#50 姉弟ファーストキス ♡
わたしたちは今、リビングでソファーに座っている。
特に何かしているわけでもなく、のんびりとテレビを見ている。
ちらっとゆきあくんを見ると、凄い興味津々にテレビを眺めている。
「はあっ…。ゆきあくん、大好き…」
想いが募り、つい呟いてしまう。
そういえば、わたしはいつからこんなにゆきあくんのことが好きになったんだろう…。
元々、小さい頃からわたしは弟に憧れていて、ずっと弟が欲しいって思っていた。
だから、ゆきあくんという弟が出来た時は本当に嬉しかった!
素直で優しいし、かわいくて理想の弟だよ~。
今まで、ずっと我慢してたけど、これをお願いしよう!
「ゆきあくん…」
「何、香織姉?」
「もうダメ! ゆきあくん、かわいすぎ!」
「ふわぁー、香織姉!?」
わたしは我慢できずにゆきあくんを抱きしめた。
「ゆきあくん気持ちいいよ~」
「もう香織姉ってば…」
ゆきあくんはそう言いつつも、わたしのわがままに応えてくれる。
うふふ~、わたし、ゆきあくんのことが大好き過ぎていつも暴走しちゃうけど…。
もうそろそろお願いしちゃってもいいかな?
「あのね、ゆきあくん…。お願いがあるんだけど…」
「どうしたの香織姉?」
「…は、恥ずかしくて言えない!」
「香織姉、ぼくに出来ることならなんでもするから…。言っていいよ」
「ほ、本当にいいの?」
「う、うん…」
「じゃあじゃあ…。わたし、ゆきあくんとチューしたいです…」
「えっ、で、でもたまにやってるよね…? それくらいなら…」
「ううん、違うんです。ほっぺじゃなくて口にしたいんです…」
「えっ、え~!?」
ゆきあくんはそれを聞いて顔を真っ赤にして驚いた。
「うふふ~、ゆきあくんってば顔を真っ赤にしてかわいい…」
「だ、だってそれってファーストキスになるよ…。香織姉はいいの?」
「ゆきあくんがいいの…。お願い…」
「うん、キスするよ」
「本当に? うふふ、ありがとうゆきあくん。いつもわたしのわがままに応えてくれて…。わたし泣いちゃいそう…」
わたしはゆきあくんが優しすぎて、涙を流して泣いちゃった。
「わぁー香織姉、大丈夫!? キスするから。キスするから泣かないでよ…」
「ごめんね。ふふっ、ゆきあくんいつもわたしが泣くと、慌てるよね」
「う、うん…。香織姉が悲しんで泣いてるところは見たくないからね…」
「ありがとう~。でも悲しんでないから安心してね。これは嬉しさの涙だから」
「そうなんだ、良かった…」
「じゃ、じゃあいくよゆきあくん…」
「う、うん」
わたしは自分の唇をゆきあくんの唇に寄せて行って、キスをした。
途中で舌を入れて、ゆきあくんの舌にもディープキスしてみた。
少しだけ長めの、わたしたちのファーストキスでした。
「はい、もうおしまいだよ。ゆきあくん」
ゆっくりと唇を離すと、ゆきあくんは黙ったまま真っ赤な顔をして固まっている。
「うふふ、わたしのキスはどうでしたか?」
わたしは舌なめずりしながらゆきあくんにそう聞いた。
「気持ち良すぎて、変になるかと思っちゃった…」
「ふふっ、ゆきあくん、女の子の唇みたいにやわらかかったよー♡」
「…でも姉弟でキスしちゃって大丈夫だったかな?」
「外国では挨拶なんだよ。姉弟でしても不思議じゃないよ」
「そっか…」
「それに大好きな人とキス出来て、わたしも嬉しいよ~」
「…香織姉、本当にぼくのことが好きなんだね」
「…うん。大好き♡ わたし、ゆきあくんのことが大好きすぎるの…。大好きすぎて、お仕置きしたり、ついいじめることが多いけど、こんなわたしを好きでいてくれますか?」
「うん、ぼくも香織姉のこと、いつもぼくに優しくしてくれるから好きだよ…」
「ゆきあくん…」
「香織姉…」
わたしたちはお互いうっとり見つめて、再びキスした。
その時―
「ただいまー」
『!?』
タイミングの悪いところで、雪香姉が帰ってきた。
わたしたちは慌てて離れた。
「あれ~、ゆきあくんも香織もどうしたの?」
「な、何でもないよ!」
「う、うん何でも…」
雪香姉は不思議そうに聞いてきたが、何かを察したらしい。
「うふふ、もしかしたらわたしお邪魔だったかな~? せっかくのファーストキスだったもんね~」
「えっ!?」
「な、何で分かったの!?」
雪香姉に勘付かれてしまい、わたしもゆきあくんも驚いている。
「わたしはあなたたちのお姉さんだから、そんなのすぐに分かるよ~。あなたたちのことだから、いつかキスするだろうと思っていたんだ~。うふふ、ゆきあくんも香織もキス出来て良かったね~。あっ、ロールケーキ買ってきたから、一緒に食べよう~」
そう言って雪香姉はテーブルの上にケーキを置いて、皿やフォークを取りに行った。
「雪香姉にばれちゃったね…」
「うん、さすが雪香姉だけどね」
「ふふっ」
「うふふっ」
わたしたちはそう言い合うと、2人で笑った。
「ねえ、ゆきあくん。これからもキスしてもいいかな?」
「うん、たまにならいいよ…」
「本当に!? ありがとうゆきあくん」
わたしたちは再び抱き合った。
「ゆきあくん~、香織~。準備出来たよ~」
「ゆきあくん。雪香姉も呼んでるし、わたしたちも行こう~」
「うん」
それから、わたしたちは仲良くケーキを食べました。
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