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#34 葵さんとの登校 ☆

「おはよう、ゆきあくん」

「おはようゆきあく~ん」

「お、おはよう心愛さん、心音さん」

新しい1日が始まり、今日も2人と一緒に登校する。


「あれ、そういえば香織さんは?」

「あ~、今日は用事があって先に学校へ行ったよ」

今日は香織姉は学校の用事があるみたいで、一足先に学校へ向かった。

とてもぼくと登校できないことを嘆いていたから、ぼくも一緒に早く登校しようと思ったけど、香織姉はぼくに迷惑かけたくないからと我慢して先に登校した。


「でも珍しいねー、香織さんがゆきあくんと一緒に学校に行くのを諦めるなんて」

「確かにね」

2人もぼくと香織姉が一緒じゃないことに珍しがっている。

確かに香織姉なしで登校することはあまりないからね。


「それにしても、3人で登校するのは久しぶりだねー」

「そうだね、たまには良いよね」

『うん』

それからぼくたちは、3人揃って登校した。




―その瞬間、誰かの視線がぼくに伝わった。




ゆっくりと振り返るが、後ろには誰もいない。


「ゆきあくん…?」

「どうしたの?」

「あっ、ごめん。なんでもないよ」

2人はそんなぼくに心配したが、ぼくはなんでもないとごまかした。

さっきのは、なんだったんだろう?

気のせいかな…。




「ゆーきあくん!」

「うわぁー!?」

ぼくは、女の子がぼくの目の前に現れて、ぼくは大声を上げて絶叫した。

そして驚きのあまり腰がぬけてしまった。

しかし、その子は見覚えがあった。


「あ、あれ、葵さん!?」

「うふっ、おはようございますゆきあくん♡」

何事もなかったかのように、満面の笑みを浮かべる葵さん。


「お、おはよう…。葵さん、びっくりさせないでよ…」

「ごめんなさいゆきあくん♡ ゆきあくんと登校したくて待ち伏せしてたんです」

「そうなんだ…。…ん!? 待ち伏せ!?」

今、すごいキラーワード出なかった!?


「あっ、何でもないですよ! たまたまゆきあくんを見かけちゃいましたので、一緒に登校しようとここで待ってたんです」

「そ、そうだったんだね…」

「ゆ、ゆきあくん?」

何故か分からないが、ぼくは葵さんが怖くなって来た道を戻ろうとしてしまった。


「ど、どうして逃げるんですか!?」

「ひゃー!? ごめんなさい!」

悪いことしたわけではないのに、思わず謝って逃げてしまった。


「そっちは反対方向ですよー!」

「わ、分かってるけど! …いやー!?」

葵さんにあっさりと捕まってしまい、悲鳴をあげてしまった。


「ゆきあくん、ごめんなさい! 無意識に怖がらせてしまいましたね…。本当にそんなつもりはなかったんですよ! 本当にごめんなさい!」

「あ、葵さん…」

葵さんに抱きしめられて、ぼくの恐怖心は不思議なことに消えていった。


「ぼくの方こそごめんね…。急に逃げ出しちゃって…」

ぼくは、そう一安心して、

「うん、葵さんも一緒に登校しよう」

「いいんですか? ありがとうございます!」

「ひゃー!?」

そう言い、葵さんは、嬉しさのあまり、ぼくの手をぎゅっと握った。


「あっ、ごめんなさい! わたしとしたことが…」

「ううん、びっくりはしたけど…。全然大丈夫だよ」

「本当ですか? うふふ、ゆきあくん優しいですね」

葵さんは素直に謝って、ぼくの手を見ながら安堵した。


「ゆきあくん、大丈夫?」

先に行った2人が心配になって走って戻ってきた。


「ごめん2人とも…」

「ううん、全然大丈夫だよ。あれ、あなたは?」

2人とも葵さんのことを不思議そうに見ている。


「同じクラスの葵ちゃんだよね? ゆきあくんと一緒にいたんだ~」

「ふふっ、おはようございます、心愛さん、心音さん」

「あれ、わたしたちのこと知ってるの?」

「はい、同じクラスですからね」

葵さんは落ち着いた様子で挨拶していた。


「そ、そうなんだ…。よろしくね、葵ちゃん」

「はい、よろしくです」

心愛さんと心音さんは葵さんと挨拶した後、ぼくのことをにやにやしながら見つめてきた。


「ふーん、ゆきあくんってば葵ちゃんとなんかあったの?」

「えっ? 別に何も…」

「噓だー。あたしたち以外の女の子と親し気にしてるなんて珍しいじゃーん」

「ふぇ!?」

2人とも、完全に面白がってない!?


「こ、この前の放課後に葵さんにお友達になってほしいって誘われたから…。それでお友達になったの」

『ふーん』

2人はますますにやにやした後、葵さんに質問していた。


「葵ちゃんってば、そんなにゆきあくんと仲良くなりたかったんだもんね」

「はい…。わたし、ゆきあくんみたいな男の娘が好きですから。ずっとお友達になりたいって思ってたんです」

「へーそうなんだ~。ゆきあくんも隅に置けないな~」

何だか恥ずかしいな!?


「もっと話しを聞きたいところだけど、急がないと遅刻しちゃうからね」

「そうだね、行こうゆきあくん、葵ちゃん」

心愛さんと心音さんはそう言って、学校へと走っていった。


「うん、そうだね。行こう葵さー」

「えいっ!」

突然、ぼくに近づいて大きく手を広げ、全身を包むようにぎゅ~と抱きしめた葵さん。


「あ、葵さん!?」

「うふふ、やっぱりゆきあくん気持ちいいです~」

「ちょ、ちょっと急がないと遅刻しちゃうよ!」

「あっ、ごめんなさいゆきあくん! 我慢できなくてもふもふしちゃいました…」

「もう葵さんってば~急ごう!」

「はい、あのゆきあくん。続きは学校でしてもいいですか…?」

「えっ!? ま、まあ少しならいいよ…」

「本当ですか!? ありがとうございます、ゆきあくん! それじゃあわたしたちも行きましょう、ゆきあくん!」

ぼくらは急いで学校へと登校したのだった。

登校前なのに何だかもう疲れちゃったな…。




読んでいただきありがとうございます。


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