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#93 バッティングセンター ♡

「ねえ、ゆきあくん。ちょっと運動しない?」

わたしは今、ゆきあくんと帰宅していて、そう話しかけた。


「運動?」

「うん、近くにバッティングセンターがあるから一緒にやろうと思って。どうかな?」

「うんいいけど…」

「やったー♪ じゃあ決まりだね」

そんなわけでわたしたちは、近くのバッティングセンターに向かった。




「ここだよー」

「うわぁーバッティングセンターってこんな感じなんだー」

バッティングセンターの中に入ると、カーンと金属で叩いたような音が耳の中に入ってきた。


「やったー、ホームランだー!」

「風花ちゃんすごーい!」

声のする方を見るとバッターボックスで風花ちゃんがバットを構えていて、ネットを挟んだ向かい側に水樹ちゃんが立っていた。


「あれ、風花さんと水樹さん?」

「あっ、ゆきあくん、香織~」

「こんなところで会うなんて奇遇だねー」

「2人も、運動しに来たんだね」

2人はわたしたちに気づき、話しかけた。


「ええ、わたしも水樹もよくここに来るの。おかげでホームランも出せるようになったからねー」

「香織ちゃんは来るの初めて?」

「わたしは何回か来たことあるけど、ゆきあくんは初めてだよね」

「う、うんそうだね」

ゆきあくんはこくこくと頷いた。


「そういえばゆきあくんは運動出来るの?」

水樹ちゃんはゆきあくんにそう聞いた。


「うっ…。人並みにはだけど…」

「そうなんだ~。ふふっ、じゃあ頑張ってねー」

わたしとゆきあくんは2人と違うエリアに入った。

まずは、わたしが打つことになった。


「香織姉ってどれくらい野球出来るの?」

「あまり得意じゃないけどね…。ホームランもまだ打ててないから、今日こそは打ちたいなぁと思って」

「そうなんだ。じゃあ今日こそ打てるといいね」

「うん。えっとボールの速さはこれくらいにしようかな?」

わたしはボールの速さを100キロに調整して、バッターボックスに入った。

ヘルメットを被って、バットもしっかりと持った。

奥からボールが発射されて、わたしはバットを振って打った。


「すごーい! 今のはホームラン?」

「ううん、今のは、ずれたからファールだね」

「あれ、そうなんだ…」

その後も何回か打ったけど、なかなかホームランは出せなかった。


「ホームランって難しいんだね…」

「うん…。次の1球で終わりにするね」

そう思い、わたしは最後の1球が発射され、カーンと打った。

すると、ボールは見事に上の方に駆け上がっていった。


「今のはホームランじゃない!?」

「うん、ホームランだよー」

「やったー、すごいね香織姉!」

「始めてのホームランだよー♪ ゆきあくんってばわたしより喜んでるね♪」

「あっ、ごめん、つい…」

わたしは始めてホームランを打てて、ゆきあくんは誰よりも喜んでくれた。


「じゃあ次はゆきあくんの番だね」

わたしはそう言って、持っていたバットとヘルメットをゆきあくんに渡した。


「うん、でも自信ないなぁ…」

「ゆきあくんは野球やったことある?」

「時々、クラスの男子たちとやったりするけど、あまり打てた試しないんだ…」

「じゃあ、今日打てたらいいね!」

「うん。頑張るよ」

「えっと、ゆきあくんはこれくらいかな?」

わたしはゆきあくんに合わせて、ボールの速さを80キロにしてみた。


「ゆきあくん、頑張ってねー!」

「うん!」

ゆきあくんはそう意気込み、ボールが次々と発射された。

―だけど、ゆきあくんの持つバットに当たることなくボールはどんどん後ろのネットに受け止められていた。


「全然打てないよー!」

「ゆきあくん、目をつむっちゃダメだよー! ちゃんとボールを見てね!」

「う、うんもう1回!」

次の1球が発射された。

ゆきあくんはバットを強く握り、勢いよく振った。


「あれ、打てた?」

「ゆきあくんすごーい!」

ゆきあくんはボールを打つことが出来た。


「うん、ホームランは出せなかったけどね…」

「ううん、打てただけでもすごいから! ホームランもいつか出せるといいね!」

「そうだね」

わたしとゆきあくんは少しだけ笑った。




「つかれたぁ…」

バッターボックスから出たゆきあくんはふらふらになりながらもベンチに座り込んだ。


「お疲れ様ゆきあくん。はい、ジュース」

「うん、ありがとう」

わたしはゆきあくんにジュースを渡した。


「今日はありがとね。付き合ってくれて」

「うん、初めてバッティングセンターに行ったけど、楽しいね」

「うふふ、今日のゆきあくんはなんだかかっこよかったよ!」

「そ、そうかな…? えへへ…」

ゆきあくんは褒められて、照れていた。


「香織姉…」

「なーにー?」

「また今度、一緒に来よう」

ゆきあくんは恥ずかしながらもそう言った。


「うん! 良いよー!」

わたしは元気よくそう言った。




読んでいただきありがとうございます。


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