#30 お菓子作りと追いかけっこ ♡
朝の7時。
わたしは、朝食を作り終え、ゆきあくんを起こしに行った。
だけど、そのまま起こすのもつまらないので、ゆきあくんの上に乗っかった。
しばらくすると、ゆきあくんは起きて、乗っかっているわたしを見てびっくりした。
「か、香織姉…!?」
「うふふ、おはようゆきあくん♡」
わたしは照れているのをごまかすように舌を出した。
「お、おはよう…。どうしてぼくの上に乗っかってるの?」
「ゆきあくんのかわいい寝顔が見やすいからだよ~♪」
わたしはゆきあくんのほっぺを両手でぎゅっとした。
「か、香織姉…」
「そろそろ朝食だから。一緒に食べよう」
「うん…」
わたしたちはリビングに行って朝食を食べ始めた。
「そういえば、ゆきあくん。心愛ちゃんたちはいつ頃来るの?」
朝食中、ゆきあくんにそう聞いた。
「4時ぐらいからみたい。それまでに家族でパーティーするみたい」
「そうなんだね。じゃあ、それまでにお菓子作らないとね」
「そうだね」
朝食を食べ終えて、皿洗いを終えて、お菓子作りを開始した。
「ゆきあくん。まずはバースデーケーキを作るよ」
「了解です…。うぅ~失敗したらどうしよう…」
やっぱりゆきあくんはまだ不安みたい。
でも、そんなゆきあくんもかわいい…。
わたし、本当にゆきあくんのことが好きすぎる…。
「大丈夫だよ。わたしもついてるから」
「た、頼りにしてるよ…」
「それに心愛ちゃんならゆきあくんの作ったものなら失敗しても喜ぶと思うよ」
「本当に…?」
「うん。プレゼントは出来よりも気持ちが大事だからね」
「分かった…。香織姉のおかげでちょっと気持ちが楽になったよ。ありがとう」
「ふふっ、どういたしまして」
そんなわけでわたしたちは、まずケーキを作り始めた。
「じゃあゆきあくんはこれをお願いね」
「分かった」
わたしは、ゆきあくんに泡立て器とケーキのもとが入ったボウルを渡した。
ゆきあくんは、ケーキのもとを泡立て器で混ぜた。
案外力が必要だけど問題なさそう。
「じゃあ、わたしはいちごを切ってるね」
「はーい」
そんなこんなでケーキ作りは順調に進み、わたしは一旦休んだ。
「んー、フルーツでも乗せれば良かったかな? あっ」
「あっ」
ゆきあくんの方をちらっと見ると、クリームをなめていた。
「こーら、お行儀悪いぞー」
「ごめんなさい、ちょっとどんな味か気になっちゃって…」
「じゃあわたしもなめるー」
「えっ?」
わたしはゆきあくんの指についてるクリームをペロペロなめた。
「ふぇ…!?」
「おいしい♡」
わたしは舌をちろりと出してそう言うと、ゆきあくんは顔を真っ赤にして見つめていた。
「…ふふっ、どうしたの? そんなに顔真っ赤にしてわたしのこと見つめちゃって」
「な、なんでもないよ…」
わたしはそう尋ねると、ゆきあくんは照れたように返した。
何だか、ちょっと意地悪したくなっちゃった♪
「ゆきあくん、もしかしてわたしがかわいく感じちゃった…?」
「そ、そんな事言わないでよ…」
ゆきあくんはますます照れて、慌てて顔をそらした。
「もう~どうして顔をそらすのー」
「今の香織姉は、かわいすぎて見れないよ…」
「へーそうなんだー。じゃあちゃんとわたしの顔を見て! わたしたちは姉弟なんだから!」
そう言って、ゆきあくんの顔をわたしに近づけた。
「も、もう恥ずかしい…!」
ゆきあくんは逃げ出した。
「あっ、もうーなんで逃げるの!」
「とてもじゃないけど香織姉の顔を見れないよー!」
「逃がさないよー!」
わたしはゆきあくんを追いかけた。
ゆきあくんは階段を上り始めたが、ゆきあくんは普通に上り、わたしは一段飛ばしで上っているので、余裕で追いつく。
だが、あとちょっとのところで、部屋に入られた。
わたしは閉めようとしたドアを抑えて、部屋に入ろうとした。
「ゆきあくん、開けなさい!」
「そ、そんなことしても…」
ゆきあくんは頑張って閉めようとしたけど、流石にわたしの方がパワーあるからね?
しかし、ゆきあくんは即座にドアを離した。
「きゃー!」
その拍子に、わたしはバランスを崩して倒れた。
その間にゆきあくんは1階へ逃げた。
「あっ、待ちなさい!」
わたしはすぐさま起き上がり、追いかけた。
しかし、ゆきあくんは何処かに隠れたのか見当たらなかった。
「あれ、どこに行ったのかしら?」
しょうがない、この手を使おう。
「ゆきあく~ん、み~つけた~」
「ひゃっ!?」
「そこだね!」
声のした方を見ると、テーブルの下にゆきあくんが隠れていた。
「み、見つかっちゃった…」
「うふふ、こんなところにいたんだね♪」
「あれ、さっきのは?」
「見つけてなかったけど、見つけたふりしてたの」
「そうだったの!?」
そう、わたしはゆきあくんを見つけたふりして、びっくりさせて居場所を突き止めたのです。
それでも、逃げようとしたゆきあくんをその場で捕まえた。
「えいっ!」
「わっ!?」
わたしはそのままゆきあくんを壁に追い詰めて、壁ドンをした。
「うふふ、お姉ちゃんのわたしから逃げるなんて悪い弟だね…」
「うぅ~ごめんなさい…」
「罰としてビンタしないとだね♪ そしたら許してあげる♪」
「う、うん…」
「えいっ、えいっ、えーい!」
「ひゃん!」
わたしはゆきあくんのことをビンタした。
「ふふっ、どうしたのゆきあくん?」
「…。か、香織姉…」
「ん、な~に?」
「ぼくの指をなめてるときの香織姉がいつもよりかわいかったの…。あまりにもかわいかったから、顔が見れなくなっちゃったの…。だから、その、逃げちゃってごめんなさい…」
「そうだったんだね、ゆきあくん。わたしもさっきはちょっと意地悪しちゃったね。ゆきあくん、わたしの方こそごめんなさい」
「ふふっ」
「うふっ」
わたしたちは、お互いごめんなさいをして、少しだけ笑った。
「でもありがとう。ゆきあくんにかわいいって言ってもらえて、わたし嬉しいよ~♪」
「うん…。そ、そろそろお菓子作り再開しよう」
「そうだね♪」
いろいろあったけどわたしたちは、お菓子作りを再開した。
読んでいただきありがとうございます。
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