#37 友達に弟を紹介 ♡
今回も新キャラです。
「ねぇ、本当にわたしがゆきあくんに会っていいの?」
「もちろんだよ~♪ みんなにゆきあくんを紹介したいから」
「ありがとう、香織ちゃん」
わたしは友達と一緒に家に帰っています。
彼女は風色水樹ちゃん。
ちょっぴり臆病だけど、元気印の女の子です。
ゆきあくんを紹介するために水樹ちゃんを誘いました。
「ここが香織ちゃんの家? とても広いね~」
「もうすぐでゆきあくん帰ってくると思うからゆっくりしていってね」
「うん」
水樹ちゃんは軽くお辞儀をしてソファーに座った。
「ゆきあくんってどんな子なんだろう…。会うの楽しみだな~。そういえばわたし、ゆきあくんのこと、あまり聞けてないよね。ゆきあくんってどんな子なの?」
「うん、とっても優しくてかわいいんだよ~。ちょっと気弱なところはあるけど、守ってあげたくなっちゃうぐらいなの~。うふふ、ゆきあくんはわたしの最高の弟だよー! …あっ、ごめんね! 惚気みたいになっちゃって…」
「ううん、全然大丈夫だよ」
水樹ちゃんはそう答えてくれた。
「それにしても、ゆきあくんかわいい…。写真を見ただけでもキュンキュンしちゃうよ…」
水樹ちゃんはゆきあくんにすっかりメロメロな様子です。
「そういえば昨日は風花ちゃんがお邪魔してたんだよね」
「うん、風花ちゃんずっとゆきあくんにメロメロだったよ」
「いいな~。わたしも早く会いたいよ~」
水樹ちゃんと風花ちゃんは幼馴染みたいです。
それで水樹ちゃんは風花ちゃんからゆきあくんとのことをある程度聞いていたらしい。
本当は昨日水樹ちゃんも誘おうと思ったんだけど、用事があったみたいで今日来てもらうことにしたのです。
「ただいまー」
それからしばらくして、ゆきあくんが帰ってきた。
「あっ、帰ってきたみたい」
「うん、ちょっと待っててね」
わたしは玄関へ向かった。
「おかえり、ゆきあくん。ちょっと遅かったね」
「うん、うららさんと鬼ごっこしたからね」
「へー、そうなんだー。連絡してくれれば良かったのにー」
「そ、そうだね…。ごめん…」
「ううん、怒ってないから謝らなくていいよ」
「そう? 良かった」
ゆきあくんはホッとした。
「もう、ゆきあくんかわいいー」
「ちょっと香織姉ってば…」
わたしはいつものようにゆきあくんをハグした。
「あれ、誰か来てるの?」
「うん、早速友達にゆきあくんのことを紹介したくてね」
「えっ、いきなり!? ちょっと待って、心の準備が…」
「緊張しなくて大丈夫だよ」
「も、もしぼくのこと、想像してたのと期待外れでボロカスに言われたらどうしよう…」
「そんなこと言う子クラスにいないよ。それにとっても優しい子だから、大丈夫だよ」
「そうなの?」
「風花ちゃんも優しかったでしょ?」
「そうだね…。風花さん、ギャルだけど優しかったよ」
「ゆきあくんの中でギャルってどんなイメージなの?」
「ふぇ!? き、気にしないで!」
「うふっ、まぁいいよ。それじゃあいいかな?」
「う、うん。分かった」
ゆきあくんは決心をしたみたいで、水樹ちゃんが待っているリビングへと向かった。
「お待たせ水樹ちゃん」
「あら、この子ね…」
「水樹ちゃん、この子がわたしの弟のゆきあくんだよ」
ゆきあくんはやっぱり恥ずかしいのか、わたしの影に隠れて、こっそりと水樹ちゃんのことを伺っている。
「…こ、こんにちは…」
もーなにこの子、かわいいー。
「そして、この子がわたしの友達の風色水樹ちゃんだよ」
「ふふっ、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。よろしくね、ゆきあくん」
「こ、こちらこそ…。よろしく水樹さん…」
「み、水樹さん…?」
「あっ、えっと、水樹さんって呼んでもいい…?」
「…か、かわいい! ゆきあくんかわいすぎるよー!」
水樹ちゃんは思わずゆきあくんのことを抱きしめた。
「ふわぁー!? み、水樹さん!?」
「水樹ちゃん!?」
わたしも思わず驚いた。
「ぎゅー!」
「水樹さん、落ち着いて!?」
「あっ、ごめんなさいゆきあくん! わたしってば、取り乱しちゃったみたい」
「ううん、大丈夫だよ」
水樹ちゃんは我に返って、ゆきあくんに謝ったが、ゆきあくんは気にしていないみたい。
「ゆきあくんのこと、香織ちゃんから聞いていたから。ずっと会いたいと思ってたの。我慢出来なくて暴走しちゃったの。ごめんなさい♪」
水樹ちゃんは舌をペロっと出してそう言った。
「ぼ、ぼくは全然気にしてないから大丈夫だよ…」
ゆきあくんは水樹ちゃんのことをまた、わたしにくっつきながら、見つめていた。
もうゆきあくんってば、そんなにわたしにくっついてー。
…かわいいんだから。
「ありがとう。うふふ、それにしても実物で見るとより一層かわいいわね…。ゆきあくんを見ているとキュンキュンしちゃうよ。ところでゆきあくん」
「な、何?」
「かわいいから、もう一回ぎゅってしちゃうよ!」
「ふわぁー!?」
水樹ちゃんは再びゆきあくんのことを抱きしめた。
「うふふ、ゆきあくん気持ちいいー」
「み、水樹さん…」
「もう水樹ちゃんってばー。ゆきあくんにメロメロだね~。わたしもやっちゃおうー!」
「えっ、か、香織姉まで!?」
わたしも水樹ちゃんと一緒に心ゆくまでにゆきあくんのことをもふもふしたのでした。
「今日はありがとう、香織ちゃん。ゆきあくんに会わせてくれて」
「こちらこそ。水樹ちゃんが喜んでくれて嬉しかったよー」
「ゆきあくん、ごめんなさいね。わたし、少し舞い上がっちゃったみたい」
「いや、ぼくは全然大丈夫だよ。また遊びに来ていいよ」
「ふふっ、香織ちゃんの言う通り、ゆきあくん優しいね~」
「でしょー!」
「…何で、香織ちゃんが得意気なの? ふふっ」
玄関でそんな会話をしていて、水樹ちゃんは帰ることになった。
「じゃあ、またねー」
「うん、またね」
わたしとゆきあくんは水樹ちゃんに向かって手を振りました。
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