魔王城 謁見の間
「魔王様!大変です。また何者かが攻めてきました。」駆けつけた先ほどとは違う家来が報告する。
「またか?勇者か?それとも人族の軍隊か?何千人、何万人だ!どこまで来てる!!」
「3人です。もう魔王城の中に侵入されています。うわっ」
美佐のファイヤーボールで報告していた家来が一瞬で焼失する。
そして謁見の間に踏み込む3人。
「ひえぇ~」
美佐のファイヤーボールの威力を見た謁見の間にいた魔王の家来たちが逃げ出した。
「おい、ちょっとまてお前ら!お前らが盾にならんでどうする!!」
「あらら、謁見の間が随分血だらけだな。そこで死んでるのはアリッサの父親じゃないか?お前が殺したのか?それにこっちの女の死体はなんだ?」
「誰だ貴様?」
「アラン、しばらく見ない間にずいぶん太ったな。」
逃げる家来の中にベルムを見つけた。
「あ、美佐、あいつ燃やしといて。」
「了解。ファイヤーボール!」
「アラン、それにしてもベルムまで逃げ出そうとするとは、おまえ、人望なさすぎやしないか?」
「な、何者だ、お前は!」
「俺だよ俺、リードだよ。アリッサに刺され、おまえたちになぶり殺しにされたリードだよ。
なにもアリッサまで殺すことはなかったのにな。それにお前は覚えてないだろうが、カロルもお前に殺されんだったな。」
「な、なんだと!そんなバカなことがあるか!リードは間違いなく俺が殺した!遺体もアンデッドにならないようにアリッサともども燃やして川に流した!アリッサに続いてリードまで生きてるわけがない!」
「アリッサも生きてるのか?」
アランの視線が、部屋の奥に横たわる女の死体に向いた。
「あぁ、あれがアリッサだったのか?美樹ちゃん、あの血だらけで倒れてる女のスキルわかる?」
「名前はキャサリンだって。種族はエルフってなってる。魅了耐性 レベル2に剣術 レベル2、火魔法 レベル1だって。HPが0になってるからもう死んでるね。」
「あぁ、魅了耐性があるならアリッサが転生したのかもな。」
「て、転生だと?」
「あぁ、平たく言えば生まれ変わりかな?」
「なんだと!俺は、俺は生まれ変わりなんぞ信じんぞ!」
「そういえば、お前、まだMPが足りなくて童貞なんだってな。」
「ば、ばかなっ」
アランはそう言いながらも立ち上がり、手に持っていた斧を振り上げると、体形に似合わぬ意外な瞬発力で亮太目掛け斧を振り落とす。
が、亮太の物理耐性と剣術で弾き飛ばされる。
「ばかな!リードなら戦闘系スキルは持ってないはずだ。これならどうだ!」
アランがほぼすべてのMPをつぎ込み闇魔法を放つ。
とっさに亮太は美佐・美樹の手を繋ぎ、3人は闇魔法耐性を発動する。
「き、効かないだと?うっ…な、なぜだっ!」
まぁ、女神様のおかげです。
「リ、リードなんかに俺が、俺が負けるはずは…ゲホッ」
「お兄ちゃん、あいつMP切れ寸前だよ!」
「そうみたいだな。おれも何度も経験があるがあれは辛いんだ。」
亮太は平然とあゆみをすすめ、魔王に剣を降ろした。
次回は最終回です。
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