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魔法使いレオナの魔法が使えない!?  作者: ネコまんま
見知らぬ森
7/8

謎の少女

 レオナ「え?なに、人?あの子誰?」


 トキア「俺様が知るかよ。まあ大方、近くの村に住んでるガキンチョってとこだろ。…でも妙だな、村は一番近くてもここから20kmはある、なんでガキがこの時間に一人でこんなとこにいるんだ?」


 レオナ「それ、迷子かもしれないじゃん!こんな時間に森で一人なんて危ないし追いかけよう!」


 トキア「まあそうだな。探知しながら最短で追いつくぞ!付いてこい。マーグ・ディテクション!」


 レオナ「りょーかい!」


 トキアの探知魔法のおかげで、ちょこまかと進路を変えながら逃げる少女にあっという間に追いつくことができた。


 レオナ「ねえ君!ちょっと待って。何もしないからー!」


 ???「ぎゃーー!追いかけてきた!!ころされるーーーー!!」

 少女が手に持っていた何かを地面に叩きつけると、瞬く間に黒い煙が上がり、視界が塞がれた。


 レオナ「っ!?これは?」


 トキア「ただの煙幕だ。突っ込むぞ!」


 トキアの言葉を信じ、躊躇することなく煙幕に飛び込むと、時間を稼ぐつもりでいた少女は、驚いて転んでしまった。


 ???「いたっ!!」


 レオナ「大丈夫!?」


 ???「あ…ああぁ…オシマイ…だ…」

 転んでしまった少女に駆け寄り声をかけると、少女は恐怖の限界を迎えてしまったようで気を失ってしまった。


 レオナ「話聞きたかっただけなのに…私何かしちゃったかな?」


 トキア「お前の魔法を見てたんだろうな。あんなの常人の成せる技じゃない。恐れられて当然だ」


 レオナ「そっか。なんだか悪いことしちゃったな」


 トキア「とりあえず、一旦そいつ抱えて今日の拠点地探すぞ。日が暮れる前に準備しなきゃいけないことが山ほどあるんだ」


 レオナ「わかった!」


 それから私達は少女を抱え、薪と水と食料(トキアの知識により得た木の実や野草)を採取し、魔物の寄り付かなそうな場所に火をおこし、拠点を作った。

 焚き火の周りに葉っぱのベットをこしらえただけという簡素な拠点は、つい昨日まで日本で何不自由無い暮らしをしていた私にとって、正直かなりキツい環境だったが、わがまま言ったところでどうこうなる状況でもなかったのでぐっと堪えることにした。


 木の実や野草を食べるために下処理したものを火にかけていると、少女が目を覚ました。


 ???「んん…ここは?」


 レオナ「あ。起きた!さっきは驚かせちゃってごめんね?大丈夫?」


 ???「うわぁあぁー!殺されるー!!!あぁ神樹さま、ごめんなさいごめんなさい、二度とこんな事しませんから、どうかお救いくださーーい!!」


 トキア「なんだコイツ。頭でも打ったか?」


 レオナ「ちょっとトア!この子は混乱してるだけだよ!ねぇ、私達何もしないから、一旦落ち着いて?ね?」


 ???「はぁっ…はぁ、…本当ですか?」


 レオナ「もちろんっ!だいぶ落ち着いたかな?それじゃ自己紹介するね!私はレオナ!んで、この悪魔みたいなのが」


 トキア「俺様の名はトキア。誰もが虜になってしまう、キュートでチャーミングな小悪魔ちゃんよ!」


 レオナ「…それ毎回やるの?」


 トキア「何いってんだ。当たり前だろ」


 ???「レオナさんに、トキアさん。私の名前はミーナ・スレヒトです。あの、先程は取り乱してしまって申し訳ありませんでした」


 レオナ「ミーナちゃんか。可愛い名前だね。よろしく!ミーナちゃん」


 ミーナ「はい!よろしくお願いします」


 レオナ「あそーだ!さっきはなんで逃げたのさ?」


 ミーナ「それは…単純にレオナさんの魔法が凄すぎて怖かったんです…捕まったら口封じで殺されちゃうかもって思って…」


 レオナ「あはは…やっぱりそうかぁ。ごめんねー。あ、ちなみにあの魔法、実は私もまだ怖いんだ」


 ミーナ「え?どうしてですか?」


 レオナ「なぜなら、わたしあの魔法制御出来てないから!わっはっは!」


 トキア「おいおい、それ威張って言えることじゃないだろ」


 レオナ「だって初めてだったしー、結構難しいんだもんっ」


 ミーナ「…なんだか恐怖心が増したような気がします」


 レオナ「ガーン!!!」


 ミーナ「ふふっ冗談です。レオナさん達が優しい方達だって事、私本当は知ってましたから」


 ミーナが笑うと、焼いていた木の実がパチっと音を立てて弾けた。


 レオナ「まぁなんだかんだで誤解も解けたことだし、ご飯にしよっか!ミーナちゃん、お腹空いてる?」


 ミーナ「はい!」


 この世界に来て初めての食事は、木の実と野草だけととても質素で、正直おいしいとは言えないものだったが、三人で焚き火を囲いながらの食事はとても楽しく、非日常を感じることが出来ていい思い出になった。


