#96 ヒーラーうらら ☆
今日は香織姉が遅れるとのことだったので、うららさんと帰宅した。
うららさんは、そのまま、家へ遊びに来た。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす!」
玄関を開けて、そのままリビングに向かった。
すると、うららさんは突然抱きついてきた。
「ゆ~き~あ~くん♪」
「うわぁ!?」
「あはは~、びっくりしすぎだよ~」
「いきなり抱きつかれたら、そうなるよ…!?」
うららさんは本当に天真爛漫だよねぇ~。
「ゆきあくん、一緒にゲームしない?」
「良いよ。何のゲームにする?」
「パズルゲームやろうよ~」
「いいけど、うららさんってこういうの得意だっけ?」
うららさんは基本的に頭を使うのが苦手である。
「わたし、これでもパズルゲームは得意なんだよ~」
「そうなんだね。勉強はあまり出来ないのにね」
と、思わず失言してしまった。
「も~、ゆきあくんがかわいくない~。こうしてやる~」
「って、うわぁ!?」
「えーい!」
ぼくはうららさんに押し倒されて、そのまま踏み潰された。
「ゆきあくんはわたしが踏み潰しちゃうよ~。うりうり~」
「ひゃー! ごめん! 許してー!」
ぼくは思わず叫んでしまった。
「は~い、許してあげる~。イジメてごめんね」
うららさんは舌を出しながら謝った。
「もう1回抱いてあげる~」
「ふぇ!?」
ぼくはまたしても、うららさんに抱かれた。
「う~ん、ゆきあくんは気持ちいいね~」
…うららさんもね。
「ゆきあくんはかわいいね~」
「もうやめてよ~」
かわいいと言われて、顔を赤くしたぼくの頭をうららさんはなでてくれた。
うららさん、すごい癒し力だね…。
「も、もうそろそろ終わりにしない?」
「だ~め。もっと抱きしめさせて」
さすがに恥ずかしくなり終わりにするようお願いするも、うららさんはまだぼくを抱きしめる。
「うららさんはなんでそんなにぼくを抱きしめたがるの?」
「ゆきあくんが好きだからだよ~」
ドキッ!
「そ、そういうの簡単に言わないでよ…!」
「あはは、ゆきあくんかわいい~」
ぼくはドキドキしてるのを見て、うららさんは笑っていた。
「ゆきあくんはわたしのこと好き?」
ぼくにそれ聞いてくる!?
「う、うん…。うららさんはいつも小さい頃から、一緒に遊んでくれるから」
「うふふ~」
ペロッ。
「ひゃん!」
「かわいいゆきあくんは、わたしがなめてあげるよ~」
そう言って、うららさんはぼくのほっぺをペロペロなめた。
「ねえねえ、ゆきあくん。わたしに癒された?」
「う、うん…。もう充分すぎるくらい…」
「えへへ~。ゆきあくんに褒められた~」
うららさんは嬉しさのあまり、かわいい笑顔になっている。
「かわいい…」
ぼくは思わずそう口にした。
「えっ? わたしのこと、かわいいって?」
「あっ、つい口に…」
「ありがとう♪ ゆきあくんもかわいいよ~」
うららさんは再びぼくを抱きしめた。
「ふ、二人共何やってるのかな…?」
いつの間にか香織姉が帰ってきていた。
「あっ、香織姉」
「香織ちゃん、おかえり~」
「うららちゃん、ゆきあくんと遊んでくれたんだね」
「うん! ゆきあくんをいっぱい癒してあげたよ~」
うららさんは香織姉にそう説明した。
正直ぼくも存分に癒された。
「香織姉も帰ってきたし、そろそろゲームしない?」
「えっ? ゲーム?」
「パズルゲームやろうって話してたから」
「何だろう~? 全然思い出せない…」
うららさんは両手をグーにして頭に当てながら考えていたが、すぐに思い出した。
「あっ、そっか! わたしってばゆきあくんを癒すのに夢中で忘れてたよ~」
うららさんは頭をさすりながら照れくさそうに言った。
「パズルゲームね。わたしもやっていい?」
「うん、みんなでやったら楽しいもんね!」
「それじゃあやろう」
それから、1時間ほどみんなでパズルゲームをすることになった。
改めて、うららさんは、人を癒す力が強い。
そんなことを身に染みて感じた1日だった。
読んでいただきありがとうございます。
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