現世
美佐、美樹ちゃん、美恵さん、3人のバイト終わりはそこそこ夜遅い。さすがに夜道を女の子1人で歩かせるわけにもいかないので、なるべく俺が迎えに行っている。
その日は、美佐のバイト先の小さな居酒屋の近くで家庭教師のバイトだったので、俺はバイト終わりに直接美佐を迎えに行った。
「お疲れさまでした~。」
「え~。美佐ちゃん、もう上がっちゃうのぉ?夜はまだこれからだよぉ~」
「おい、店の外見てみろ。美佐ちゃんの彼氏が睨んでるぞ。」
「あ、やべーwww美佐ちゃん、またね~」
「お客さん、飲みすぎですよ。うふふ」
「待ったぁ~。」
「まあな。」
「そういう時は、『全然』っていいなさいよ。もう。」
と笑いながら美佐が俺の腕に絡みついてきて胸が腕に当たる。いつ触れても飽きない感覚だ。
「もう。何考えてるのよ。今は我慢しなさいよ。後でいくらでも触れるんだから。」
「いいじゃん。思うくらい。」
「もう亮太ったら、相変わらずエ〇チなんだから。」
「そんなにもうもう言ってたら牛になるぞ。」
「誰のせいよ。も~ぅ。て何やらせるのよ!美樹とお母さんが待ってるからさっさと行くわよ。」
そして二人で美恵さん・美樹ちゃんが働いているコンビニに迎えに行く。
そう言えば美恵さんの女の子の辛い日はもうそろそろ終わるはずだな。
帰ったら3人とあんなことしようか、こんなことしようかと考えながらコンビニの前で2人を待つ俺。
そして俺の腕に自分の腕を通してくっつきながら「もう、また何考えてるのよ!」と美佐。
「おまたせ~」とコンビニの自動ドアから飛び出してくる美樹ちゃん。そしてちょっと遅れてバッグヤードから出てきた美恵さん。
キキキキーーーー!
その瞬間、車が猛スピードで突っ込んできた。
これはヤバい!せめて美佐だけでも助けねば。美佐は目をつぶって俺の腕で固まっている。おい、離れろ。逃げるんだ!
美樹ちゃん、こっちへ来ちゃダメだ!
俺は見た、ヘッドライトの向こうの運転席の怒り狂った荒木圭太の顔を。そして美恵さんの悲鳴とコンビニのガラスが割れるを聞きいた。
不思議と痛みはない。
美佐、美樹ちゃんは大丈夫だろうか?位置的に難しいだろうか。
せめて美恵さんは無事だといいな。
短い人生だったけど、この世界に転生できて良かった。
美佐・美樹ちゃん、美恵さん、誰か生き残れてたら幸せに暮らしてほしい。
3人に出会えて良かった。
これは荒木圭太の復讐か?車は盗難車か?奴は逃げたのか?
盗みはダメだよ。逃げるくらいなら復讐なんてしちゃダメだよ。そんなの魔族でも知ってるよ。
そんなことを考えながら意識を失った。
そう俺の前世は魔族だ。剣と魔法のファンタジーの世界の魔族の王子だった。
第二章のウハウハのシーンまでちょっとあるので、切り出して導入部として追加しました。
もうすでに途中までお読みいただいている方はあとで出てきますので読み直す必要はありません。