#77 天使のようなはるかさん ☆
ぼくは今、正門前で香織姉が来るのを待っている。
1人で帰ることが出来ないのでこうして、一緒に帰ってくれる人を待っている。
「あれ、ゆきあくん? どうしたんですか、こんなところで?」
「あっ、はるかさん…」
はるかさんと合流した。
「香織姉が来るのを待ってるんだけど、なかなか来ないみたいで…」
「香織さんなら生徒会の手伝いで遅くなるみたいですよ。わたしのスマホに連絡が来ましたよ」
「あれ、そうだったんだ…。本当だ、メール来てた…」
どうしよう、いつ終わるかが分からないな…。
そんなぼくを見かねたのか、はるかさんがぼくにこう提案した。
「あの、ゆきあくん。もし良かったらわたしの家に来てくれませんか?」
「えっ!? いや流石にそれは…」
「困ってる生徒は放っておけないですから。それに後輩でもあるんですからね」
「わ、分かった。お願いします」
「ふふっ、ありがとう」
というわけで、ぼくははるかさんの家で香織姉を待つことになった。
でも、はるかさんがぼくん家まで送るのでもいいと思ったんだけど、言わないおこう。
「ここがわたしの家ですよ」
「うわ~めっちゃ近所だ~」
「ふふっ、わたしもびっくりしちゃいましたよ~」
ぼくははるかさんの家に入れてもらった。
「パパとママはいないみたいですから、のんびりしてくださいね」
「うん…。ふふっ」
「どうしたんですか?」
「はるかさん、お父さんとお母さんのこと、そう呼んでるんですね」
「は?」
「えっ、何かまずいこと聞いちゃった!?」
「うふふ、冗談ですよ。怖がらせちゃってごめんなさい。うん、わたしはパパ、ママって呼んでるの」
「そうなんだ~」
「ゆきあくん、わたし、着替えてきますね。その後、ジュースいれるのでリビングで待っててくださいね」
「は、はい」
というわけで、ぼくははるかさんが着替えてる間、リビングで待つことになった。
それにしても、ここがはるかさんの家か~。
何だか落ち着かない…!
はるかさんの私服ってどんなんだろう…。
きっと大人っぽい感じで…って何考えてんだ!
「お待たせ、オレンジで良かったかしら」
はるかさんが戻ってきた。
「は、はい! ありがと…」
「うふふ、どうしたんですか、ゆきあくん?」
「な、なんでジャージなの!?」
はるかさんは何故かジャージを着ていた。
「普段はちゃんとした私服を着てますよ。香織さんからゆきあくんはジャージが好きなのを聞いて着ちゃいました」
「何教えてんの香織姉!?」
「それでどうですかゆきあくん?」
「う、うん。似合っててかわいいよ…」
「ありがとうゆきあくん!」
はるかさんはぼくを抱きしめた。
だけど、やたらとおっぱいが当たっている…!
「あ、あのはるかさん、当たってる…!」
「何が~?」
「お、おっぱいが! おっぱいが当たってるよー!」
「だって、当ててるんですから~」
わざとだったのか…。
「それじゃあゆきあくん。何しますか?」
「えっと、宿題あるんで、それをやります」
「えらいねゆきあくん。もし分からないところがあったら、わたしに聞いていいですよ」
そういうわけではるかさんに見てもらいながら宿題をやった。
「ふぅ~、終わったー」
気付いたらここに来て既に1時間が経っていた。
そんな集中していたのか…。
「ゆきあくん」
「何ですかはるかさん?」
「頑張りましたね」
と、はるかさんは立ち上がって、ぼくの頭をなでた。
「は、はるかさん!?」
「ふふっ、わたしにも甘えさせてください♪」
そういうわけで、ぼくははるかさんに従うままになった。
その後、インターホンが鳴り、香織姉が迎えに来てくれた。
「ごめんなさい、はるかさん。ゆきあくんの面倒見てくれて」
「大丈夫ですよ。ゆきあくん、いい子ですから」
「でも家で送り届けるので良かったんじゃないですか? 住所知ってますよね?」
それは、ぼくも思っていた。
するとはるかさんは、
「ごめんなさ~い。わたしってばうっかりしてました~」
とてへぺろしていた。
いや、はるかさん、天然にも程があるよ…!
「ゆきあくんもそう思わなかったの?」
「うん、思ってたけど、はるかさんの厚意にそいたかったから」
「うふふ。ゆきあくん、もしかしてわたしの家に来たかったんじゃないですか?」
「えっ!? いや別にそんなことは…」
「えーっ。…ゆきあくん、お家に帰ったらお仕置きです」
「は、はいー…」
小悪魔な笑顔の香織姉にぼくは慌てて頷いてしまう。
「また来てくださいねー、ゆきあくん」
「は、はい」
ぼくは、はるかさんの家を後にした。
それにしても、香織姉が怖い…。
家に帰ったらぼくは一体何をされるんだろう…。
「はぁ~、緊張した…。ゆきあくんを家に入れちゃったよー。わたしもドキドキしてたんだからね、ゆきあくん。また来てね、わたしは待ってるからねゆきあくん♪」
「ゆきあく~ん!」
「ひゃっ!?」
帰宅中、ぼくは香織姉にほっぺをつねられた。
「ふふっ、我慢出来ないからここでお仕置きしちゃいます!」
「ふぇ!? そ、そんな~」
今度は両手でほっぺをつねられた。
「エッチな弟にはお仕置きです!」
「か、香織姉、ごめんなさい…! 許して…!」
ぼくはそう懇願すると、香織姉は笑い出した。
「うふふ、ゆきあくんってば~! わたしが怒るわけないでしょ~。ゆきあくん、面白いからついお仕置きしちゃったよ~」
「もう香織姉ってば…」
「ゆきあくん、ごめんなさい。わたし、やり過ぎちゃったね。お願い、許して♪」
香織姉は舌を出しながらぼくにそう言った。
「優しくしてくれたら、良いよ」
「ありがとう、ゆきあくん。本当に優しいね…」
「帰ったら抱きしめてほしいかな…」
「ゆきあくんってば、わたしがいなくて寂しかったんだね」
「う、うん…」
「かわいい~。じゃあ帰ったらゆきあくんの為にやってあげるよ~」
「ありがとう香織姉」
それから、家に帰って、たっぷり香織姉に抱きしめてもらった。
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