#38 すごろく作ろう! ☆
「今日はグループのみんなですごろくを作ってもらいます。みんなで話し合って作ってくださいね」
「分からないことがあったら、わたしたちに聞いてね!」
翌日、グループ活動として、すごろくを作ることになった。
教卓でふゆかさんとなつきさんがそう説明した。
ちなみに2人は、クラス委員である。
意外かもしれないが、本人曰く香織姉に近づくためにクラス委員になったみたい。
それで分からないところがあれば聞いていいとのことなので、さっそくみんな聞いてきた。
「なつきちゃん!」
「なつきちゃん!」
「なつきちゃん!」
「はい、何かな…」
…なつきさんに。
「も~う、なんでみんななつきに聞くの!? あたしにも聞いてよ~!」
ふゆかさんは誰にも聞かれなくて、拗ねてしまった…。
というのも、2人は、今までもクラス委員をやっていたみたいのだが、ふゆかさんがクラスみんなのノートを回収して、それを窓から落っことしちゃって、みんなやり直しになってしまったらしい。
…それでみんななつきさんにばかり聞くようになった。
でもかわいそうに感じたので、ぼくはふゆかさんに聞いてみた。
「ふ、ふゆかさん…」
「えっ、な~にゆきあくん? あたしに聞いてくれるの?」
「う、うん。画用紙はどういうのを使えばいいのかな…?」
「画用紙ね! え~と、そうね…」
ふゆかさんが考えていると、なつきさんがこっそりふゆかさんに耳打ちしてきた。
「大きくて丈夫な画用紙を使うといいよって伝えてね」
「え~、大きくて丈夫な画用紙を使うといいわよ!」
「…そ、そうなんだ。ありがとう…」
どうやらなつきさんが、ふゆかさんに何がいいか教えたみたい。
…なつきさん挟む必要あるのかな?
というわけで、すごろく作りを開始した。
ちなみにぼくのグループは、心愛さん、心音さん、葵さんとの4人グループだった。
「ふふっ、ゆきあくんたちと同じグループになれるなんて運命ですね!」
「まあ、席が近いからね…」
葵さんは相変わらずだった。
「みんな、すごろくのテーマ、何にする?」
心愛さんがみんなに尋ねた。
「はいは~い、あたしのかわいさ!」
「却下」
心音さんが案を出したが、心愛さんは、即却下した。
「も~う、心愛ちゃんでばー。逆に心愛ちゃんは何かあるの?」
「お菓子をテーマにしよう!」
「どういう感じになるの?」
「例えば、そのマスに止まったら、描かれているお菓子が食べれるとかー」
「やめとこう」
心愛さんの案も却下された。
「うぅ~良いと思うのに~。葵は何かない?」
「わたしですか? わたしはゆきあくんをテーマにしたいと思います!」
「えっ、ぼく!?」
どういうすごろくにするつもり!?
「まず、このすごろくはわたしたち3人でやるんです。ゆきあくんは見るだけです」
「え、見るだけ!?」
「わたしたちが順番にサイコロ振って出た分だけ進みます。そして、止まった所に描いてあることをゆきあくんがやるんです」
「なにそれ!?」
「もしくはゆきあくんにわたしたちがするのでも良いですよ」
「いや、そういう問題じゃ…。さすがに2人も賛成するとは…」
ちらっと2人の方を見ると、
「葵ちゃん、いいねその案!」
「うん、わたしの案よりも全然いいよ! それでいこう!」
2人とも、目をキラキラして、そう言った。
「ありがとうございます、心愛さん、心音さん。ゆきあくんも良いですよね?」
葵さんはそう聞いてきた。
「…ゆきあくんすごろく?」
「はい、わたしたちがゆきあくんにしたりされたりするすごろくなんです!」
「…そうなんだ、よく分からないけど面白そうだね」
結局、ぼくは諦めて、一緒にぼくがテーマのすごろくを作った。
そして完成し、それをなつきさんに見せてもらっている。
そんなとき、なつきさんがふふっと笑った。
「…? どうしたのなつきさん?」
「ううん、ゆきあくんみんなに愛されてるね」
「えっ、いやそんなことは…」
「香織さんにもいつもかわいがられているんだよね…」
「えっ!?」
なんで、なつきさんがそれを…!?
「そうそう、ゆきあくんいつも香織さんにビンタされてて、要求したりもしてるんだよね。ふふっ、ゆきあくんも隅に置けないねー」
「ふゆかさんまで!?」
「そうなんですか、ゆきあくん!?」
何故かふゆかさんにまで知られていて、葵さんもそれを聞いてびっくりしている。
「ふふっ、じゃああのマスを入れたのは正解でしたね、心愛さん」
「う、うんそうだね…」
「心愛さん?」
ちなみにぼくは何のマスを入れたのか、ぼくは知らない。
やるまでのお楽しみらしい。
「あはは、実はわたし、心音と一緒にゆきあくんのこと、女の子たちにいっぱい話しちゃったの」
「そしたら、ゆきあくん学校の女の子たちに有名になっちゃったの。ごめんね、ゆきあくん」
そうだったのー!?
いつの間に、そんなことになってたんだ…。
「大丈夫よ、ゆきあくん。学校中の女の子もゆきあくんにメロメロみたいだから、落ち込まないで」
落ち込んでるぼくに、ふゆかさんが優しく言った。
「…そうなの?」
「…うん。わたしたちもゆきあくんのこと、尊敬してるから、元気出してね」
なつきさんもそう言ってくれた。
「うん、ありがとう」
「ふふっ、どういたしまして。じゃあ、みんなもまだ何か分からないことがあったらあたしに聞いてね!」
2人は、クラス委員の仕事に戻った。
「なつきちゃん!」
「なつきちゃん!」
「なつきちゃん!」
「は~い、何かなー」
「だから、なんでみんななつきに聞くの!? ねえ~あたしにも聞いてよ~!」
相変わらずみんななつきさんに聞いて、ふゆかさんはぐずってしまった。
「そういえば、このすごろく家でやるの?」
「そうしましょう! わたしもご一緒でいいですか?」
「うん、昨日の約束だし、葵さんもおいでよ」
「ありがとうございます! ゆきあくんのお姉さん、香織さんに会えるの楽しみです♪」
葵さんはうきうきであり、家ですごろくをやることになった。
結局、ぼくはまだ、どんなすごろくになってるか分からないけど、大丈夫かなー?
読んでいただきありがとうございます。
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