再会
キーーーィ
その時、礼拝堂の横の扉が開く。
「すみません、少し席を外しておりまして。礼拝者のかたですか?」
え、セシリア?
修道服に身をつつんだ勇者のセシリアだ。
「あ、あの、勝手に入ってしまい申し訳…」
「えっ、もしかしてリードさん?」
人族になって姿かたちが変わっている俺のことなんて気づくはずないのだが、なぜかセシリアは俺がリードだと気が付いた。
「ちょ、ちょっとこちらへ」
俺たちは慌てた様子で手招きするセシリアに続き教会の裏手に出た。
そして教会の裏手の二階建てアパートのような建物の二階の隅の部屋にはいった。
「ここ私の部屋なんです。適当にくつろいでください。」
そこは年頃の女の子の部屋としてはかなり質素だった美佐・美樹の部屋よりももっと女の子の部屋らしくない、宗教関連の本とベッド以外になにもない部屋だった。
くつろげと言われても座る椅子もないし、土足の床に座るわけにもいかないのでベッドに腰かけ、立ったままのセシリアに聞く。
「えっと、なんで俺がリードだって気が付いたんですか?」
「魔の精剛なんて凶悪なスキル持ってるのなんてリードさんか現魔王くらいですよ。勇者のスキルはごまかせません。
でも種族が人族になってますよ?なんですか?魔族の王子がこんなところにいたら危険です。」
早口でまくし立てるセシリアに今までのことを説明する。
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「転生?転移?かつての勇者は異世界から来られた方々だったと噂では聞いてますが…。で、今は間違いなく人族なんですね。」
「そうですよ。セシリアさんこそ、手足は治ったんですね。」
「はい。勇者の時の伝手を頼ってここの聖女様に治していただきました。
走ったり長い距離を歩いたり魔王を討伐したりは無理ですが。今はここで修道女見習いをしています。」
「ねぇ、ねぇ、お兄ちゃん、私達にもこの修道女さんのこと教えてよ。」
俺はセシリアを村まで送り届けた話をかいつまんで話した。
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「へぇ~。それでお兄ちゃんとお姉さんは結ばれたんだ。」
「え?いや、その…」
真っ赤になるセシリア。セシリアさんや、それじゃ完全肯定です。
「セシリアさん、お兄ちゃんの、今ではもっとすごくなってるんだよ。試してみない?」
「ちょっと、美樹ちゃん、何言いだすの!」
「いいんじゃない。」「み、美佐まで何をっ」
真っ赤になったセシリアが、こくりとうなづく。
「いやセシリア、キャラが全く変わってますよ!」
そして3人かがりでウハウハされました。
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前世の血がたぎるぜ!(冗談です。)
セシリアさん、無事聖女のもとにたどり着けて良かった。