#15 漫画のシチュエーション ☆
「今日は来てくれてありがとううららちゃん♪」
「じゃあ、また今度ね香織ちゃん。ゆきあくんもじゃあね」
「うん、うららさんまた今度」
昼食後、しばらくしてうららさんは帰ることになった。
「ふふっ、ゆきあくん今から何する?」
「ぼくは部屋に戻って漫画でも読もうかな」
「じゃあわたしもそうしようかな♪」
それからぼくら二人はそれぞれ漫画を読むことになった。
ちなみにぼくらが読んでるのは、アニメ化もされている国民的なものである。
香織姉は、姉弟物かな?
よく分からないけど…。
その間、お互いしゃべることなく、漫画を読んでいる。
「ふぅ~終わった」
香織姉はどうやら読み終わったらしい。
「ゆきあくん~」
構ってほしいのか、香織姉はぼくのところにやってきた。
「えいっ!」
「わっ!?」
すると、香織姉は背後から、思いっきり抱きついてきた。
いきなりだったので驚いて声を出してしまった。
「ちょっと、香織姉、いきなり抱きつかないでよ…。びっくりしたじゃん…」
「うふふ、ごめんなさいね♡」
香織姉はそう謝るが、舌をペロっと出して、全然悪いと思っていない。
すると、香織姉の胸がぼくの頭に当たった。
「ひゃっ!?」
ぼくは激しく動揺した。
「どうしたの、ゆきあくん~♪」
何だか、楽しそうにぼくに聞いてくる香織姉。
「か、香織姉! あたっ、当たってるよー!」
「何が~?」
分かったようにそう言う香織姉。
「…む、胸が当たってるよー!」
「だって、当ててるんだもん~♪」
わざとやってたのか…。
そしたら、香織姉はますますぼくに胸を当ててきた。
「ふわぁー!?」
「どうしたの? 顔が赤くなってるよ~」
「は、恥ずかしいよー!」
「さっき読んだ漫画にあったシチュエーションをやってみてるの♪ それにしてもゆきあくんも男の子だね。わたしの胸で興奮しちゃうなんて、ゆきあくんのエッチ~♪」
香織姉からやってきてるのに、何故かぼくがエッチ呼ばわりされてしまった。
「そんなゆきあくんには、お仕置きしなきゃね」
「!?」
ぼくは仰向けに倒されて、またがられた。動けない!?
「ちょっと、香織姉!?」
「大丈夫。痛いことはしないから…」
そう言いながら香織姉は手で怪しい動きをした。
「何も大丈夫に感じないけど…!?」
「こちょこちょしちゃうよ~ゆきあくん」
こちょこちょ!?
まずい!
それはまずいって!
「それー! こちょこちょー」
「あひゃひゃひゃ! も、もうやめて香織姉―!」
「ふふっ、ゆきあくんかわいい…。もっとやっちゃうよ!」
香織姉に好き放題こちょこちょされてしまうのだった。
「はーい、おしまい♪」
「はぁはぁ…。」
ぼくはやっとこちょこちょから解放された。
「もう、香織姉ってば…。」
「うふふっ、ゆきあくんがとてもかわいいから、いじめたくなっちゃうのよ♡ ゆきあくんもわたしにいじめられて嬉しいくせにー」
「うっ、それは否定しないけど…」
ぐー。
そんな時、ぼくのお腹が鳴ってしまった。
「また鳴っちゃった…」
「もう、ゆきあくんってば~。まただね」
ぐー。
そう言うと香織姉まで鳴った。
「やだ、わたしまで♪」
「ふふっ、香織姉ってば」
ぼくはつい笑ってしまった。
「もうこんな時間だし、今からご飯作ろうか」
「そうだね」
ぼくたちはそう言い、夕食の準備をした。
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