#71 遊園地デート ☆
今日は待ちに待った遊園地に行く日だ。
香織姉は朝からうきうきである。
「うふふ、ゆきあくん。今日は遊園地デートだよ~」
「うん、そうだね」
「ねえ、ゆきあくん。わたしの服見て言うことない?」
今日の香織姉は、黒のタートルネック、黒のズボンと全身黒コーデだった。
「うん、似合ってるよ…」
「どうしたのゆきあくん?」
「なんかいつもより小悪魔っぽい感じがして、ドキドキしてるの…」
「ゆきあくんってば、そんな風に思ってたのね! もう、いたずらするよ~!」
「うわぁー許してー!」
「許さないよ~、ゆきあくん!」
ぼくは、香織姉に好き放題もふもふされたのだった。
「ねえねえ、ゆきあくん。早く入ろっ」
目的の遊園地に着いて、香織姉ははしゃいでいた。
「分かったから、そんなに急がなくても大丈夫だよ」
そう言って、香織姉を落ち着かせた。
「じゃあ行こう」
「うん♪」
ぼくらは、遊園地の中に入っていった。
「まず、何から乗る?」
「わたしはあれがいい!」
香織姉が指さしたのは、回転ジェットコースターだった。
「入って、早々、これなの~!?」
「うん、そうだよ♪」
入ってすぐ、香織姉はこれに乗るつもりだった。
「あっ、ゆきあくんジェットコースター苦手だったっけ?」
「ジェットコースターというか、高い所が苦手なんだよね…。あっでも、香織姉が乗りたいなら、ぼくも一緒に乗るよ」
「本当に? ありがとう~」
というわけで、香織姉と一緒に乗ったけど、香織姉は「きゃ~♪」とはしゃいでいたのに対して、ぼくはずっと「うわー!」とただ叫んでいた…。
「ゆきあくん、面白かったね」
「う、うん…」
香織姉はジェットコースターを堪能したが、ぼくはそれどころでは無かった…。
「次は、ゆきあくんが乗りたいのでいいよ~」
「う~ん、コーヒーカップに乗ろう~」
「良いよ! この近くにあるみたいだよ~」
というわけで、今度は、コーヒーカップに乗ることにした。
「わ~、回る回る~」
ぼくがコーヒーカップのハンドルを回し、香織姉が興奮している。
ぼくはいつも、香織姉にいたずらされてるけど、少し仕返ししようかな?
そう思い、カップの回転スピードを早めた。
「え、ちょっと、ゆきあくん早すぎるよ!」
香織姉がそう抗議するが、それに構わずにぼくは回し続ける。
「や、止めて~!」
香織姉はそう絶叫した。
ぼくが余りにも、カップを回し過ぎて、香織姉はぐったりしている。
あ、あれ、やり過ぎちゃったかな?
「だ、大丈夫、香織姉? そ、そろそろご飯にしない? ぼく先に出るね」
「待ちなさい」
そう言って、香織姉はぼくの肩をがっしりと掴んだ。
「もう~、ゆきあくん、やめてって言ったのにどうしてやめないんですか? もしかしていつもの仕返しですか?」
「ひっ!」
「ゆきあくん、わたし、怒ってますよ?」
「す、すいません…! つい、出来心で…! 許して!」
「うふふ、わたしにビンタさせてくれたら許してあげますよ」
「ここで…? せめて場所変えない?」
「ゆ~き~あ~く~ん?」
「分かった! 分かったから怒らないで…!」
「ありがとう~。じゃあいくよ~」
ぼくはいつものように香織姉にビンタされるのだった…。
「えーい!」
パシィン!
「ひゃっ! い、痛いよ香織姉…」
「ゆきあくんがわたしを怒らせるからですよ~」
そう言って、香織姉はビンタしたぼくのほっぺを撫でた。
「許してあげる♪」
「うん…」
もう二度と香織姉に仕返ししようと思わないでおこう…。
「そろそろご飯にしようか。実はわたし、お弁当作ったんだよ~」
「そうなんだ~」
「あそこのベンチに座って食べよう~」
香織姉が走っていくのを追いかけ、ベンチに腰を下ろしランチタイム。
「じゃーん! おにぎりと、からあげと、卵焼きだよ~」
「うわー凄いね~」
他にも、プチトマトやレタスも入っていて、良い彩りになっている。
「じゃあいただきまーす」
そう言って、ぼくは弁当を食べ始めた。
「おにぎりの具は、ツナマヨかー」
「うん、ゆきあくんツナマヨ好きだから」
「ありがとう。からあげと卵焼きもおいしいよ」
「うふふ、良かった~。ゆきあくんどんどん食べてね♪」
「香織姉も食べないの?」
「あ、うん食べるよ。いただきまーす」
香織姉はおにぎりを頬張って、卵焼きを食べる。
「ごちそうさま~。おいしかった~」
「ありがとう。あっゆきあくん」
「うん?」
香織姉に呼ばれて、何だろうと思い香織姉の方を向くと、香織姉はぼくのほっぺをペロっとなめた。
ペロッ。
「ひゃっ!?」
「うふふ、米粒ついてたよ♡」
そう言って、香織姉は舌をペロっと出した。
「香織姉、外では控えてよ…」
「だって、ゆきあくん、さっきわたしに意地悪したんだも~ん」
「もしかしてまだ怒ってる!? もう許してー!」
「冗談だよ~、ゆきあくん♪」
「もう香織姉ってば…」
「うふふ、ごめんなさい♡」
香織姉は笑って誤魔化した。
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