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5.第二王子(ハリスside)

やっと殿下の名前がでてきました。

お待たせしてすみません。


ルーカス→髪は紺色で肩くらいの長さ。いつもは後ろで1本に縛っています。

第二王子ハリス・ラ・オルシェが城に戻ると、紺色の髪の少年が勢いよく部屋に入ってきた。

「お前ー!急に出てくなよ。たまたま戻ってきた護衛騎士が慌てて付いて行ったから良いものの、一人で外出したら駄目だろー」

「ルーカス、進捗は」

「人の話聞けよ!」

俺は怒ってるんだそ!とルーカスと呼ばれた少年はぷんすかしたが、この国の第二王子でありイザベラに婚約を申し込んだハリス殿下はどこ吹く風だ。


「イザベラ嬢に会ってきた」

「…で?婚約できそうか?」

「…好みは身体が筋肉質で、剣が強く、床上手な男性だそうだ」

ルーカスは目を丸くして爆笑する。

「ひーっ腹いてぇ…さすが高嶺の紅薔薇べにばら。15の男に床上手とは」

「さらに色気を漂わせて真っ直ぐ目を見て言われたぞ。男なら勘違いする」

「いやー痺れるな!」

ハリスは上着を脱ぎソファに腰掛けた。

「脈は無さそうだった」

「いい笑顔で言うなよ…」

呆れて笑いながら、ルーカスは向かいに座ってハリスを見遣る。

想い続ける女性に相手にされなかったのに、落ち込んではいなさそうだ。



公爵家の令息であるルーカスとハリスは昔からの幼馴染みだ。

幼い頃から規格外のハリスに何度振り回されたか、両手と足の指を合わせても足りない。

ハリスが、ルーカスに ある女性の情報を集めるよう依頼したのは2年前だ。

当時 うつろな目で日々を過ごしていた幼馴染みだったが、その日 現れた彼の目は生気が戻っていた。

1枚の紙を手渡され、どんな些細なことでも噂話でも良いから、その女性に関することは全て教えてくれと頼まれた。

理由を聞くと

「手に入れたい」

「は?」

(いや、いま人の話してるよな?物とかじゃないよな?)

確認のため手元の紙を見ると、とても美しい女性の人物画と身分などが記載されていた。

「侯爵家の令嬢?あー…なんかこの家と繋がりたいのか?それとも欲しい物がこの人を通して手に入るのか?」

「そのままの意味だ。イザベラ嬢を手に入れたい」

「えっと…俺もこの人知らないわけじゃないけど、その…夜の相手にほしい、とかじゃないよな?」

「朝夜問わず相手にしてほしい。彼女の身体も心も、何もかもが欲しい」

ルーカスが初めてみるそれは、恋というには苛烈かれつすぎて、愛としては重いものだった。


それから2年、情報を集めたおかげでイザベラ嬢に関してルーカスも詳しくなった。

社交界に認知されているように一風変わった女性だ。

容姿端麗、さぞ男女の浮名うきなも尽きないほどあるだろうと思ったが、意外と身持ちは固かった。

侯爵以下の男は 自分程度では相手にしてもらえない、と高嶺の花として遠くから眺めるだけ。

たまにイザベラ嬢と懇意にしている、一晩を過ごしたなどと自ら言う男は「イザベラ様がお前を相手にする訳がない」と周りからバッサリ斬られていた。


むしろ彼女に関するエピソードはご令嬢関係の話が多く、男の人を調べてるんだっけ?と間違えそうになるほど男前な話が多い。

ハリスは少々変わったエピソードを聞いても想い変わらず、イザベラ嬢と婚約できるよう2年前から着々と計画していた。

そして先日ハリスが15になり、やっと婚約の申し込みができたのだ。



「それでこの後はどうすんの?」

「まず侯爵家の動きを待つ。その間にイザベラ嬢が挙げた条件をクリアする」

「ふーん…イザベラ様も一筋縄じゃいかなそうだけど、他の貴族も黙ってなさそうだなぁ」

「第二王子の肩書が足枷になるなら処分するさ、逆に国王の地位が必要なら手にするまでだ」

何でもない事のように さらりと言っているが、この幼馴染みは自分の目的のためなら本当に成すことをルーカスは知っている。

彼が成そうとして成せなかったことは一つもない。

(たまに人間か疑わしいんだよなぁ)

ルーカスは紅茶を飲んで、部屋のすみでケースに収まっている木剣を眺めた。


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