#88 漫画を買いに行こう ☆
「ねえ香織姉…」
「どうしたのゆきあくん?」
「本屋一緒に来てくれないかな?」
「何か欲しい漫画があるの?」
「う、うん…」
「どんなの?」
「…! そ、それは内緒…! とにかくお願い!」
「うん、分かったよ」
ぼくと香織姉は本屋へと向かった。
欲しい漫画を見つけたので、買いにいこうと思ったけど、恥ずかしいことに1人で外出出来ないので、香織姉についてもらうことにした。
「ついたよ~」
「それでゆきあくんが買いたい漫画は何かな?」
「い、いやー香織姉には…! まあ、教えてもいいか…」
「な~に?」
「新しい姉弟漫画を買いたくてね…」
「ふ~ん、ゆきあくん、やっぱり好きだね~」
「い、いいからぼく探してくるから! それぐらいなら1人で動けるから…」
「はーい」
ぼくは1人で漫画を探し回った。
「えーと、漫画コーナーは…」
「あれ、ゆきあくんだ」
「ゆきあく~ん」
「えっ、心愛さん、心音さん!?」
心愛さんと心音さんに遭遇した。
「珍しいね~。ゆきあくん1人で来たの?」
「いや、香織姉と一緒だよ…」
「そっか~」
「そういえば2人は何しに?」
「わたしは欲しい漫画があるから来たの」
「あたしは心愛ちゃんについてきたの」
「そ、そうなんだ…」
「ゆきあくんも漫画買いに来たの?」
「う、うんまあね…」
「何の漫画買うの?」
「えっ!?」
姉弟漫画を買いに来たって2人にはとてもじゃないけど言えない…!
どうしよう…。
「あっ、無理に言わなくても大丈夫だよ。わたしたちはあっちいってるから」
「うん、ゆきあくんまたねー」
「えっ、あ、うん」
2人は気を遣ってくれたのか、あっちの方へいった。
「ふぅ~、危なかったー。このままバレないように買おう」
「何がバレないようになの?」
「えっ、うわぁ!?」
「ふふっ、ゆきあくん久しぶり~」
うららさんまで来ていた。
「う、うららさんどうしてここに?」
「さっき、香織ちゃんと会って、ゆきあくんに会いにきたの~。ゆきあくん、漫画買いに来たんだねー」
「う、うんそうだよ…」
「どんな漫画買うか気になるからついてきていい?」
「えー!?」
うららさんにそう言われ、ぼくは思わず声をあげた。
「い、いや~、べ、別に普通の漫画だからついてきても面白くないよ!?」
「ゆきあくんは噓つくの下手だよね」
誤魔化そうとしたけど上手くいかなかった。
「そこまでして知られたくない漫画って何…?」
「いや本当に普通のー」
「あっ! 分かっちゃった!」
「えっ、何?」
そう言ってうららさんは近くの本棚にあった漫画を取り出した。
「これだよね?」
「そ、それはぼくが欲しかった漫画…! …って何で分かったの!?」
「うん、新発売の姉弟漫画だし、ゆきあくんなら好きそうだと思ってね」
「あ、うんありがとう」
「どういたしまして」
ぼくはその漫画を受け取った。
「心愛ちゃんの欲しかった漫画も買ったしゆきあくんのとこいこー」
「うん」
「ゆきあくんー、あれうららさんだ?」
「あれ心愛さん、心音さん」
「あー心愛ちゃんと心音ちゃんだー。久しぶり~」
うららさんは2人に抱きついた。
「うわぁ、うららさん!?」
「久しぶりだねうららさん。うららさんも買いに来たの?」
「ゆきあくんがいるの見たから入ってきちゃった♪」
「も~うららさんってば急に抱きつかないでくださいよ~」
「えへへ、ごめんね」
心愛さんと心音さんもうららさんと良く遊ぶ仲である。
「あれ、ゆきあくんその漫画が欲しかったんだー」
「えっ、あ、うん。あれ心愛さんも?」
「うん、わたしも気になったから買っちゃったの。帰ってじっくり読もうと思って」
「そうなんだ…。あはは…」
どうやら心愛さんと欲しかった漫画が同じだったみたい。
「香織姉、お待たせ」
ぼくは心愛さんたちと一緒に香織姉のところに戻った。
「おかえり、ゆきあくん。あれ、心愛ちゃんたちも一緒だったんだ?」
「はい、わたしも買いたい漫画があったので」
「どんな漫画なの?」
「はい、こちらの姉弟漫画です」
「わ~面白そうだね~。ゆきあくんもこれ買ったの?」
「う、うんそうだよ…」
「あれ、よく見たらこのお姉さん、香織さんみたいだね」
「えっ!?」
心音さんは何かに気づいたみたいでそう言った。
「本当だ~! わたしも言われるまで気づかなかったよ~」
うららさんもそう言った。
「うん、それで親近感が出て、買ってみたの。ゆきあくんもそうだよね?」
「えっ、そうなのゆきあくん?」
心愛さんにそう言われて、香織姉は首を傾けながら聞いてきた。
「う、うん…。この漫画のお姉さん、香織姉に似てたからどうしても買いたくて…」
ぼくは正直に言った。
「へ~そうだったんだ~。うふふ、ゆきあくんってば本当に好きだよね~」
香織姉は笑顔でぼくのほっぺをぷにぷにした。
「ゆきあくんってば正直に言っても良かったのに~」
「う~何だか恥ずかしくて言えなかったの…」
「でも欲しかったんでしょー? 買えて良かったね~。わたしも一緒に読んでいいかな?」
「う、うんいいよ」
「やったー♪ ありがとうゆきあくん」
ぼくと香織姉は帰って漫画を一緒に読むことにした。
「何だかあたしも気になってきちゃったな~。あたしも買っちゃおう~」
「わたしも買う~」
心音さんとうららさんもその漫画を買いに戻った。
読んでいただきありがとうございます。
面白いと思った方、ブックマークやご感想、いいね、SNSのシェア、よろしくお願いします!




