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魔法使いレオナの魔法が使えない!?  作者: ネコまんま
見知らぬ森
2/8

いつもの日常

 ___バシッ!突如後頭部に走った痛みにより私は飛び起きて叫んでいた。


 怜央奈「マ、マリアナ海溝!!!?」


 教室中からドッと笑い声が上がる。クラスメイトの野次が飛び交う中、目の前で呆れ顔をした数学教師の斎藤先生を見て、私は全て察した。


 斎藤先生「樋口ぃ~今は数学の時間だぞー?お前、学級委員長なんだから。もっとしっかりしろー?」


 私は先生の機嫌と教室の空気を瞬時に読みとり、ウィンクしながらおちゃらけた態度で返事をした。

 怜央奈「…てへ///すいませんでしたー。あははー」


 斎藤先生「まったく…」

 先生はそう呟くと教壇に戻っていった。


 怜央奈(はぁ~。なんとか切り抜けたぁ。)

 そう安堵しながらゆっくり椅子に腰を下ろすと、後ろの席からペンか何かで背中を突っつかれたのを感じた。その犯人が誰なのか私は分かっていたので、恨めしげな顔をしながら振り返ると、その男は堪えきれずにクスクスと笑っていた。


 彼は長谷川透(はせがわとおる)。おそらく(くし)も通してないであろう全体的に長く、少し癖のあるボサボサな髪。大きくキレイな瞳が前髪で隠れてしまっていてもったいない。縁の細い楕円の大きなメガネをしている。身長は私と同じ、155cmくらい。優しくて頭もいいけど、内向的な性格の為かなかなか友達ができないようだ。


 彼とは高校に入ってから席が後ろだったこともあり仲良くなった。お互いホラー映画が好きで、面白い作品を見つけるといつも共有している。…それと、たまーに勉強を教えてもらったりもする。


 透「怒られちゃったね」

 と苦笑いしながら話しかけてくる。


 怜央奈「も~!なんで起こしてくれなかったの?寝ちゃってたら起こすって約束したじゃん裏切り者ー!」


 透「えぇー!?そんなこと言ったことないよ。でも樋口さんが授業中寝ちゃうなんて珍しいね。どうしたの?」


 怜央奈「実は最近バイト始めたんだよねって、、、長谷川くん?」


 長谷川くんは私と黒板の方を視線だけ交互に動かして何かを訴えている。私はその意味をすぐに理解すると、何事もなかったかのようにすぐさま前を向き、黒板をノートに写し始めた。その間ずっと先生からの熱い視線を感じていたが、気付かないフリを続けていると昼休みを告げるチャイムが鳴った。助かった。


 昼休みになり、友人の前田恵理(まえだえり)ちゃんとご飯を食べていると後ろから聞き慣れたやかましい声が聞こえてきた。


 瀬乃櫂渡「よぉ長谷川ー。今日もぼっち飯か?wかわいそうになーw」


 鈴木拓真「いやー、俺今日弁当忘れちゃってさーwお前購買行って買ってきてくれよ。な?焼きそばパン3つ!」


 市橋翔「…俺いらね」


 拓真「んじゃ2つ!なー頼むよー!はーせーがーわーくーん」


 この感じの悪い男三人組は瀬乃櫂渡(せのかいと)鈴木拓真(すずきたくま)市橋翔(いちはししょう)だ。最近やたらと長谷川くんに嫌がらせをしに来る。正直不快だ。


 ちなみに瀬乃櫂渡は私の幼なじみで、昔はいいヤツで仲も良かった。けど成長するにつれてだんだんとグレていってしまった。一時期は金髪にまでなっていたけど、今は茶髪にピアス。背が高く体格もいいので喧嘩三昧だっていうし、しょっちゅう先生に注意されている。そのくせ顔が良いので地味にモテる。私にはこんな暴力男のどこがいいのかさっぱりわからないけど。


 透「…いいよ」

 少し間を置いた後、笑顔で彼は答える。


 拓真「さっすが長谷川!わかってんじゃん!じゃよろしくなーw」


 私はたまらず振り返り、口を出した。

 怜央奈「あんたたちさ、購買くらい自分で行ってきなよ」


 櫂渡「お前には関係ねぇだろチビ」

 凄んでくる櫂渡、だが幼なじみの私は怖くない。


 怜央奈「んなにをぅ!てか私はチビじゃないしー櫂渡がでっかくなり過ぎなんですーだ!デカッ!あほっ!」


 櫂渡「デカって…お前それ煽ってるつもりか?いやー煽るのヘタクソだなー。居眠りなんかしてないで、そういうのもちゃーんと勉強しとけ?」


 怜央奈「……とに」


 櫂渡「お?なんだよ?」


 怜央奈「櫂渡に勉強しろなんて言われる日が来るとは…全教科赤点ギリギリのくせに」

 口を手で抑え、感泣しているような演技をしながら言った。


 櫂渡「んなっ//てめえなんでその事を知ってやがる!」


 怜央奈「効いてる効いてるー。で、煽りがなんだっけ?ってあっれー?かいとー顔真っ赤だよ?大丈夫ぅ?」


 ニヤけ顔を近づけながらさらに煽った。櫂渡の顔はさらに赤面し、本当に真っ赤だった。昔から私に口喧嘩で勝ったことが無いくせに挑んでくるからこうなるのだ。こういうところは変わってない。かわいい奴め。


 怜央奈「もー。なんでこんな意地悪な子に育ってしまったのかねー。昔はでっかいザリガニ釣っただけでもう大興奮!あーあ、可愛かったのになー。あ!あとお姉さんの神那(かんな)さんの事大好きでいつもベッタリだったよねー?今でもそうだったりして?」


 調子に乗って煽っていると、櫂渡がおもむろに右手を振り上げた。

 怜央奈「…へ?」


 翔「櫂渡!!!」


 市橋翔が止めに入ろうとすると同時にガタッ!と大きな音を立てて透が立ち上がった。


 透「樋口さんありがとう。でも大丈夫だよ!ちょうど僕も喉乾いてたし。飲み物買うついでに行ってくるよ」


 拓真「おっ!気が利くなーwじゃ俺らの飲み物も頼むわw」


 透「分かった。お茶でいい?」


 拓真「なんでもいいから早めで。昼休みが終わっちまう」


 失礼な言い方をされながらも、何も言わずに教室を出ていく透。


 櫂渡「便所」

 不機嫌そうに舌打ちした後、一言そう言い残してすぐに櫂渡も教室を出ていってしまった。


 櫂渡はまあいい。とにかく今許せないのは鈴木拓真である。


 怜央奈「鈴木!あんたほんっと性格わるい!」


 拓真「へっ!俺はただ()()()()に頼み事しただけだぜ?何が悪いんだよ」


 言い返そうとする前に恵理ちゃんに止められた。

 恵理「怜央奈ちゃんもういいよ。こんなやつと話してる時間がもったいない」


 同じく鈴木拓真も何か言おうとしていたが、市橋翔に止められてどこかに連れられていった。


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