していたことを伝えた。「同じだね」と川岸祥子は嬉しそうに優しく言葉にした。雪弘は優しく幸せな気持ちになった。川岸祥子は続けた。
「勉強する時にどんな工夫をしているの? 本で仕入れた知識は勉強に役立ってる? いろいろ聞いてみたいな☆」
雪弘は言った。
「小説の一文とかを翻訳サイトで英訳して音声機能で発音を聞いてその声を自分の声で繰り返すと勉強になるんだ」
川岸祥子はへぇーと言った後「英語を発音するとどんな感じがするの?」と不思議そうに柔らかな子供のような声で訊いた。
「何か英語の発音って早くて長い英文だと三つぐらい区切って何回か練習しないと上手く通して言えなくて苦労するんだけど、
やってると何か外国の文化に興味が出てきて考えてみると自分は子供と同じで何も知らないんだなって感じるんだ。
何も知らないことを自覚していた時、辞書で言葉の意味を調べるのって自分は楽しかったんだけど子供に近い柔軟性と、
楽天的なモチベーションがスピーキング練習って言う発音訓練をすると何か戻ってくるような感じがするんだ。
声に出してみると問題集で英語を書いている時よりも深く詳しく長く勉強を続けたくなるみたい。何か本によると洋楽で曲を聴きながら、
発音を真似ると英語の使い方とか語感を体得できるんだって。まだ洋楽のCDは買ってないんだけど買おうとは決めてるんだ。
最近はYouTubeでネイティブスピーカーが会話してるのを聞いて直に聞き取れたらどんなにいいだろうって、
思ってそこの所は今静かなモチベの源泉にはなってる。タロットリーディングの海外の動画とか耳で聞けたら、
面白そうだし海外のニュース番組とかも分かったら今言われているメディアの偏向報道にもいち早く気づけそうだし、
海外メディアで何が話題になっているのか知れるのは興味があるんだ。もう英検とかTOEICとか受けないとリアルで、
テストとかできないんだけどスピーキング練習するのはきっとネイティブの語感に近づく訓練になるから、
実際に受験した時に多分凡ミスも減らせて配点数を増やせるから翻訳サイトは今の学生とかも利用すると苦手教科も、
一つ減って海外にも自然と目が向けられるようになるだろうね☆なんか日本の企業って全然海外に進出しようとしないで、
海外に赴任してる会社員も全くと言っていいほど現地の人と交流しないんだって。なんか変な感じがするよね。
日本人ってそういう感じで、現地で生活してるから不思議で無表情な民族って思われてるみたいだよ。
○○○シみたいだよね☆」
川岸祥子は雪弘の発言を聞いて興味を持って「いろいろ知ってるんだねー☆」と感心したように言ってむぅと小さく唸ると、
「実際に喋ってみるとそんな学習効果があるんだね☆他にはどんな本を読んだの?」
と続けて質問した。雪弘は言った。
「語源について書かれた英単語の本とか読んだ。接頭辞とかの意味を覚えると英単語とかも覚えやすくなるみたいだよ。
英単語ってノートに繰り返し何回も書き写してたら気づかないけど末尾に付けるスペルで人を表す[er]とか[ion]とか、
よく見てみると英語にもパターンがあってそう言うのを一通り知っていると手早く英単語を覚えられるかもね☆
一冊電子書籍で英単語の語源の本を買ってみようかな? とは考え中だよ。勉強続いているのスゴいと思う。
最初の抵抗感を乗り越えた川岸さんは偉いと思う☆一緒に勉強続けようね♪」
川岸祥子は柔らかく明るく「うん」と言うと続けて、
「ありがとう雪ちゃん☆馴れ馴れしいかも知れないけど一緒に勉強を続けてくれていること、スゴく嬉しいし感謝してるよ。
私、雪ちゃんの話聞いて勉強のモチベ上がった。一緒にゆっくり勉強を続けていこうね☆」
石沢雪弘は嬉しい気持ちになった。春の柔らかな空気感と子供のように素直な川岸祥子の声を聞いていると、
勉強続けないとなと思い静かに明るく朝焼けが昇るように美しく心地よく素直に黄金のようなやる気が起こった。
「じゃあまたね」と言って電話を切ると、優しく充実した気持ちで一杯になった。
──(女の子と会話するのは楽しいな☆)
勉強をする工夫を続けていこう! と素直に明るく石沢雪弘は思った。一緒に海外旅行にもお金を貯めたら行けるのかな? 、
と思うと英語の勉強をするのは実益と実生活における充実とも直結しているんだな、と感じて雪弘は改めて、
(勉強頑張ろう★!!!)と強く意志するのだった。
〈続く〉