冒険者ギルド
翌朝、宿屋のおやじの「夕べはおたのしみでしたね」の名言を背に、寝不足でフラフラになりながらも冒険者ギルドへ行った。
「すみませ~ん。冒険者登録したいんですけどぉ~」
「はいはい、こちらへどうぞ。」
結構年配の受付嬢だ。もちろん問題ないんだけど、この手の小説だと若い娘が多いよね。いや、ベテランでもいいんだよ。うん。
「はい。これがギルドカードです。無くさないようにしてくださいね。」
俺たちは、一通り依頼の受け方や注意事項、ランクの話とかを聞いたが重要じゃないのでカットする。
『け、け、け。かわいい娘、連れてるじゃないか?女の子は置いて、お前はさっさと消えろ』
なんて、どこかの世界で定番の先輩冒険者が絡んでくるなんてことあるのかなぁ~と楽しみにしていたが、絡まれるなんてことは起きなかった。
というか冒険者自体が少ない。この冒険者ギルド、こんなんでやっていけるのだろうか?
「あの~。来る途中でゴブリン退治したんですけど、魔石とかゴブリンの装備って売れますか?」
「はい。もちろん買い取らせていただきます。」
俺達はゴブリンの魔石や装備を自分たちで使う分を除き売った。大した金にはならなかったけど、無いよりはましだ。
「さあ、バリバリ依頼をこなして金を稼ぐぞ!」と張り切ってみたが、
「冒険者登録したばかりの私たちが受けることが出来るのは薬草採取だけみたいね。」
「というか、全然依頼ないよ。」
こんなんじゃ宿屋の支払いも出来ない。
ええい。薬草のついでに現れた魔獣狩りじゃ!と最初の森にやってきたが、魔物がいない。
後で聞いたら、この森はめったに魔獣とかでないらしい。あのゴブリンの大群も他から流れてきたやつじゃないかとのこと。念願の戦闘スキルが手に入ったのに、なんか寂しい。
「ねぇ、私の索敵と美樹の鑑定を合わせたら、薬草の場所判ったりしないかしら?」
2人手を繋ぎ索敵を始める。
「まずはあっちね。亮太よろしく。」
「つぎはそっち。お兄ちゃんよろしく。」
「つぎはこっちね。亮太よろしく。」
:
絶滅しない程度に大量の薬草を摘んで、これでもかってくらい美佐の異次元収納へ入れて俺たちは町へ帰った。
「すみませ~ん。依頼完了しました。」と言って、大量の薬草をギルドに納品する。
余裕で依頼量以上の薬草を採取し、全部換金したのでそれなりの金にはなったので、とりあえず武器や装備をそろえることにした。
「すみませ~ん。剣や槍をくださぁ~い。」
「どれどれ、どんなのがいいんだい?というか、今持ってる剣と槍、見せて見ろ!よくこんなんで闘ってたな。いくら初心者でも冒険者ならもうちょっとまともな武器を持て。」
怒られてしまった。
「すみませ~ん。魔法の杖をくださぁ~い。」
「どれどれ、どんなのがいいんだい?使うのはお嬢さんかい?初心者でもこれくらいの杖はあった方がいいね。」
「すみませ~ん。盾と鎧をくださぁ~い。」
「どれどれ、どんなのがいいんだい?」(以下略)
金に余裕はないので、初心者用の剣や槍、杖、盾、鎧なんだけどね。
それでもゴブリンのお古よりましだよね。
少しは冒険者らしくなっただろうか。
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