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#65 香織姉と夜更かし ☆♡

前半はゆきあ視点、後半は香織視点です。

誰もが寝静まった、真夜中。

「…う~」

ぼくはずっと眠れずにいた。

特に何もないが、何故だか今日は寝ることが出来ない。


「ん…。ト、トイレ行きたくなっちゃった…」

ぼくはトイレに行こうとしたが、実はぼくは極度の暗闇恐怖症で、1人で暗いところを歩けない。

香織姉はどうやらリビングにいるらしくて、この部屋にはいない。


「ふ、二人共起きてる…?」

一緒に来れないか2人を伺ったら、

「うわぁー!? こ、心愛さんの寝顔ひどい…」

心愛さんは心音さんのひどい寝相にやられたのか、ひどい寝顔になっている。

うぅ~、どうしよう…。

暗いの怖いよ…。

トイレに行きたいのに行けない…。




**********************




わたしは今、リビングで深夜アニメを見ている。

なかなか眠気が来ないのでこうして深夜アニメを見て、気を紛らわせている。

わたしが見ているのは、いつも仲良しな姉弟が繰り広げるハートフルなアニメだった。

うふふ、何だかわたしたちみたい♪

そんなとき、わたしのスマホが鳴った。


「こんな時間に誰だろう?」

メッセージの相手はゆきあくんだった。

「今すぐ部屋に来て…。お願い…」

というメッセージだった。


「どうしたんだろう?」

わたしは不思議に思いながら部屋に向かった。




「来たよ~ゆきあくん」

「あっ香織姉…。良かった来てくれた…」

「それでどうしたの?」

「えっと…。その…、トイレ…、2人とも寝ちゃってるし…、暗いの怖い…」

「あーそっかー。ゆきあくん暗闇恐怖症だもんねー。それで1人でトイレに行くの怖いんだね? うふふ、かわいい♡」

そう、ゆきあくんは暗いのが大の苦手で、夜中のトイレもいつもわたしが付き合っている。


「や、やめてよ…。と、とにかく一緒に来て…。お願い…」

「うん、分かったよ」

わたしはトイレまでゆきあくんを連れて行った。




「お、終わるまでそこにいてね…」

「大丈夫だよ。ここで待ってるから」

「絶対だよ…!」

「ちゃんと待ってるから安心して。それともわたしも一緒に入っちゃおうか?」

「…!? いや、いいよ…! 1人で入るから…!」

ふふっ、本当にかわいいなー、ゆきあくん…。

ちょっといたずらしちゃおうかな…?


「ふぅ~」

ゆきあくんがトイレから出た瞬間にわっと驚かせてみた。


「わっ!」

「ふわぁー!?」

ゆきあくんは驚いて腰が抜けた。

すると、よっぽど怖かったのか涙をボロボロ流してしまった。


「う、うー…」

「ご、ごめんなさい! 怖がってるゆきあくんがかわいかったからつい…。大丈夫、もう怖がらせないから」

そう言って、わたしはゆきあくんを優しく抱きしめた。


「か、香織姉ってば…。ほ、本当に怖かったんだからね…」

「ゆきあくん、ごめんなさい。うふふっ」

ゆきあくんも安心して泣き止んだ。


「それじゃあお休み」

そう言って、わたしは戻ろうとしたが、

「あっ、あの…」

ゆきあくんが呼び止めた。


「どうしたの?」

「まだ眠れないから…。一緒にいさせて…。香織姉、お願い…」

「もうゆきあくん、どうしてそんなにかわいいの~? 良いよ、わたしがついてあげるから」

「ありがとう香織姉」

「わたしはゆきあくんのお姉さんだからね」

そう言って、わたしたちはリビングで夜更かしをした。


「もしぼくが寝たくなったら一緒に寝てね…」

「うん。ふふっ、なんかこういうの久しぶりだね」

「久しぶり?」

「ゆきあくんっでば、小さい頃から暗いの怖くて、トイレ行くときもわたしもついてきて欲しいって起こしてたんだよ。寝る時も一緒じゃなきゃ嫌だってよく泣いてたよ。あの時のゆきあくんはかわいかったな~。今ももちろんかわいいけどね♪」

「なんか、ぼくって成長してない…?」

「うふふ、大丈夫だよ。いつも通りが1番だから。困ったことがあったらわたしを頼ってくださいね」

「うん、ありがとう…」

「ふふっ、どういたしまして」

わたしたちはそんな感じで会話を続けていて、気づいたらゆきあくんはうとうとし始めた。


「ゆきあくん、もう寝る?」

「う、うん…」

「ここで寝ちゃっても大丈夫だよ。わたしが運んであげるから」

「あ、ありがと…」

言い終わる前にゆきあくんは眠っちゃった。


「も~うゆきあくんってば~。かわいいんだから♪」

わたしはゆきあくんのほっぺをつっついた後、部屋まで運んであげた。




読んでいただきありがとうございます。


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