#39 ゆきあもびっくりのすごろく ♡
「ただいまー」
「あっ、お帰りゆきあくん」
わたしは帰ってきたゆきあくんを迎えに来た。
そしたら、ゆきあくんの隣に知らない女の子がいた。
「あれ、あなたは?」
「は、初めまして! わたし、青海葵と申します! ゆ、ゆきあくんの友だちになったものです! よ、よろしくお願いします!」
「ゆきあくんの友だちなんだー! わたしはゆきあくんのお姉さんの水瀬香織です。葵ちゃんって呼んでいい?」
「はい、もちろんです! わたしも香織さんとお呼びしていいでしょうか?」
「もちろんいいよ、葵ちゃん」
「ありがとうございます!」
ゆきあくんに新しい友達が出来たんだね。
わたしも何だか嬉しくなっちゃう。
「あ、えっと…香織さん! 一個お願いしてもいいでしょうか?」
「うんいいよー、どうしたの?」
「わたしを抱いてくれませんか?」
「ふえっ!?」
「あっ、ごめんなさい! 無理にとは言いませんので…」
「ううん、ちょっとびっくりしちゃっただけだから…。いいよ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
わたしはそう言われて葵ちゃんを抱いた。
「ふわぁー、気持ちいいです」
「本当に? ありがとう」
葵ちゃんもわたしに抱かれて満足みたい。
それから、みんなでわたしが作ったお菓子を食べている。
今日のお菓子はクッキーです。
「おいしいです! 香織さんはお菓子作りも上手なんですね!」
「最近、始めたばっかりだけどね。ありがとう」
「あっ、そうです! 香織さん、わたしたち、ゆきあくんをテーマにしたすごろくを作ったんです!」
「すごろく作ったんだー! でも、ゆきあくんがテーマってどういうこと?」
わたしはどういうすごろくなのかをみんなから聞いた。
「へー面白そうだねー! わたしもやっていい?」
「もちろんですよ! みんなでやりましょう!」
「うん、やろうやろう!」
「やろうやろう!」
「正直ぼくは、気が進まないけどね…」
みんなも、とてもやりたそうにしている。
ゆきあくんだけは、乗り気じゃないみたいだけどね(笑)。
「それじゃあ、わたし、心音、葵、香織さんの順番ですね! じゃあいくよー」
まずは、心愛ちゃんからサイコロを振った。
「えっと5だから…ハグする! はいゆきあくん!」
「そういう感じなんだね、いいよ」
「ううん、ゆきあくんからするんだよ」
「えっ、ぼくから!? さすがにそれは…」
「も~しょうがないなー。わたしからいくよー。ぎゅっ!」
心愛ちゃんはゆきあくんをハグした。
わたしも止まれば、ゆきあくんにハグ出来るってことだね…!
「こ、心愛さん長くない?」
「ふふっ、せっかくゆきあくんをハグ出来るんだからいいでしょ?」
「じゃあ、あたし次いくね」
次は心音ちゃんの番です。
「えっと3だからー、相手をほめる!」
心音ちゃんは褒められるのかー♪
「ゆきあくん、あたしのことほめてほめて!」
「あーうん、かわいいかわいい…」
ゆきあくんは、心愛ちゃんの長いハグで疲れちゃったみたい。
「ちょっとゆきあくん! あたしの目を見てちゃんと言って!」
「えっ!? か、かわいいよ!」
「100回かわいいって言うまで離さないよ」
「100回も!?」
心音ちゃん、めんどくさい彼女みたいなこと言い出したね…。
「心音さん、かわいいよ! これでいい!?」
「だ~め。あと96回言わなきゃー」
「そんな~! かわいい! かわいい! かわいい! かわいい!―」
「心音ってば、調子乗っちゃってるね…。次、葵いいよー」
「はい!」
次は葵ちゃんの番です。
「えっと6ですのでー、ビンタする!?」
「あれ、葵が出しちゃったかー」
えっ!? 葵ちゃんがゆきあくんにビンタ!?
っていうかそういうのもあるんだ!?
わたしもそこに止まりたい…!
「で、でもいいんですかね。わたしがゆきあくんをビンタして…」
「大丈夫だよ。ゆきあくんはビンタされ慣れてるから」
「そういえば、香織さんはいつもゆきあくんにビンタしてるんですよね」
「うん、ゆきあくんにも頼まれることがあるくらいだから」
「そうなんですねー。じゃあわたしやります!」
「―かわいい! かわいい! かわいい! はぁはぁ…。これで100回…?」
「うん、お疲れ様。ゆきあくん、あたしのためにありがとね♪」
どうやらゆきあくんもかわいいっていうの終わったみたい。
「ゆきあくん、次はわたしの番ですよ。わたしはゆきあくんをビンタすることになりました」
「えー!? 葵さんのビンタ!?」
「うふふ、覚悟してくださいね♡」
「う、うん…」
「いきますよー」
葵ちゃんはゆきあくんのことをビンタした。
「えいっ♡」 パシィン!
「ひゃっ!」
「あ、ごめんなさい! ちょっと強かったですか?」
「ううん、大丈夫だよ」
「良かったです。わたし、ゆきあくんをビンタしちゃいました♪」
葵ちゃんも満足したみたい。
「次はわたしだねー。えいっ」
ここでようやくわたしの番になった。
「わたしもビンタだー!」
「えっ!? か、香織姉までー!?」
「うふふ、大丈夫だよ。優しくするから」
「ちょ、ちょっと待って…!」
「えーい!」 パシィン!
「ひゃー!」
わたしもゆきあくんをビンタした。
「あ~気持ち良かったー♪ 葵ちゃん、これがわたしのビンタだよー」
「そ、そうなんですねー。香織さんのビンタ、すごいですね…!」
「わたしも久しぶりにみたけど、すごいよね」
葵ちゃんたちもわたしのビンタに感心している。
その後も、ゆきあくんは、
「ゆきあくん、膝枕だよー」
「意外と恥ずかしい…!」
心愛ちゃんに膝枕されたり、
「ゆきあくん、だ~いすき♪」
「ゆきあくん、大好きです!」
「ふぇ!?」
心音ちゃんや葵ちゃんに大好きって言われたり、
「えーい!」
「か、香織姉…!?」
「うふふ、ゆきあくんってば、かわいいー♪」
わたしに乗っかられたりしました♪
「ふぅ~、楽しかったねこのすごろく」
「はい! 先生からも絶賛されましたよ!」
「そうなんだね~」
「みんながどうしてもって言うから作ったけど…。もう当分はいいかな…」
「たまにはいいってことだよね、ゆきあくん?」
「うっ、ま、まあ…」
ゆきあくんも素直じゃないんだから♪
読んでいただきありがとうございます。
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