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魔法使いレオナの魔法が使えない!?  作者: ネコまんま
見知らぬ森
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創世神マミクリー・ノーヴァル

___私が目を覚ましたのは、見覚えのない真っ白い空間だった。体の感覚は殆ど無く、重力も感じない。ただぼんやりと暖かい、不思議な空間だった。


 ???「ご気分は如何ですか?樋口怜央奈さん」

 突然目の前に大きな美しい女性が現れ、私に語りかけてきた。


 怜央奈「あんまり感覚ないですけど、たぶん元気?です。えと、あなたは?」


 ???「失礼、申し遅れました。私は世界スーラの創世神マミクリー・ノーヴァルと申します。マミちゃんでいいですよ」


 怜央奈「へー神様ね。そっか。私死んじゃったんだ。ま、そうだよね」


 マミクリー「ふふっ見事なスルーですね。まあいいでしょう。ここに来るまでのこと、覚えていますか?」


 怜央奈「…はい。…櫂渡は!櫂渡は無事ですか!?」


 マミクリー「残念ながら瀬乃櫂渡は亡くなりました」


 怜央奈「……私、なんてことしちゃったんだろう。あんなことしたかったわけじゃないのに…櫂渡…ごめんなさい」

 あの状況から、なんとなく察しはついていた。私は、櫂渡を階段から突き飛ばして殺してしまったのだ。


 マミクリー「…そう。あなたは人を(あや)めてしまいました。これは大罪です。なのでこれからあなたには世界スーラに行ってもらいます」


 怜央奈「…地獄ってことですか?」


 マミクリー「いいえ。地球とあまり変わらない人間が暮らす異世界になります。そして、あなたは今スーラで起きている様々な間違いを正し、世界の滅亡を防ぐのです。これをあなたの贖罪とします」


 怜央奈「いやいや、私にはそんなの無理ですよ!ていうかそれって、創世神であるあなたがちょっと修正すれば済む話なんじゃないですか?」


 マミクリー「そうですね。その考えを持つのは至極当然です。ですがそれは出来ないのです。創世後1000年以上経過した世界へは不干渉と、そういった神々のルールが定められているのです」


 怜央奈「そうなんだ。でもやっぱり無理です。私にはなんの力も無いですし、それに…人を殺しているんです。罪のない友人を、私は殺してしまったんです!自分のしたことを棚に上げて他人様(ひとさま)のすることを(とが)めるだなんて、私には…できません」


 マミクリー「あなたは既に自分の過ちを深く自省(じせい)しています。犯した罪が消えることはありませんが、人は罪を(あがな)う事が出来ます。現在、スーラには非道に苦しんでいる人々がたくさんいます。為す術なく悪行を働く者もいます。そのような者たちををあなたが救う。それこそが、あなたの贖罪になるのです」


 怜央奈「…わかりました。ただ、ひとつお願いがあります。罪人の分際でこんな事を言うのはおこがましいとは思いますが、もし私が十分に贖罪を果たすことが出来たと認めてもらえた時、私の命と引き換えに櫂渡を生き返らせて貰えませんか?」


 マミクリー「いいでしょう。創世神の名において、あなたが贖罪を果たしたその時、瀬乃櫂渡を甦らせることを約束しましょう」


 怜央奈「ありがとうございますっ!!それなら私も、私なりに精一杯人を助けて、罪滅ぼしをしていこうと思います」

(正直、まだ私に何ができるのか分からないけど、私のこれからの行いによっていつか、櫂渡に許してもらえたらいいな…)


 マミクリー「……うん!よく決断してくれましたレオナちゃん!えらい!」


 怜央奈「…え?」


 急に態度が変わったマミクリーに驚いていると、彼女は続けた。


 マミクリー「重っ苦しい話はこれでおしまい!いやー、まだ16歳なのにとっても辛い経験しちゃったね。でもレオナちゃんならきっと大丈夫。私は応援してるからね!ガンバレ!ガンバレ!レ・オ・ナ~!」


 怜央奈「あはは。うん。がんばります!」


 マミクリー「はーい!それでは今からレオナちゃんに力を授けます!」


 怜央奈「力?」


 マミクリー「ヒジョーに強力な魔法です。でもこの魔法の会得者は、一つ制約を受けることになるの」


 怜央奈「えぇー!?魔法って…そういう世界なの!!?いやいや一旦それは置いといて、その制約っていうのは?」


 マミクリー「制約っていうのはね、『この魔法によって人を殺してはならない。もし仮に人を殺してしまった場合、魔法の使用者に(ゆかり)のある者の中から一人、凄惨な死を迎える。尚、この制約によって死した者は魂ごと消滅し、いかなる手段を講じても蘇生は叶わない』っていうのなんだけど」


 怜央奈「……なるほど。でも大丈夫!私の目的は人助けだからっ!同じ過ちは二度と繰り返せないよ」


 マミクリー「…うん。いい心がけです!では、あなたに創天(そうてん)魔法を授けます。」


 そう言ってマミクリーが私を指差すと、体の中に何かが刻まれているような感覚が襲ってきて少しよろけた。

 怜央奈「っ!!」


 マミクリー「この魔法は本当に強力だから、くれぐれも使うタイミングは注意してね?あ、ちなみにスーラに存在している()()は、大きく分けて人間、小人、巨人、亜人、魔人、の5種族ね」


 怜央奈「それ、もうファンタジー世界じゃん」


 マミクリー「ふふっあなたのいた世界からしたらそうね。…っとそろそろ時間ね。レオナちゃん、最後にあなたに伝えたい事があります」


 怜央奈「まって。私からも一言いい?えっと、償いのチャンスをくれて、ありがとう。マミちゃん」


 最初に言われたようにそう呼んでみると、マミクリーはとても嬉しそうな顔をして続けた。

 マミクリー「まぁ!距離が縮んだようで嬉しいわ。こちらこそ、協力してくれてありがとうね、レオナちゃん。それではひとつ。あなたの愛犬はこの世界で転生しています。記憶を引き継ぎ、姿を変えてね」


 マミクリーが話し終えると同時に、強い光に包まれ、意識が段々と遠のいていった。

 怜央奈「…うそ?ほんとに?マミちゃん待って!コユキはどこにいるの?お願いっ!教えて!」


 ぼんやりと遠のく意識の中で、途切れ途切れのマミクリーの声が聞こえた。


 マミクリー「今…カ…ン……街…るわ…が…ばって」



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