#45 香織とご対面 ♡
わたしは今学校から帰ってきたところです。
制服のまま、スマホでゲームをしている。
ゆきあくんが帰ってきたら、一緒に遊ぶつもりです。
すると、ゆきあくんからメッセージが来た。
『今日、友達が家に来るよ』
『友達が来るんだ? じゃあおもてなししないとね。あっ、もしかして女の子?』
『うっ! お、女の子だけど…』
『うふふ、ゆきあくん。ガールフレンド多いね~』
『か、からかわないでよ! も、もう着くから!』
そんな感じでメッセージを送りあった。
でもゆきあくんの友達か~。
もしかしたらこの前、ゆきあくんが言ってた子たちかなー?
楽しみ~!
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
「お邪魔します…」
ゆきあくんが帰ってきた。
わたしはリビングから玄関へと向かった。
「ゆきあくん、お帰り。その子たちがゆきあくんの言ってた友達?」
「うん、そうだよ」
わたしは2人の女の子をちらっと見ると目を輝かせてわたしを見つめている。
「あ、あの、あたし、桃川冬華です! ゆきあくんの友達です!」
「初めまして、わたしは、夏川夏希と言います。よろしくお願いします」
「ふゆかちゃんとなつきちゃんだねー。わたしはゆきあくんの姉の香織です。ゆきあくんがお世話になってるね」
2人とも、とてもいい子だねー。
「ふわぁー、生の香織さんだー…!?」
「近くで見るとオーラが違いすぎるー!」
2人ともわたしに出会えたことに感極まっている。
「あはは、そういえばゆきあくんから聞いたけど、わたしのこと尊敬してたの?」
「はい、わたしたちずっと香織さんのこと憧れてて、1度会ってみたかったんです。だから、今日は会えて嬉しいです。あっ、これわたしたちが調理実習で作ったクッキーです。よかったらどうぞ…」
なつきちゃんは緊張しつつも笑顔でそう言ってわたしにクッキーを差し出した。
そういえば、ゆきあくんたち調理実習だったんだね。
「ありがとう、大事に食べるね」
「香織さん、お菓子作りも上手なんですよね。良かったら今度いろいろ教えてください」
なつきちゃん、凄くいい子!
「ねえねえ、香織さんは勉強が出来るんでしょ!? いっぱい人に頼られて褒められてるんでしょ!? あたしも香織さんみたいになりたいの! どうしたらそんな風になれる!?」
「えっ、ふふっ、ふゆかちゃんはわたしみたいになりたいんだねー」
「ふゆかちゃん、いつもドジばかりで、頼られなくて、勉強も出来ないから、お願いします」
「ちょっとなつき、やめてよ!?」
ふふっ、2人とも仲良しだねー。
「あっ、そういえば香織さんって完璧に見えるけど天然なんだね」
「えっ?」
「ギクッ!」
「ゆきあくんから聞いたんですけど、香織さんが天然なのは意外ですね」
「へ~、そう聞いたんだー。でもわたしは天然じゃないからね」
「み、みんなぼくの部屋に行かない…? 紹介してあげるから…」
ゆきあくんが慌てたようにそう言った。
「ええ、お願い」
「わたしも見たいです」
2人もそう聞いて、ついていった。
ゆきあくん、逃がさないよ~?
みんなはそのままゆきあくんの部屋に移動した。
「ここがゆきあくんの部屋ね~」
「でも、女の子のものがあるけど…?」
「ゆきあくんは香織さんと同じ部屋にいるんだよ」
『そうなの!?』
心愛ちゃんがそう説明して、2人は驚いている。
「ゆきあくん、いつも香織ちゃんと一緒に過ごしてるんだよ~」
「そういえばわたしも知らなかったです。ゆきあくん、羨ましいですねー」
心音ちゃんもそう言って、葵ちゃんも羨ましそうにしている。
「ねぇ、ゆきあくん」
「は、はい!?」
「お菓子があるから取りに来てね」
「う、うん…」
わたしは、ゆきあくんを連れて階段を降りていく。
「香織さんのお菓子はどんなのかしらねー」
「楽しみだねー」
リビングに入り2人っきりになったところで、わたしはすかさずゆきあくんを壁に追い詰めた。
「ゆきあく~ん? ふゆかちゃんもなつきちゃんもいい子ですね」
「う、うんそうだね…」
「でも、ゆきあくん、あの子たちにわたしが天然だって言ったんですよね?」
「ふぇ!?」
「ふ~ん、ゆきあくんってそんなにわたしが天然だって思ってるんですねー?」
「い、いや別にその…。ご、ごめんなさい!」
「うふふ、ゆきあくん謝っちゃってかわいい…。これで許してあげる。ちゅっ!」
「ふわぁ!?」
わたしはゆきあくんのほっぺにキスをした。
一瞬でゆきあくんの顔が赤くなった。
「ふふっ、いってらっしゃいゆきあくん」
「もう香織姉ってば…」
ゆきあくんはお菓子を持って2階に上がった。
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