#17 お家でかくれんぼ ☆
あれからいろいろと日がたち、学校が始まるまで後1日となった。
今、心愛さんたちが遊びに来ており、これから何するかで話し合っている。
「みんなでかくれんぼしない?」
「家で?」
「うん、雨降ってるしね~」
心音さんがかくれんぼをやりたいとのことだった。
「いいね~、楽しそうだからやろう~」
「わたしも賛成です」
香織姉と心愛さんも賛成みたい。
「みんながそういうならやろう」
「やったー! じゃあまずは鬼を決めるよ~」
じゃんけんの結果、心音さんが鬼になった。
「心音が鬼ね」
「あ~、あたしもかくれたかったな~」
そう言って、心音さんは何故か音楽を流した。
「?」
「それじゃああたしが1曲歌っている間にかくれてね」
「歌うの!?」
何故か心音さんは隠れる時間中、歌うことになり、ぼくは押入れに隠れた。
…それにしても長くない?
恐らく4分ぐらい経ったかな?
歌が終わりそうな時、突然押入れが開いた。
やってきたのは、香織姉だった。
「えっ!? 香織姉!?」
「あ、ゆきあくん…。ごめんね、わたしもここに隠れていい?」
「い、いいけど…」
「ありがとう~」
「そ、それにしても凄い隠れる場所探してたんだね…」
「ううん、さっきまでおトイレに行ってたよ」
「なんで!?」
本当に香織姉は、マイペースというか、天然というか…。
ははは…。
そんなとき、音楽が鳴りやんだ。
どうやら終わったらしい。
「よ~し、今から探すよ!」
心音さんは今から探し始めた。
ただし、3分経過しても誰も見つけられていない。
「誰も見つからない…。」
心音さんがしゅんとしてしまっている。
ちなみに心音さんは今押入れの前にいる。
ぼくはそんな心音さんをふすまの隙間から覗いている。
「こんなこともあろうかと、あたしには考えがあるから!」
そう言い、今日香織姉が作ったおやつのケーキをテーブルに置いた。
「なんでケーキ?」
「これでにおいにつられてやって来させるつもりじゃないかな?」
「そうなの? いや、いくらなんでもそれじゃあ引っかからないよ~」
ぼくは思わずそう苦笑した。
…しかし。
「ケーキ!」
「あ、心愛ちゃん見っけ!」
なんで!?
心愛さんがまんまと引っかかってしまった。
「こ、心音!?」
「もう心愛ちゃんってば見事につられたね~」
「うぅ~、まだおやつ食べてなかったから、つい…」
「心愛さん、見つかっちゃったね…。後は、ぼくらだけだねー…って、うわぁ香織姉!?」
香織姉が突然ぼくに抱き着いてきた。
「ごめんゆきあくん、急に抱きたくなっちゃった~」
「もう、しょうがないなぁ…」
「ふふっ、昔もこんなことがあったね~」
「香織姉?」
「その時もわたしたちでかくれんぼしてたけど、ゆきあくん暗いところが怖くて、わたしに泣きついちゃったんだよ~」
「えっ!? た、確かにそんなことあったけど…」
「うふふ、あの時からずっとゆきあくんはかわいいね…」
「ぼ、ぼくだって少しは成長したよ…」
「ふ~ん、ゆきあくんも立派になったね…」
「…!? あ、ありがとう…」
「ふふっ、どういたしまして」
香織姉とそんなやり取りをしている最中だった。
「ゆきあくんと香織さんはどこに隠れてるんだろー」
「うふふ♪ わたしに任せて」
2人が何やらこそこそと話している。
そんなときだった。
ピロリロリロ~ン♪
「えっ!?」
突然ぼくのスマホが鳴りだした。
慌てて止めようと画面を確認したら、着信元が心愛さんだった。
ん!?
心愛さん~!?
「そこだー!」
「うわぁ!」
ぼくたちはとうとう見つかってしまった。
「あ~あ、遂に見つかっちゃったなー」
香織姉が残念そうだが楽しそうにそう言った。
「押入れのところを探すのすっかり忘れてたよ~。やっと見つかって良かった~」
「それよりもさっきの電話は…?」
電話のことについて聞くと心愛が答えた。
「うふふ、わたしがゆきあくんのスマホに電話すれば場所が分かると思ってかけたの♪」
「それあり!?」
かくれんぼ中に電話するなんて、恐ろしい子…
「それにしても、ゆきあくん、家でもスマホ持ち歩いてるんだね~」
「いや、まあ確かにいつもポケットに入れてるけど…」
心音さんにそう言われてしまい、ぼくはそう返した。
「ゆきあくん、スマホ買ってもらってから肌身離してないんだよ~」
「ちょっと香織姉!?」
またも香織姉にばらされてしまった。
「ふふっ、ゆきあくんってば~」
「ゆきあくんらしいですね」
2人は和やかにそう返した。
「じゃあ、そろそろおやつにする?」
「やったー、ケーキですね!」
「あれ、でも心愛ちゃん、さっきちょっと食べなかった?」
「ま、まだ全部は食べてないから残った分を食べるよ…」
「ふふっ、心愛ちゃんらしいね」
かくれんぼで楽しんだ後、ぼくたちはおやつのケーキを食べることにしたのだ。
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