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#73 思い出の公園 ♡

ゴールデンウィークが終わった後の朝。

今日から衣替えで、夏服で着用することになっている。

うちの学校は、夏服でもブレザーを着るのは可能なのでまだ肌寒いわたしは着ることにしている。


「ふんふん~♪」

朝から気分が良いわたしは、いつも通り朝食の準備をしている。


「あっ! もうこんな時間か」

そろそろ、ゆきあくんを起こさないと。


部屋のドアを開けて、布団を見ると、ゆきあくんは、まだ眠っている。

昨日もわたしは、ゆきあくんと一緒の布団で寝ていた。


「ふふっ、相変わらず、かわいい顔だな~」

わたしは、ゆきあくんの顔を覗き込みながら、そうつぶやいた。

おっと、ゆきあくんを早く起こさないと。


「ゆきあくん、もう時間だよ~!」

わたしは、そう言いながら、ゆきあくんを揺すった。


「ん~」

「ほらほら、早く起きてよ!」

ゆきあくんは起きる気配はない。


「も~う、ゆきあくん! ペロペロするよ!」

ペロっ。

「ひゃっ!」

わたしは、なかなか起きないゆきあくんのほっぺをなめた。


「やっと起きた~。おはよう、ゆきあくん」

「お、おはよう…。顔なめるのやめてよ…」

「ゆきあくんが起きないのがいけないんだよ!」

「香織姉、ごめん…」

「あっ、謝らなくていいよ! ふふっ、かわいいゆきあくん♪」

こうして、休み明けの朝は、いつも通りであった。




下校時間になって、わたしは正門の方へ向かうと、ゆきあくんが待っていた。

「ゆきあくん、ごめんね。待たせたかな?」

「へーき」

「そっかー」

そんな感じで、わたしたちは帰った。

帰る途中で大きな池のある公園にやって来た。

わたしたちはいつもこの公園で遊んでいた。


「久しぶりだねー」

「ぼくは、この前うららさんと遊んだばっかりだけどね」

ゆきあくんは照れながらそう言った。


「シーソーだよ~。楽しいね」

「うん」

ゆきあくんと公園で遊ぶことにして、まずはシーソーで遊んだ。

わたしの方が大きいので、わたしがギッタンバッコンとやった。


「ねえ、今度はブランコ乗っていい?」

「良いよ。ゆきあくん、ブランコ好きだよね~」

ゆきあくんは、悲しんで泣いてる時もブランコに乗れば元気になるくらいブランコが好きみたい。


「うわー小さいな~」

ガチャガチャと音を鳴らし懐かしそうにブランコに座るゆきあくん。


「ねえ、香織姉も隣に座って」

「わたしはとてもじゃないけどこげないよ」

ゆきあくんに言われブランコに座るもその低さに、思わず地面に座っているような感覚になる。


「あはは、大きくなったね」

「ゆきあくんもね」

わたしはブランコから立ち上がるとゆきあくんに手を伸ばした。

ゆきあくんはわたしの手を掴み立ち上がった。


「ねえゆきあくん、覚えてる?」

わたしは池の手すりに手を乗せて、懐かしそうに水面を見つめる。


「うん、香織姉が先に帰っちゃって、ぼく1人ぼっちになっちゃったんだよね」

「うん、ごめんなさい」

「あはは、昔の事だよ」

「ゆきあくん、1人ぼっちが怖いの分かってたのにわたしってば先に帰っちゃったんだよね」

「あの日はたまたま一緒に帰ってくれる人がいなかったからね。その後にはるかさんが一緒にいて助けてくれたけどね」

「そういえばそれがはるかさんとの最初の出会いだったんだね」

「うん」

「本当にごめんなさい」

「昔も言ったけど、香織姉は謝ることないから。香織姉は悪くないから大丈夫だよ」

「ありがとうゆきあくん。本当に優しいね…」

ゆきあくんはわたしのことを何でも許してくれる。

本当にゆきあくんは悪いところが1つもない。


「ゆきあくん…」

わたしはそう言ってゆきあくんを見つめたまま、抱きしめた。


「えいっ」

「えっ、な、なに!?」

「ゆきあくん補給♡」

「もう香織姉ってば…」

「ごめんね、ゆきあくんが優しいから我慢出来なかったの♡」

わたしは十分にゆきあくんを抱きしめた。


「補給完了! お家帰ろー」

そろそろ帰ろうと思ったが、ゆきあくんはわたしの胸に飛び込んだ。


「ど、どうしたの?」

「ぼくまだ香織姉補給…、全然終わってないから…。もっとやって…」

「わあ~、ゆきあくんってば甘えん坊さんなんだから~」

ゆきあくんの要望通り、もっと抱きしめてあげた。


「気持ちいい…」

「本当? じゃあこれはどうかな?」

「えっ? あははっ、やめ…」

わたしはいたずらしたくなって、ゆきあくんをこしょこしょし始めた。


「お、お願い、やめて…」

「うふふ、ゆきあくんやっぱりかわいい…」




読んでいただきありがとうございます。


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