拾われた勇者
リードは、次の日、その次の日もアリッサと格闘しながら、この先どうするか悩んでいた。
アリッサの言う通り、鍛錬でスキルレベルが上がるなら、もしかすれば新しいスキルが身に付くのではないか。
でもそんなことは誰からも聞いた事が無い。
しかし今できることはほかに何もない今、その誰も聞いた事がない新しいスキル習得を目指すしかできることはない。
そんな風に悩みながらもリードは離宮郊外の森で一人鍛錬することにした。
そんなリードの目の前をリードの存在を無視するかのごとくホーンラビットが通り過ぎる。
(ん?魔物が俺に気が付きながら襲おうともしない?襲おうとして勝てないと察して逃げるのならわかるが、なぜだ?)
とりあえず獲物を見つけたリードは逃がすまいとホーンラビットの後をつける。
獣道を進むと、人族と思われる者が倒れている。
長い髪、女か?そして3匹のホーンラビットがいままさに襲い掛かろうとしていた。
リードは腰に付けた剣を抜きホーンラビットに切りつける。
スキルが無くてもホーンラビット程度であれば今のリードでも仕留めることができる。
剣の刃は欠けてしまったが1匹を仕留めると他のホーンラビットは逃げていいた。
「大丈夫か?」
女は動けないようだ。辛うじて絞り出した声で、
「お、お前は?」
「俺は魔王の息子、リードだ」
リードは持っていた水筒で女に水を飲ませる。
「そうか、私はつくづくついてないな。私は先日魔王城を襲撃して失敗した勇者だ。
私の力不足のせいで仲間も失い、もう腕の骨も足の骨も折れて動かない。ひと思いに殺してくれないか…」と言うと、
ぐぅーーー
勇者の腹が鳴った。
リードは黙って仕留めたホーンラビットをさばき、持っていた魔道具で火を起こし、ホーンラビットの肉を焼いた。
「食え」
リードはホーンラビットの肉を差し出す。
さすがの勇者も、スキルで痛みには耐えられても空腹には耐えられない。乱れた髪も構わず辛うじて動く上半身だけで肉に食いつき、貪り食う。
「さすが勇者だ、空腹状態でいきなりこんな消化の悪いものでも平気なんだな(笑)」
「うるさい!」
疲労もあったのだろう。空腹が満たされた勇者はそのまま眠りについてしまった。
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