#44 クッキークッキング ☆
「今日は調理実習を行います! みんなでクッキーを作って見ましょう!」
今日、ぼくのクラスは、調理実習を行うことになった。
クッキーを作ることになっている。
「クッキーだって~。ゆきあくんは作れる?」
心音さんはそう聞いてきた。
「香織姉が作るの手伝ったことはあるけど一人では作ったことないなー」
「ゆきあくんもお菓子作られるんですね~」
葵さんは目をキラキラさせている。
「みんな! 味見は任せて!」
「いや心愛さんも働くんだよ…」
心愛さんは相変わらずだった。
「大丈夫よ! あたしに任せなさい!」
「よ、よろしくね…」
ふゆかさんは張り切ってそう伝えた。
なつきさんは何故かぼくにくっつきながらそう言った。
「な、なつきさん!?」
「ごめんね、ゆきあくんの隣だと安心するから…」
「ま、まあいいけど…」
なつきさんは他の子には慣れてないけど、ぼくには別みたい。
「ふふっ、あたしがこのグループのリーダーになったからには、最高のクッキーを約束するわ!」
「なつきさんがリーダーだったの!?」
「最高のクッキー!?」
「なつきちゃん、お菓子作り得意なんだね~」
心愛さんが驚いて、心音さんがそう聞いたが、
「お菓子作ったことないけど、任せてね!」
「ないの!?」
その自信は一体どこから出てるんだ…?
「な、なつきさんはどうなの?」
「わ、わたしはクッキー作れるよ」
「そうなんだー」
「お菓子作りは自信があるから、安心してねゆきあくん…」
なつきさん、何だかお姉さんっぽいな…。
何か本当に安心する…。
「なつきは自信あるんだねー。楽しみにしてるよ」
「うん、任せてね」
心愛さんたちにも期待され、なつきさんはクッキーを作り始めた。
「小麦粉にバター、卵の黄身を入れてー」
「すごいね、なつきさん」
「そんなことないよー。でもありがとうゆきあくん」
「あ、あたしだって作れるわよ…! ほら後は砂糖を入れてー…きゃっ!」
ふゆかさんはこけて、そのまま砂糖をいっぱい入れてしまった。
「ご、ごめんなさい…! あ、で、でも砂糖いっぱいの方が甘くておいしいかも!」
「いやさすがに無理があるよ…」
ふゆかさんはそうごまかしたが、心愛さんにそう指摘された。
「じゃ、じゃああたしがみんなのやること言うからその通りにやるのよ! なつきとゆきあくんはこのまま生地を作っててね」
「わ、分かった」
ふゆかさんはそうぼくらに指示を出したが
「心音ちゃんと葵ちゃんは、えっと…」
「オーブンシートと型抜きを用意して生地が出来たら好きな形に抜いて並べてって伝えてね」
「ええ! 心音ちゃんと葵ちゃんはオーブンシートと型抜きを用意して生地が出来たら好きな形に抜いて並べてね!」
「分かった~」
「分かりましたー」
なつきさんはこっそり耳打ちしてふゆかさんにやることを伝えた。
相変わらずだね…。
「わたしと心愛ちゃんは最後にオーブンで焼くからね!」
「え、わたし?」
「心愛ちゃん、あたしよりお菓子作り下手そうだから、頼ってくれそうだもん」
「ふゆか…? どういう意味?」
「…な、なんでもないわ! もし分からないこととかあったら、あたしに聞いてね!」
ふゆかさんはそう張り切った。
「なつきさん、混ぜるのこんな感じでいい?」
「うん完璧だよ。ゆきあくん、上手いね…」
「なつきさん、オーブンシートって1枚でいいのでしょうか?」
「うんいいよー、葵ちゃん」
「なつきちゃん、ここのとこだけど…」
「ここはこうした方がいいよ、心音ちゃん」
「そっか、ありがとう~」
「なつき、オーブンはどれくらいがいい?」
「12分くらいがいいよ、心愛ちゃん」
案の定というか、みんな揃ってなつきさんに頼っていた。
「なんでよ! なつきばっかずるいずるい! あたしにも頼ってちやほやしてよー!」
そんな状況に耐えられなくなったのか、ふゆかさんはじたばたした。
「ふゆかちゃんってば料理中に暴れちゃだめだよー…。ほらもうすぐでクッキー出来るから」
「うぅ~、しょうがないわね…」
『出来たー』
遂にクッキーが出来上がった。
「へーなかなか美味しそう…。食べてみていい?」
「どうぞー」
「それじゃあいただきます」
さっそく心愛さんは食べ始めた。
「ん…! おいしい!」
「良かったー」
「香織さんのクッキーには及ばないけどとてもおいしいよ。将来に期待して☆3.3」
意外と低くない…!?
「なつき! あたしにも食べさせて!」
「だ、だ~め。ふゆかちゃんみたいな料理中に暴れた子にはあげな~い…」
「えっ、そ、そんな!?」
「…でも後片付け手伝ってくれたらいいよ」
「い、いいけどなつきは1人でも出来るでしょ…」
「そんなことないよー。ふゆかちゃんがいないとわたし困るよー」
「…しょ、しょうがないわね。なつきは昔からあたしがいないとダメなんだから」
「うん、ありがとう」
「うん、おいしいわねー。さすがなつきね」
「ありがとう、ふゆかちゃん」
なんだかんだで2人は、仲良しだねー。
「でも香織さんってそんなにお菓子作り上手なんだねー」
「うん、まあね…」
「ねえ、ゆきあくん! もし良かったらあたしたち、ゆきあくん家に遊びに行っていい?」
ふゆかさんはそう聞いてきた。
「うん、心愛さんと心音さんも遊びに来るから来ていいよ」
「いいの? それじゃあお邪魔しようかなー」
「やったー! 香織さんと会えるの楽しみね!」
ふゆかさんとなつきさんも満足そうだった。
「葵さんも良かったら来る?」
「えー良いんですか!? また誘ってくれるなんてありがとうございます、ゆきあくん!」
葵さんも誘い、みんなでぼくん家に来ることになった。
「あ、そうだ。このクッキー、香織さんにもあげない? きっと喜ぶよー」
「そうだね! わたしたちが作ったクッキー、香織さんにも食べさせよう!」
心音さんはそう提案し、心愛さんも賛成した。
「心愛ちゃんはオーブンで焼いただけだけどね」
「ちょっと心音!?」
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