スキルのしょぼい魔族の王子
ある晴れた日の午後、魔王の王子であるリードは魔王城の離宮の中庭で、辺境の人族の村からさらってきた村長の娘カロルをまた犯していた。
彼女はさほど美人というわけでもなくスタイルが良いわけでもなく生娘でもない。しかしリードは彼女を気に入っていた。
カロルも最初は嫌がっていたが、今ではまんざらでもないようだ。
かつて人族連合との間で行われた魔人戦争の休戦協定が更新されず満了した後、魔族は人族の村を襲うようになった。
とは言っても、現状、辺境の人族の村とはいわば持ちつ持たれつの関係を維持している。
魔人が襲いに行くと何故か情報が伝わっており、女子供は隠されている。
カロルによると襲撃のある前の日になると村長のところに伝書魔鳩が来て、金品を持たせて返しているらしい。
魔人も近くの人族の村が壊滅してしまうと、遠くの村まで襲いに行かないといけなくなるので村人は殺さない。
適当に暴れると、食料などを奪って引き上げていく。
人族の国も、休戦協定で魔族に毎年支払う額より被害額が少ないからとそれを黙認し、村には復興のための金を出している。
そして、その金の一部を村長が次の襲撃の際に伝書魔鳩に持たせ、のこりは公共事業で村が潤うという構図だ。
あの日、リードはこっそり城を抜け出し単独で辺境の村を襲いに行った。
といっても、リードには戦闘系のスキルはない。
この世界では自分のステータスを見ることが可能だが、何度見ても彼には戦闘系のスキルが無かった。
名前:リード 種族:魔族
・HP: 76
・MP:109
スキル:
・魔の精剛:
MP100を使い何度でも性交可能である。というよりパッシブスキルのため無条件に1回につきMP100を奪われる。
ゆえにMPが101以上無いと途中で昏睡してしまい1回もできないという、魔王家に伝わる呪われたスキルだ。
魔王の継承条件でもある。
・魅了:
MPを使い相手を魅了。MP10を消費して相手の自分への好意を少しUPさせる。
効果が微量すぎて効果があるのかないのかわからないスキルだ。
・MP・HP変換 レベル 1:
MPの1割を消費し、MPもしくはHPの残り半分使いその4分の1のHP・MPに変換できる。
HP上限・MP上限には制限されないが、変換元の残りHP・MPが1以下の場合は発動に失敗する。
HPは0になると死ぬし、MPが0は昏睡するのでこの制限はありがたい。
なおレベルMAXになると10倍に変換できるという噂だ。
また、増えた分は再変換できない。
この基本ステータスは普通のちょっと鍛えている程度の村の人族相手でも複数人相手ではかなわない程度の力である。体格面でも人族とさほど変わらないリードは、村に戦闘系のスキルを持った旅の冒険者でもいればもう勝ち目はない。
リードは何日もかけこっそり人族の村に近づき、何日も遠くから観察し冒険者がいないことを確認し、そっと村に近寄り、農作業をしていたカロルをさらってきたにすぎない。
リードはスキル魔の精剛のせいで、1日に1回しか性交できない。MP・HP変換でHPをMPに変換しても2回目分にはまったく足りていない。
カロルはカロルで、魔族にさらわれたにも関わらず殺されたり乱暴に扱われるどころか大事にされていることから生への希望は失っておらず、リードに気に入られればいつかは帰してもらえるのではないかとの淡い期待を抱いていた。
第一章は3人称表記で物語を進めます。第二章から主人公目線になります。
第一章は連続投稿、第二章以降は一日一回程度投稿するようにする予定です。