#28 人懐っこいお姉さん ♡
「お邪魔しまーす」
わたしは自宅へと戻り、聖来ちゃんにも来てもらった。
「香織ちゃんの家に来るのも久しぶりですね。相変わらず広いです」
「ゆきあくん、もうすぐ帰ると思うからゆっくりしてね」
「はい! それにしても、ゆきあくんに会うのも久しぶりですね。わたしがいたらびっくりするでしょうね」
聖来ちゃんはそう呟いていた。
「あのー、香織ちゃん」
「な~に、聖来ちゃん?」
「ゆきあくんって香織ちゃんから見てもかわいいですか?」
「うん、とってもかわいいよ! わたしよりもかわいいかもしれないよ」
「そうなんですね」
「そういえば聖来ちゃんっていつも敬語で話してるよね」
「あ~、ごめんなさい。わたし、昔から誰にでも敬語で話す癖があるんですよ」
「まぁ~、わたしも時々敬語になっちゃうことあるから気持ちは分かるよ」
そんな会話を繰り返していると、
「ただいまー」
ゆきあくんが帰ってきた。
「あ、帰ってきた」
「ちょっと待っててね、聖来ちゃん」
わたしは玄関へ向かった。
「おかえりなさい、ゆきあくん。ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」
「ふぇ!?」
「ごめんね、一回こういうの言ってみたかったの」
「ちょっと、香織姉ってば」
ゆきあくんは顔を真っ赤にしている。
かわいい…。
そんなこんなでリビングへとやって来た。
「あ、あれ、聖来さん?」
ゆきあくんは聖来ちゃんに気付き
「久しぶりですね、ゆきあくん!」
聖来ちゃんはゆきあくんを抱きしめた。
実は2人も、とても仲が良くて、よく一緒に遊んだりしている。
「ゆきあくん、相変わらず背が小さくてかわいいですね♪」
「うっ! まぁ~あまり成長出来てないからね…」
「気にしなくて大丈夫ですよ、ゆきあくん! わたしはそのままで良いと思います!」
「どういうこと!?」
2人はそんな会話を続けている。
「ゆきあく~ん。え~い♪」
パシィン。
「へっ!? せ、聖来さん!?」
聖来ちゃんが優しめにゆきあくんのほっぺをビンタした。
「あっ、ごめんなさい! いつも香織ちゃんがやってるみたいにわたしもゆきあくんにビンタしてみたくなっちゃったんです」
「聖来さんってば~」
「あはは…、ごめんなさい」
聖来ちゃんは舌を出しながら謝った。
わたしもうららちゃんも天然って言われるけど、聖来ちゃんも良く天然って言われることが多いの。
何故かわたしたち3人みんな天然みたいだけど何でだろう?
「ゆきあくん、聖来ちゃんに懐いてて…もうゆきあくんってばー」
「か、香織姉? もしかして怒ってる?」
ゆきあくんは恐る恐る聞いてきた。
「ううん、別に怒ってないよ。でも、わたしよりも聖来ちゃんと楽しそうにしてるのを見てると何だかムカムカしちゃうなー」
「えっ、や、やっぱり怒ってる…!?」
「うふふ、冗談だよ、ゆきあくん♪」
わたしは、舌を出してそう言った。
「それにしても2人とも本当に仲が良いよね~。まるで姉弟みたい。聖来ちゃんも、いつもゆきあくんと一緒に遊んでくれて、ありがとね」
「はい、ゆきあくんとってもかわいいから、一緒に遊ぶの楽しいですよ! ゆきあくんに女装させたくなるのも分かるなー」
聖来ちゃんが目をキラキラしながらそう言った。
聖来ちゃんもそんなゆきあくんがとても好きみたいです。
「ん、女装?」
「はい、ゆきあくんの女装写真、わたし持ってますよー!」
と聖来ちゃんは、その写真をゆきあくんに見せた。
「えっー、な、何で聖来さんが…!?」
「ごめんなさい、わたし、ゆきあくんの写真を見せるときにうっかりその女装写真を見せちゃった♪」
「そ、そんな…!?」
わたしはそうゆきあくんに謝ったが、ゆきあくんはショックを受けている。
「ちなみにクラスのみんなにも見せちゃった…♪」
「み、みんなにー!? ぼくの女装がいつの間にか香織姉のクラスに知れ渡ってるのー!?」
「うん、そうなの」
「もう、香織姉ってばー!」
「ごめんなさい♪」
ゆきあくんは恥ずかしそうにして、わたしに抱きついてきた。
もーゆきあくん、本当にかわいいー!
「2人とも本当に仲良しですねー。わたしもゆきあくんがわたしの弟だったら、そうなっちゃうかもー」
聖来ちゃんは笑顔でそう言った。
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