 レオナ「そういえば、ミーナちゃんはどうしてこんなところまで一人で来てたの?」


 ミーナ「………私、逃げ出してきたんです。自分の住んでいた村から……自分の果たすべき使命から…」


 レオナ「そう…だったんだ。良ければ話してくれないかな?私、ミーナちゃんの力になりたいんだ!」


 ミーナ「っ!!…ありがとうございます。それではまず、私の村についてお話しさせていただきますね。わたし達カーラ族は、古くから神樹カーランディアの根本周辺に村を作り、神樹さまの恩恵に(あずか)りながら神樹カーランディアを信仰して暮らしてきました」


 レオナ「神樹か~!その恩恵って、どんなの?」


 ミーナ「神樹さまは周囲に結界を張っていて、悪意を持つ者の侵入を防いでくれています。それと、深くひろく張り巡らされた根っこから大地の魔力を吸収し、放出することで人や家畜、そして作物までをも病気から守ってくれているんです。そのおかげでわたし達は外部から干渉されずに平和に暮らす事ができていたんです」


 レオナ「へぇ~。神樹様って凄いんだね!聞いてる感じだと、なんだかすごくいい環境じゃない?」


 ミーナ「そうなんです。ですのでわたし達カーラ族は、神樹さまへの感謝を込めて毎日祈りを捧げるようになり、森の管理も徹底して行ってきました。ですが、それでは足りなかったんでしょうね。数年前に大嵐がきた時、神樹さまの力が一時的に弱まった事があったんです。その時から、神樹の根本にある祠の石碑に()()文字が刻まれる様になりました」


 レオナ「その文字って…」


 ミーナ「名前です。毎年村の中から一人選ばれて名前が刻まれるのですが、その選ばれた者は奉仕者(ほうししゃ)と呼ばれ、収穫祭が行われる日、神樹の祠のさらに奥、祭壇での奉仕活動に従事しなくてはいけなくなりました」


 レオナ「つまり、それに選ばれちゃったってわけか」


 ミーナ「はい。…わたし、それが嫌で嫌で仕方なくって。だって一年間も自由がないんですよ?そんな退屈、私には耐えられそうにないなって思って…」


 トキア「…なんだ。結局ただのワガママかよ」


 レオナ「トア。そういう言い方やめて」


 ミーナ「あはは…いいんです。事実なので。でもわたし、レオナさんに出会って気付いたんです。自分の事しか考えて無かったなって。いつもお世話になってる人達や、村を守るためにも奉仕者として使命を果たさなきゃって」


 レオナ「えぇ!?私!?私まだ何も良いとこ見せれてないような?」


 ミーナ「そんなことありません。レオナさんは素敵な方ですよ」


 レオナ「えへへ、そ~かなー?」


 トキア「子供のお世辞で喜んでんじゃねーよ」


 レオナ「お世辞なんかじゃないもんねー?ミーナちゃん」


 ミーナ「はい!ちゃんと本心ですよ!!」


 トキア(そんな聞き方したらそう答えるしかないだろうが)

「……はぁ」


 レオナ「ところでミーナちゃん。その収穫祭っていつなの?」


 ミーナ「え?あ、明後日ですけど…」


 レオナ「明後日か~!その収穫祭、私達も参加できるかな?」


 ミーナ「ええと、今まで収穫祭にお客さんを招いたことは無いと思いますが、わたしが紹介すれば村の人達も歓迎してくれると思いますよ!わたしたちの村は閉鎖的なように見えますが、意外と村の敷地に入った人を追い出したり、拒んだりはしないんです。村に入れた時点でその人は悪い人ではないと判断できますからね」


 レオナ「よっし!それなら私達もその収穫祭とやらに参加しようじゃあないか!」


 私がそう言うと、トキアが近付いてきて小声で話してきた。

 トキア「おい!いちいち面倒事に首突っ込むのはやめとけ」


 レオナ「そうだよね。トアには関係ないのに、私から離れられないから巻き込まれちゃうよね。けど、私はこの世界に来た目的を果たさなきゃいけないの。罪を償わなくちゃ。…だから悪いんだけど、ちょっと付き合ってくれないかな?」


 トキア「罪って…お前なにしたんだよ」


 レオナ「あー、ごめん。ミーナちゃんもいるし、その話はまた今度ね」


 トキア「…ったく、よく分からんが協力はしてやるよ。だが、俺がヤバいと判断した時はすぐ止めるからな」


 レオナ「分かった!ありがとねトア!」


 ミーナ「それじゃあ明日、わたしの村まで案内しますね」


 レオナ「うん!よろしくね!ミーナちゃん」


 ミーナ「はい!」


 その日の夜はトキアが見張りをかってくれ、私たちは葉っぱの布団で眠ることになったのだが、お風呂に入らず制服のまま、ましてやブラジャーをつけたまま眠るのが私にはどうしても耐えられず、こっそりブラのホックを外した。すると少し楽になり、気付いたときにはもう朝だった。

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